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チチブはそれまでノーマークだった。

と言うのも、ヌマチチブとの識別は非常に難しいと思い込んでいたので、チチブしか分布していない場所でしか狙えないと信じていたからだった。

それが、初ギギが思いがけず釣れた日に、カワアナゴを狙って某川の河口近くを探った際、ヌマチチブばかりが釣れたと書いたが、その後他の魚の情報収集をしていた時に、偶然、「第一背鰭の膜が低いのでチチブ」という文字が目に付いた。

これがきっかけとなり、いろいろ調べたところ、ヌマチチブとチチブの間にはかなりはっきりとした違いがあることを知った。

そうしてその日に釣った魚の写真を見直してみると、1キロに満たない区画の中で、上流で釣ったものは確かにヌマチチブだったが、下流で釣ったものは第一背鰭の棘が細く伸びているように見える。また胸鰭基部の黄色い横斑に橙色の線は走っていないように見え、チチブの可能性が高い。ただ、どの写真も角度が悪く、説得力に欠けていた。

そこで、この日(2015年4月)再び同じポイントにはるばる出向いた。前日に一日中降り続いた強い雨のせいで増水して濁っていたので、以前のポイントと思しき場所をブラインドでキヂで探ったがアタリがない。そこで、浅場で濁りの中でも見えている岩の陰を探ったところ、魚信が伝わってきた。

一呼吸置いてアワセると、なかなかの引きの後に目的の魚が手元にやって来た。

頬の白点は小さくて多く、第一背鰭の膜は棘のほぼ中央あたりまで張っており、縦線はなく、胸鰭基部の黄斑上には橙色の線は走っていない。チチブとして問題ないだろう。この個体を公式初チチブとすることにした。
 


公式初チチブ

 


公式初チチブの第一背鰭。ちょっとわかりにくいが、第二・第三棘の間の鰭膜の端は棘の6割ほどのところにあり、もっと先端寄りに位置するヌマチチブとは違っている。また膜上に連続した縦線がない。

 


公式初チチブの胸鰭基部。黄斑上に橙色の線は見られない。また、頬の白点は小さく多い。

 


公式初チチブの俯瞰

 


公式初チチブの腹側

 


公式初チチブ別影


それにしても、調べた限りではこの川にはどちらもいないと思っていたので、両種とも釣れたのはギギが釣れたことと合わせて大きなサプライズだった。ちょうど棲み分けの境界ゾーンにあたったようだった。

 

チチブのハビタット