合掌造りで熊に合掌 | 馬の会長日記

馬の会長日記

「馬の会」の会長“のみ”の気まぐれ日記。
競馬はもちろん、前に住んでいた新潟のこと、
今住んでいる埼玉のこと、趣味の旅行に、
アルビレックス新潟、グルメなどなど
その時思ったことを気ままに更新してま~す。

遅い夏休みに出かけた3泊4日「福井&岐阜旅行」の最終日は、
お昼前に飛騨の小京都「高山」を後にし、岐阜県最後の目的地に向かいました。

次の目的地と言えば、1995年に世界遺産に登録され世界的な観光地となった
「合掌造り集落」の1つ「白川郷」です!

以前は「高山」から「白川郷」に向かうには、
狭く急カーブが連続する峠道を越えなければなりませんでしたが、

昨年の7月に着工から貫通まで約10年の歳月を要した念願の「飛騨トンネル」が開通し、
高速道路の「東海北陸自動車道」を通って比較的楽に行けるようになったのです。

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当然出来たばっかりなので、未知なる道にボクのナビはパニックの沈黙状態になってしまいましたが・・・

この「飛騨トンネル」の全長は10.710kmもあり、
道路のトンネルとしては「関越トンネルに」次ぐ日本国内2位の長さなのです。

なので、やっぱり開通するのにはそうとう苦労したらしく、
もろい岩盤に当たってわずか1.7kmの距離を彫るのに4年がかりだったり、
粘土層に押しつぶされた掘削マシーンが地中に埋もれたままだったりと、多くの人の汗と努力がありました。

この「飛騨トンネル」によって、俗界と切り離された仙境のような世界と
ボクらの日常社会がつながったという感じですね。



かつては冬ともなれば交通も遮断され「陸の孤島」と呼ばれるほどだったのですが、
この開通は現地の方々にも流通経路の拡大で大きなメリットとなりましたが、

その反面「世界遺産」登録されたことも合わせ、観光客も大幅に増え、
静かに暮らしていた村が、毎日お祭り騒ぎになってしまったことも
現地の方々の新たな悩みとなってしまいました。

現在も昔の形式のまま人が暮らしているという、珍しい世界遺産でもあるのですが、
時には心無い外来者が、勝手に家の戸や窓を開けたり入ってきたりしてしまうということもあるそうです。

その影響もあり、以前は村の中心の駐車場まで観光バスも行けたそうなのですが、
今は大型車はちょっと離れた大きな駐車場までしか行けないようになっています。

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ボクもその大きな駐車場に車を停め、このつり橋の「であい橋」を渡り、
「秋葉神社」の鳥居をくぐると、そこは日常にはない世界「白川郷」に入ります。

正確には「荻町地区」の集落です。

白山山麓の自然を背景とした集落の景観はまさに
「まんが日本昔ばなし」の中に入り込んでしまったかのようですよ。

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この集落が美しく感じるのはなにも大きく歴史のある建築物が放つ造形美だけではありません。

60度という急勾配の茅葺屋根は豪雪地区ということもあり、
3mを超える積雪を落としやすいようにという工夫はもちろん、

屋根は全て規律正しく、陽の通る東西に向かっていて満遍なく茅葺に日が当たるようにするために、

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また、南北にのびる谷間にあるこの地は、それぞれの方向から強い風が吹くので
「妻」と呼ばれる屋根の側面は風の抵抗を少なくするため南北に向けて建てられているのです。

また、1軒1軒大きいのは、煙硝製造や養蚕などの作業場と生活空間が一体化していることと、
狭い土地に何軒も建てられないため、何世帯もが共同して生活をしているということもあるそうですよ。

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そうなんです!

