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エゾホトケドジョウは散々探し回ってもその都度徒労に終わっていたターゲットだった。だが、とうとうその日はやって来た。実に10回目の挑戦で報われた。8月下旬の暑い日だった。

 

前日までの雨で川はどこも増水しているとみて、道央某所にある、湧き水の水路なら影響は少ないと考え、行ってみた。

 

その水路は確かに雨の影響はほとんどなく、冷たい湧き水がゆっくり流れていた。ウェーディングしてこまめにポイントへキヂ片を入れて行くが、釣れるのはトミヨばかりだった。

ある地点でそれ以上進めなくなったのでトレールへ上がり、少し歩いていると、偶然、畑の横にある素掘りの浅い水路を見つけた。

 

まずは右端の一番オープンになっているところを攻めてみる。流れはなく、ベントスが堆積しており、水深は10センチ弱だった。

 

ベントス穴にキヂ片を置いて道糸を張っていると、何かがアタッたような感触があり、上げたが空振り。すかさず再投入すると、道糸が横に動いた。

 

アワセると、ちょっとした引きの後に茶色くてグルンと丸まっている魚が上がって来た。

 

色的にはドジョウと似ており、ドジョウかもとも思いながら手の平に乗せた。

 

ずんぐりむっくり、まるで足のない小型のマッドパピー(北米に棲むウナギ犬似のサンショウウオ)のようだった。そしてやたらと肩の盛り上がりと、それによってできた中央の溝が目に止まった。そう、決してドジョウにはない特徴だった。

 

やった、ついにエゾホトケドジョウを釣ったー!!

 

北の大地の青い空が祝福してくれていた。

 

初めて釣ったエゾホトケドジョウ、メス

 

初エゾホトケドジョウの俯瞰

 

初エゾホトケドジョウ別影

 

ついに見つけたエゾホトケの棲家。きっとここにはうじゃうじゃいるんだろうと思ったが、その後は期待に反して続かず、水路の残りの部分をチェックしてもそれ以上釣れることはなかった。

 

初エゾホトケドジョウ近影

 

ホトケドジョウと違ってエゾホトケドジョウは雌雄で模様が違うので、その後はオスを探し回る日々が続いた。

 

そして散々また徒労な、蚊に追われる湿地巡りの後で、結局メスを釣った水路のすぐ近くを流れる別の湧き水水路に群を発見し、無事にオスを釣ることができた。

 

エゾホトケドジョウのオス (同一個体)。メスと違って体側にくっきりとした暗色の縦帯がある。

 

オスのエゾホトケドジョウの俯瞰

 

メスのエゾホトケドジョウの腹側

 

エゾホトケドジョウのハビタット

 

こうしてエゾホトケを散々探し回っての感想としては、宝探し的な要素があって楽しいものだったが、夜行性らしいと言われているので、昼間に見釣りではなく、いそうなポイントにブラインドでエサを投入しての釣りは、何の保証もない、いつ終わるとも知れないものだった。そういう意味では最後に群の溜まり場を見つけた時の、後は釣るだけだという安心感は、一気に肩の重荷を軽くしてくれるもので、思わず釣る前に休憩を入れるほどだった。

 

何れにせよ減っている魚なので、もうこの先追うことはないだろう。