初夏の大空に舞う伝統の祭り | 馬の会長日記

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「馬の会」の会長“のみ”の気まぐれ日記。
競馬はもちろん、前に住んでいた新潟のこと、
今住んでいる埼玉のこと、趣味の旅行に、
アルビレックス新潟、グルメなどなど
その時思ったことを気ままに更新してま~す。

先日、江戸時代から始まり300年の歴史を誇る新潟市南区に伝わる伝統のお祭り
「白根大凧合戦」を見てきました。

「白根大凧合戦」は毎年6月の初旬、第1木曜日より翌週の月曜日までの5日間開催される
越後平野の初夏を彩る風物詩として県内外はもちろん、海外からも観光客がやってくるほどの
新潟県を代表する行事なのですが、同じ新潟市に10年以上住みながらボクは見に行くのは初めて。

今年は6/7(木)~11(月)に行なわれていました。

まずはそのお祭りを見る前に、会場の近くに「しろね大凧と歴史の館」という展示資料館があるので
そこに車を止めてこのお祭りについての基本情報を収集。

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行った事ある人の話を聞くところによると、何の知識も無しに見に行っても
何をやっているかよくわからないとのこと。

なのでちょっと「大凧と歴史の館」で予習です。

ここには白根だけでなく全国各地、そして世界中の珍しい凧が集まっています。

そういえば「凧」って日本独自のものではなくて、形は違えど世界中にありますもんね。

きっと「凧マニア」の方には鼻血もんの展示数だと思います。

でもボクには歴史的な図柄の変化とかよくわからないので、珍しいものだけが目につきました。

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凧の展示意外にも凧作りを体験できる「凧工房」や凧揚げを体験できる「風洞実験室」、
さらにはここ白根地区の歴史がわかる「民族資料展」もありましたよ。

その中でも一番のオススメはこれから見る「白根大凧合戦」の様子を3D映像で見られる
「立体映像室」はなかなかの迫力!

カメラマンが大凧あげに巻き込まれてしまうシーンは必見です!

もっとスクリーンが大きかったらさらに良かったのですが、
実際のお祭りの前にこんな映像見ちゃって良かったのかなぁ?


でも個人的に一番ビックリしたのは、なんとこんな凧が展示されていました↓

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『埼玉 春日部』と書いた大凧!?

ボクの実家のあるところですが、なんでここに!?

どうやら今は春日部市ですが、市町村合併する前の「庄和町」でも、
江戸川の河川敷で端午の節句の行事として「大凧あげ祭り」という大きなお祭りがやっているらしいのです。

そのお祭りで上げる、縦15m×横11m、畳100畳分もの巨大な凧は日本一の大きさを誇るんだそうですよ。

春日部で育っておきながらそんなお祭りがあるなんて知らなかったなぁ・・・


でも、ちなみに「白根の凧」は1980年にフジテレビの番組企画でギネスに挑み、
見事161畳分の大凧飛ばしに成功したそうなので、1回での大きさのギネス記録は「白根の凧」にあるそうです。

まあ、大きい事もスゴいのですが、資料館にあったこんな小さな凧にも感動しちゃいましたよ↓
ホントに飛ぶのかなぁ?

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毎年のお祭りで飛ばす凧の大きさは春日部の「大凧あげ祭り」が日本一となるのですが、
合戦凧としてお祭りで飛ばす大きさとしては紛れもなく「白根の凧」が一番だそうです。

優雅にあがる大凧もいいですが、その巨大な凧が空中で戦うって、スゴいことですよねぇ。

最近あの「ゆるキャラ」でも名前を知られてきた「レルヒさん」こと
高田歩兵第58連隊付オーストリア武官「レルヒ少佐」も明治44年このお祭りを見て、
『日本古来の武士道的合戦』だと絶賛し、優勝旗を寄贈したそうなんですよ。

今はその優勝期は「白根大火」で焼けてしまい無いらしいのですが、
外国の方が見てもスゴいお祭りなんですね。

ボクにしたら世界の個性ある凧の展示の中で、このアメリカの凧が一番印象に残りましたけどね↓

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これは太平洋戦争の時にアメリカ軍が、対日本の戦闘機撃墜のための訓練に使われたものなんだそうですよ。

竹槍を訓練していた日本に対して、このしっかりとした金属の骨組しビニール製に印刷された図柄・・・

こりゃ、日本も敵わない訳です。

「しろね大凧と歴史の館」

新潟市南区上下諏訪木1770-1
電話:025-372-0314
開館:9時~17時(入館は4時半まで)
入館料:大人/400円、小・中・高校生/200円、幼児/無料(土・日・祝日は小・中学生無料)
休館日:第2・4水曜日(この日が祝日の場合は翌日)

さて予習もしたし、さっそく合戦会場に向かいましょう!

