旧日本百目での本種のページはココ

 

道北の最果ての原野で初イトウを手にした後、地震や台風を運良く避けながら一気に南下して、東海地方の某所の二級河川の河口に着いた。狙いはボウズハゼだった。

 

河口から少し上流に最後の堰があり、その下流側の大岩の上や岸壁にはたくさんのボウズハゼが見え、とりあえず安心したが、思っていたよりもサイズがどれも小さかった。

 

まずは、ゼゼラの友釣りで使った、マルキューグラスミノーのカタクチカラーを使ってみた。

 

 

だが、どの個体の近くでアクションさせても、全く反応がなかったり逃げられたりで、うまくいかなかった。

 

そこで、ボウズハゼのオスがテリトリーをアピールするときには緑っぽくなることから、同じグラスミノーのチャートリュースカラーを試してみた。

 

これを、深みからの流れ出しの浅瀬にいる数個体の中に投入していると、いつのまにやら手応えが伝わってきて、上げてみるとボウズハゼが掛け針を吻に刺した状態で釣れていた。

 

 

第一背びれが長く伸びていることからオスなので、釣れても不思議ではないが、速い流れの中でしかも一瞬のことだったので全くその瞬間が見えなかったことから、偶然掛かった可能性も捨て切れなかった。

 

そこで、このオスをおとりにして友釣りをすることにした。

 

使ったのは、オーナーの用のノーマル移動鼻かん仕掛TN-2rで、鮎とは違って縦偏しているボウズハゼの鼻の穴に鼻環を通すのは難儀だった(むしろとがった鼻環を使って上顎の中央に縦に貫通させたほうが動物福祉上いいように感じた)がなんとか取り付け、サカバリを尻びれと肛門の間に掛け、自動ハリス止めに3本掛け針のハリスを通した。ハリの位置は尾びれのすぐ後ろになるようにした。

 

また、意のままに動かすために、吸盤になっている腹ビレを半分の長さほどにカットした。

 

これをひなた六尺に1.5号道糸を介して付け、岸のすぐ前にいる、テリトリーを持っていそうなオスの近くに入れてみた。

 

そのオスがいる岩の上の方におとりが着地。おとりはいつものように吸盤でそこに止まろうとしたが、吸い付けないので、ズルズルとゆっくり落ちていった。

 

そして二尾の間がある距離になった瞬間、目にも留まらぬ速さでオスが動いた。と同時に手元に手応えが伝わってきた。

 

上げてみると、これもまた吻に掛け針が刺さって釣れていた。

 

 

今度は間違いないだろう。これを公式初ボウズハゼとすることにした。

 

公式初ボウズハゼ、オス

 

公式初ボウズハゼの俯瞰

 

ボウズハゼのハビタット

 

公式初ボウズハゼの近影。坊主頭のような吻、あるいは苔を食んで肉食をしない姿からボウズハゼと付けられたという。

 

ゼゼラと同様に、ボウズハゼもこの一尾までが長かった。

 

最初に狙ったのは2016年の10月中旬で、三重県の川でたくさん見つけたものの、飼育下ではアカムシも喰うようになると言われているにもかかわらずキヂにもアカムシにも全く反応しなかった。また、グラスミノーを入れてみても仲良く岩の上に座っているばかりで、お手上げだった。

 

そこで2018年の3月下旬に宮崎の川へ行ってみたが、全く見つけられなかった。

 

また同年の5月上旬には高知県の川へ行ってみたが、ここでも見つけられずに終わった。

 

6月上旬には和歌山県の某川に赴き、ここでは三重の川と同様にたくさんの個体を見つけることができた。この時は産卵期前だったので動物性のエサも喰うのではと期待しアカムシをまずは試してみたが、無反応だった。そこで、ひかりクレストプレコという、クロレラやスピルリナを配合した飼料をディスクにしたプレコ用の餌を粉にし、水で練ったものを試してみた。

 

 

だがこれにも全く反応してくれなかった。

 

また、試しに、マルキューのジェイピーズ (JPZ) という、海苔ベースのゲル状のエサも使ってみた。

 

 

だがやはりだめだった。仕方なく、グラスミノーや鮎型ミノー、最後にはおとりボウズハゼまで試してみたが、やる気のある個体はいなかった。テリトリー意識のあるオスは確かにいたが、背びれを立てる程度にしか威嚇せず、アタックには至らなかった。これで、ボウズハゼを釣るには産卵期の間の友釣りしかないと確信し、今回の初物にようやくつながった。

 

鮎の友釣りの代表的な外道でもあるボウズハゼ。もしトライされる場合は、鮎の漁業権のない川で釣るのが無難だろう。

 

2018年6月に和歌山の川の上流域で見つけたボウズハゼ

 

上記の川で使った良型のオトリボウズハゼ

 

オトリボウズハゼで釣れたヌマチチブ