ブリティッシュコロンビア州に移ったらぜひ釣ってみたいと思っていた魚の一つがコカニー、つまりヒメマスだった。日本にいた時にも釣ったことはなく、釣りキチ三平の「早暁のヒメトロ」を読んで以来の熱い思いでもあった。
そんなわけで、攻略法はトローリングしかないと思っていた。インフレータブルボートとエレキモーターは持っていたので、ちょっと艤装に凝ってみたりもした。
ペラやドジャー、ウエディングバンドといったコカニーのトローリング用の仕掛けを揃え、コカニーがいるという情報のある湖には距離や悪路に関係なく赴いた。一番遠くではボナパーティレイクへ6時間かけて行ったこともあった。結局5カ所の湖で計8回チャレンジし、時にはトローリングで、時には胴突きで攻めたものの、全くの空振りに終わった。
そんな中、ブリティッシュコロンビア州在住の有名なフライフィッシャーであるブライアン・チャン氏の、コカニーについてのネット上の記事を見つけた。
それによると、浅い湖に放流されたコカニーは、プランクトンではなくユスリカ、メイフライ、イトトンボなどを補食するようになるため浅場におり、時には水面でユスリカにライズすることもあるという。つまり、トラウトのタクティクスが通用できるということだった。それまでは冷水のある深場にいるとばっかり思い込んでいた私にとっては、コカニーに対する認識が 180 度変わった瞬間だった。
早速私は近くのいつもの湖へ夕方に行き、ボートを出した。2006 年の6月下旬のことだった。トラウトと同じタックルでいいわけだから、この日はライトスピニングタックルにエコギアグラスミノーの、一種のキャロライナリグを使用した。4ポンドラインにヘラ改良スレ6号を全長ハリスでブラッドノットで直結し、中サイズのガン玉2個を結び目より上に打ち、グラスミノー SS (カラー158 スーパーホログラム夜光ピンク) の頭からボディにかけてハリを通した 。
強風の中、水深 4.2 メートルのところでアンカーを降ろし、斜め沖合に向かってキャスト。カウント10 でトイッチング開始。反応なし。次に真向かいの沖にキャストし、カウント5でトイッチングし始めた途端、グンと来た!
なるべく刺激を与えないようにしながらリーリングすると、わりとすんなりと寄って来た。ボートのちょっと沖合にまで右向きに泳ぎながら寄って来て、そこでいよいよ姿を現した。そして左に反転。淡紅色がキラッと目に映った。ということはニジマスか? だが、次の瞬間に目に映ったのはあまりに幅広い赤っぽい色で、体側全体が反射して作り出している色だった。ということは… 少しボートの近くまで来た時にはっきりと確信した。コカニーだ! 銀ピカの体にニジマスとは明らかに違う顔つき!