まさに、この土地だからこそこの造形となった機能美こそがこの合掌造り集落の魅力だと思います。

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この「明善寺」は本堂、庫裏、鐘楼門とすべての屋根が茅葺きという、
大変珍しいお寺で、江戸期に高山の大工によって建てられた歴史のある建物です。

その規模と、壁や柱に刻まれた時間の経過は、この荻町集落の中でもひときわ存在感がありますね。



・・・と、「世界文化遺産」のさすがの造形美に浸っていましたが、
もう午後2時になりお腹も空いてきちゃいましたよ。

いつものボクらしく「花よりだんご」で、ちょっと遅いお昼ごはんを食べましょう♪

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行ったのは「荻町」の北の玄関口となるところの、古い民家を移築した「白水園」(はくすいえん)です。

もちろん、合掌造りの民話のような空間の中で、郷土料理が味わえるが味わえるんですよ。

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「朴葉みそ和膳」飛騨牛(1650円)。

これは相方が食べたのですが、飛騨牛の朴葉焼きに飛騨蕎麦、アマゴの塩焼きだなんて、
岐阜県の食事を締めくくるにはこれ以上無いメニューですよねぇ。

『開業して36年。守り育てた田舎料理です。』と書いてありました。




・・・そして、そして、ボクが食べたのはなんと!

じゃ~~~ん!

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なんと、「熊鍋」で~す!!

「おやじ御膳」熊鍋(2000円)。

この「白水園」は熊が食べられることで有名なのです。

『ここでしか味わえない野獣の味。34年目のご提供です。』と書いてあります。


以前、北海道で食べた「鹿」は美味しくてクセになりそうでした、「トド」はちょっと生臭かった・・・

果たして「熊」も匂いがキツいと聞きますがどうでしょう?



木彫りの熊でよく見るようなオリジナルの器に入った、山育ちで栄養満点の熊肉を一口・・・

ん? 味噌味? ん~スープは味噌仕立て・・・

あれぇ? 肉の匂いどころか味が無い。

硬くも、筋っぽくもなくて食感はいいけど、脂っこくもなくかなり淡白。
もしかして、あまりにも臭いので食べやすく匂いを消したって感じかなぁ?

結局、耳で聞く「熊肉」ってインパクトとは逆に、かなりサッパリとしたお肉でした。

めったに食べられない野性の命をいただいちゃいましたよ。

ごちそうさまでしたぁ~♪

熊さん、恵みをありがとう! 合掌・・・

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合掌造り味処 「白水園」(はくすいえん)

岐阜県大野郡白川村荻町354
電話:05769-6-1200
営業:11時~15時


お腹いっぱいになったら、ちょいと腹ごしらえに軽く荻町城跡の展望台まで散歩・・・

と思ったのですが、距離は無いけど結構急な坂道でした。

15分ほど歩いて着いた展望台からは、よく絵ハガキとかでも見るアングルが開けています。

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一番手前はこの集落で一番有名だと思われる国指定重要文化財の「和田家」が見えますね。

「和田家」は1573年より現在もつづく家柄で、当主は代々「弥右衛門」を名乗り、
江戸時代には名主や番所役人を務めるとともに、焔硝の取引で繁栄したのだそうです。

無人の文化財として保存されているのではなく、
数世紀もの時を刻み続け、現在も活き続けるというのがスゴいですよねぇ。

そして、それだけでも充分なのに、毎年冬にはライトアップが行われ、
その透き通るような静けさと美しさは別格だそうですよ。

かなり寒いと思うけど・・・。

また、サイレンの合図とともに集落にある59基の放水銃から一斉に水が噴き上がり、
茅葺屋根の上に水のアーチがかかる火災放水訓練は圧巻だそうです。

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自分の中にある懐かしい風景でもない、まるで日本のおとぎ話の世界に入ってしまったような「白川郷」。

この地に生まれるべくして生まれたその息吹は、いずれも築100年を超えるものばかりで、
現在も人々が暮らしを営み、守っているのですね。

やっぱり「福井&岐阜旅行」の締めくくりとして、この「世界文化遺産」はふさわしかった!

そう、思いながら「どぶろく」の試飲の誘惑をスルーしながら車に乗り込みました。

さて、もう陽も傾いてきたし、この旅も終わりかなぁ。
新潟に帰ろう!

・・・と、思うのですが何だかモヤモヤ、忘れていることがありそうだぞ・・・?


どくだみ茶に近い味わいの「朴葉茶」を飲みながら、まだ無計画なボクの旅は終わらない気がしていました。


・・・つづく。