ボウズハゼを釣った川ではアユカケも狙ったが、見つけることもブラインドで釣ることも叶わなかった。そこで、大きく移動し、日本海に注ぐ某二級河川の河口にたどり着いた。

 

川は雨の影響で濁って増水していたが、小さな川なので釣りができないほどには荒れてはいなかった。

 

しばらく待っていると雨が小降りになったので、ウェーダーを履いて川に降りた。

 

少し遡ると橋桁があり、まずはその周りの物陰をチェックし始めた。

 

使ったのはホリデー小継の穂先3本に約10センチのハリスを直接つけてガン玉を打ったカジカリグだったが、魚のサイズを考えてハリスとハリの号数は大きくした。エサはキヂの太虫だった。

 

早速何かがヒットしたが、それはスミウキゴリだった。いつものパターンだ。

 

さらに遡ると、また橋桁があったので、雨宿りも兼ねてここで粘ることにした。

 

ここではカジカリグで狙えるような物陰がなかったので、ホリデー小継18尺を使ったボトムバウンシングに切り替えた。竿よりも短い道糸にカジカリグを繋いだだけのシンプルな仕掛けで、ガン玉は3.2グラムでハリは丸せいごの13号、エサは同じくキヂの太虫だった。

 

これを橋桁手前の流れが巻いている部分に入れて道糸を張って待っていると、やがて何かがアタった。上がってきたのは20センチ台のウグイだった。

 

そこではその後アタリが途絶えたので、橋桁の下流に振り込み、底でエサをバウンスさせながら届く範囲をくまなく探ることを繰り返した。

 

何度目かの探りの時に、急に竿が重くなった。そしてまるで小さな雑巾が引っ掛かったような手応えがそれに続いた。

 

そのままゆっくり上流へ引いてくると、それは雑巾ではなく魚で、まず目に付いたのは石のような模様と、三角形に尖った吻だった。

 

尖った吻は意外だったが、カジカであることには間違いがなかった。橋の下だったのと短い道糸のせいで取り込みにもたつき、岸辺のボサの中に魚が入ってしまったりしたが、最後はロングノーズサッカーの時のように糸を手でたぐってランディングネットに取り込んで事なきを得た。

 

あらためてネットの中の魚を見る。大きな頭にくっきりとした黒い二本のバンド。やった、アユカケだ、ついに釣った!

 

初めて釣ったアユカケ、18.5センチ

 

初アユカケの俯瞰。上から見ると、アユカケの特徴である黒い二本のバンドがくっきりと見える。

 

初アユカケの腹側。カナダのパシフィックスタグホーンスカルピンを思い出した。

 

初アユカケの正面。婚姻色のオレンジが口の中に出ていないのでメスだろう。

 

アユカケの名の由来となっている、鰓蓋に生えているかぎ状の棘。

 

角度を変えてみるとこんな感じ。先は鮎を掛けるほどには全く尖ってはいないが、側線に直接当たれば鮎の動きが弱まるかもしれないと思った。

 

初アユカケの別影

 

アユカケを最初に狙ったのは、2016年の秋で、ボウズハゼのところでも出てきた三重県内の川でだった。楽勝だと思っていたのとは裏腹に、全く見つけられずに終わった。

 

その後は昨年の春と秋にも別の複数の川で狙ったものの、勘違いや季節違いのせいで姿さえ見ることができずに終わっていた。また今年の春にも和歌山のボウズハゼの多い川で探したが、全くダメだった。

 

このように、五季かけて一尾に辿り着いたわけだが、おかげでどのような所でいつ、どのように狙えばいいのかがわかった。でも遡上できる川が少なくなっていて数が減っているので、積極的に狙う事はないだろう。

 

この先、もし追うことがあるとすれば、ルアーを使って婚姻色の出たオスを釣ってみたい。でもサクラマス狙いと間違われないように、やはり延べ竿を使う事になるだろう。

 

初アユカケの川の近くでシマウキゴリ狙いの外道として釣れた、人生ニ尾目のアユカケとその鰓蓋棘。2019年10月。