初チュウガタスジシマドジョウを無事に釣った日の夕方には、山陰地方の某二級河川支流の中流に到着し、サンインコガタスジシマドジョウを探したが、大いに期待していたのとは裏腹に、一尾も見当たらなかった。
翌朝、探索区域を前日のポイントの北東にあたる地帯に移し、見て回った。
ある地点で、ヒラを打つ小さなドジョウ類一尾を発見!この個体は見失ったものの、この辺りにサンインコガタスジシマドジョウが棲息していることがかなり確実となった。
そこでさらに東のマークしていた別の地点へ移動し、出来るだけ水面に顔を近づけてよーく見ると、底にはたくさんそれらしき魚影があって時折ヒラを打っていた!
サンヨウコガタスジシマドジョウに使ったのと同じ仕掛けとエサで釣り開始。
するとそのうちの大きめの個体が、エサであるキヂの一番細い仔の数ミリ片の上に口を置いて喰ったような仕草をしたので聞きアワセをしたところ、掛かった!
釣れたーと叫びながら、落ちないうちに岸に上げるためごぼう抜きにしたところ、勢い余って魚はうしろのガードレールの向こうへ行ってしまった。
上がっていくとすでにハリからは外れていた。独特の模様が見えたのでドジョウではないことがわかり、やった!と思った。両手の中に確保してバケツに移した。
ところが水に漬けてまじまじと見てみると、なんだかニシシマドジョウのような気がしてきた。正直区別がつかなかった。
そこで、頼みの綱の胸びれの骨質盤をチェックしてみたが、残念ながらメスで骨質盤がなかった。
そこでオスを釣るために釣りを再開。生まれたての極細のキヂがなかったので、アカムシの尾部とその前の一体節分に替えてみたところ、キヂの時とは違って喰いついたように見えた!
聞きアワセをしたところ、掛かっていた!今度は空中でハリから外れたが、草の上だったので無事に確保。観察ケースに入れて胸びれを撮影し、オスであることを確認した。
骨質盤は楕円形で、ニシシマドジョウのそれのように鳥のくちばし状ではなく、また少なくとも尖ってはいないことから、サンインコガタスジシマドジョウと結論し、このオスを公式な初物とすることにした。
公式初サンインコガタスジシマドジョウ、オス、約5センチ
公式初サンインコガタスジシマドジョウの俯瞰
公式初サンインコガタスジシマドジョウの腹側
公式初サンインコガタスジシマドジョウの別影(左右反転)
公式初サンインコガタスジシマドジョウの胸びれの楕円形をした骨質盤
公式初サンインコガタスジシマドジョウの近影
斜め前から
最初に釣れたメスに関しても、それ以上のサイズの個体がいないことから、サンインコガタスジシマドジョウのメスと結論した。
先に釣ったサンインコガタスジシマドジョウのメスと思われる個体、約7センチとその近影
オスメス揃って
サンインコガタスジシマドジョウのハビタット
サンインコガタスジシマドジョウはかつてスジシマドジョウ小型種山陰型と呼ばれていたもので、2012年の論文によりこの標準和名が与えられている。同時期に標準和名を与えられたサンヨウコガタスジシマドジョウとは亜種同士の関係にあり、一つ上の種群でいえばコガタスジシマドジョウということになる。
これで山陽と山陰の両方とも釣り終えることができたが、日本で釣った魚の名前の最長記録を更新することはなく、タイ記録にとどまった(笑)。