ここに来て魚は一気に反攻に転じた。右にダッシュした後すごいジャンプ! 1メートルは上に飛んだだろう。ボートローンチから驚きの声が上がった気がした。そして一気にロッドが水中に差し込まれるほどの引き込み! ドラッグがあまり効いていなかったが幸いラインブレイクも口バレもなく、なんとかネットの近くまで来た。が、そこでまた一気に走ったり潜ったりでハラハラさせられた。ランディングにも2、3回失敗したが、なんとか魚体がネットに収まった時は思わず、「やったー!」とローンチまで聞こえるほどの大声で叫んでしまった。
31 センチ。まるまるとしたいい体つきだった。キープして三平のようにバター焼きを食べたい衝動に駆られたが、ファーストフィッシュは殺さないと言う鉄則に則ってリリースした。コカニーにチャレンジして9回目にしてようやく手にした1尾だった。
サケ目サケ科タイヘイヨウサケ属。ソッカイサーモン (ベニザケ) の陸封型。ブリティッシュコロンビア州内では各地の湖に放流が行われているが、自己繁殖している湖は限られている。繁殖していない湖で放流が行われなくなれば、3年後にはその湖からいなくなるということだから、常に最新の放流情報を把握しておく必要がある。
そんなわけで、攻略法はトローリングしかないと思っていた。インフレータブルボートとエレキモーターは持っていたので、ちょっと艤装に凝ってみたりもした。
ペラやドジャー、ウエディングバンドといったコカニーのトローリング用の仕掛けを揃え、コカニーがいるという情報のある湖には距離や悪路に関係なく赴いた。一番遠くではボナパーティレイクへ6時間かけて行ったこともあった。結局5カ所の湖で計8回チャレンジし、時にはトローリングで、時には胴突きで攻めたものの、全くの空振りに終わった。
そんな中、ブリティッシュコロンビア州在住の有名なフライフィッシャーであるブライアン・チャン氏の、コカニーについてのネット上の記事を見つけた。
それによると、浅い湖に放流されたコカニーは、プランクトンではなくユスリカ、メイフライ、イトトンボなどを補食するようになるため浅場におり、時には水面でユスリカにライズすることもあるという。つまり、トラウトのタクティクスが通用できるということだった。それまでは冷水のある深場にいるとばっかり思い込んでいた私にとっては、コカニーに対する認識が 180 度変わった瞬間だった。
早速私は近くのいつもの湖へ夕方に行き、ボートを出した。2006 年の6月下旬のことだった。トラウトと同じタックルでいいわけだから、この日はライトスピニングタックルにエコギアグラスミノーの、一種のキャロライナリグを使用した。4ポンドラインにヘラ改良スレ6号を全長ハリスでブラッドノットで直結し、中サイズのガン玉2個を結び目より上に打ち、グラスミノー SS (カラー158 スーパーホログラム夜光ピンク) の頭からボディにかけてハリを通した 。
強風の中、水深 4.2 メートルのところでアンカーを降ろし、斜め沖合に向かってキャスト。カウント10 でトイッチング開始。反応なし。次に真向かいの沖にキャストし、カウント5でトイッチングし始めた途端、グンと来た!
なるべく刺激を与えないようにしながらリーリングすると、わりとすんなりと寄って来た。ボートのちょっと沖合にまで右向きに泳ぎながら寄って来て、そこでいよいよ姿を現した。そして左に反転。淡紅色がキラッと目に映った。ということはニジマスか? だが、次の瞬間に目に映ったのはあまりに幅広い赤っぽい色で、体側全体が反射して作り出している色だった。ということは… 少しボートの近くまで来た時にはっきりと確信した。コカニーだ! 銀ピカの体にニジマスとは明らかに違う顔つき!
ここに来て魚は一気に反攻に転じた。右にダッシュした後すごいジャンプ! 1メートルは上に飛んだだろう。ボートローンチから驚きの声が上がった気がした。そして一気にロッドが水中に差し込まれるほどの引き込み! ドラッグがあまり効いていなかったが幸いラインブレイクも口バレもなく、なんとかネットの近くまで来た。が、そこでまた一気に走ったり潜ったりでハラハラさせられた。ランディングにも2、3回失敗したが、なんとか魚体がネットに収まった時は思わず、「やったー!」とローンチまで聞こえるほどの大声で叫んでしまった。
31 センチ。まるまるとしたいい体つきだった。キープして三平のようにバター焼きを食べたい衝動に駆られたが、ファーストフィッシュは殺さないと言う鉄則に則ってリリースした。コカニーにチャレンジして9回目にしてようやく手にした1尾だった。
サケ目サケ科タイヘイヨウサケ属。ソッカイサーモン (ベニザケ) の陸封型。ブリティッシュコロンビア州内では各地の湖に放流が行われているが、自己繁殖している湖は限られている。繁殖していない湖で放流が行われなくなれば、3年後にはその湖からいなくなるということだから、常に最新の放流情報を把握しておく必要がある。