会場は信濃川の支流で、約80mの川幅の「中ノ口川」の両岸から大凧はあげられます。

そこまではこの「大凧と歴史の館」から無料のシャトルバスが出ていたので、
降りたらとにかく堤防にあがってみました。

すると、なんといきなり何もわからずフラッとあがったボクら頭上に大凧が出現!?

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縦7m×横5mの畳24畳分もある大凧がボクを襲って来たのです!!

警察が放送で『危険ですので下がってください! 頭上の凧に注意してください!!』と
ちょっと怒り口調であきらかにボクらに対して言っています。

いきなりの事でボクらはあたふた・・・あわわわあわわわ~

凧はユラユラとボクらが逃げる方、逃げる方へとやってきます。

もうパニックですよ。

・・・ふ~、何とか一命はとりとめましたが、危うく大凧にプレスされるところでした。

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改めて堤防の上にあがって見ると、多くのはっぴを着た活気ある人たちが、
綱引きの要領でロープを引っぱりながら、怒鳴りながら走りまわっているんです。

そして空には大凧以外にも「巻凧」と呼ばれる六角形の凧の2種類十数枚が空中に乱舞していますよ。

うわぁ~スゴイ迫力。

そして観光客たちはそれを邪魔しないように、そして上から落ちてくるかもしれない凧に気をつけながら
なるべく隅っこで見学をしているんです。

いやぁ~これは息子と一緒に来ないで良かったぁ~ ホントここは緊張感ある合戦場ですよ。

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もともとこの凧合戦の由来は、ホントに合戦から始まったそうなんです。

江戸時代の中頃、「白根市側」の人が中ノ口川の堤防の改修工事の完成を祝って
藩主から贈られた凧をあげたところ、対岸の「味方村側」に落ち、家や農作物を荒らしたそうなんです。

これに怒った「味方村側」の人が凧をあげて、
「白根市側」にたたきつけたことから凧合戦が始まったと伝えられています。

要するに300年も続いている、ちょっとねちっこいケンカ。
お互い地元の意地で負ける訳にはいきませんよね。

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そんな訳で、このお祭りにかけている地元の方も多いそうで、
1年の3分の1の日数、特に冬場はこの凧づくりに費やすんだそうです。

しかも、毎年壊れてしまう大凧を作る経費は1枚約15万円もかかり、
また、3~5年で新しくする勝負のカギを握る「凧綱」は約200万円もかかるらしいですよ。

だけど、さすがに個人が集まって経費を出してもかなりの負担になるので、
その経費を補うため、子供の初節句の祝い凧や、企業の広告入りの凧も多くあがるんです。

それは地元の花火大会とも同じですね。

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大凧合戦のルールですが、東軍「白根市側」6組と、西軍「味方村側」7組に分かれて合戦します。

ちなみに大凧に描いてある絵柄は、各組で伝わる決まった絵柄が描かれていて、
中には江戸時代から継承されている絵柄もあるそうですよ。

そしてそれぞれの組が15枚から40枚もの凧を作り合戦に挑みます。

まずは先に東軍が風のころあいを見て30~40人ほどのあげ手が一斉に走り出し、大凧があがります。

東軍の大凧は川の中ほどに低くとどまるようにされた「空中待機型」で、
綱を引くことにより上よりも横へ動くように調整されているんだそうですよ。

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そしてその後、西軍の大凧があがるのですが、
西軍の大凧は綱を強く引くことにより高く舞い上がる「空中滑降型」。

東軍の大凧の上に追いついた時に綱を緩めると左回りに回転して真っ逆さまに川面に突き刺さるように滑降し、
お互いの綱が絡み合い水面に落下します!

この時、風の影響によって上手く絡み合うのも難しく、当然東軍の大凧の方が無傷で陸に戻る事も多く、
最初、ボクらが下敷きになりそうだった大凧はその帰ってきた大凧でした。

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で、絡み合った後からがホントの勝負。

ここから綱を引っ張る「引き場」という場所まで移動し、審判の合図に合わせてお互いの綱の引っ張り合い!

要するに綱引きの始まりですが、勝負は綱が切れるまで引き合われます。

そして切れてしまった側が負けってことなんですよ。

さすがに長い時間と、多くの経費、そしてその地区の威厳がかかっているだけあって
勝利の瞬間は最高に盛り上がってました。

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いやぁ~噂では聞いていましたが、見ると聞くとじゃ大違い。

想像以上の迫力と、観客ものんびりは見ていられない戦場の緊張感。

期間中は約300枚もの大凧が初夏の大空に舞うんだそうで、
これは見ておいて損はない、いや、見ないと損するお祭りだと思いました。

ただ、ちょうどこの日は川下から川上に向けて吹く絶好の凧あげ日よりだったそうでラッキーでしたが、
当然、凧なので凧あげにとっての風の調子や雨などの悪天候の時は
この合戦も行なわれないそうなのでご注意を。

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