2005 年の7月の初旬に、オンタリオ州南部のウェランドリバー水系のクリークの開拓をしていた。あるクリークの橋の上からクリークを見渡すと、岸近くに小魚が数尾見えた。釣ってみようと思い岸辺に降りたところ、一尾のパイクの子供のような魚が岸近くの水草の下から約1メートル下流の別の水草の下に逃げたのが見えた。そーっと近づいてよーく見ると、目の下に暗色の涙斑があり、グラスピッケレルだとわかって興奮した。

相手は 20 センチくらいだったので、小魚用に持って降りたタナゴ用仕掛け (ホリデー白糸の穂先2本にコマウキ仕掛けでタナゴバリ極小、ガーデンワーム) でも無理ではないと思い、その鼻先に仕掛けをそーっと投入してみた。すると意に反してそのグラスピッケレルはウキを落下昆虫だと勘違いしてライズしてしまった。空振りに終わったが、これではダメだと思い、ウキを外し、ハリを赤虫バリ8号に替え、大きめのガーデンワームを通し刺しにし余分はカットして再チャレンジした。ちょうど水草の影になっていて食いついたところは見えなかったが、手応えがあったので、アワセたところ、フッキングに成功。難なくゴボウ抜きにして岸の草の上に置いた。

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初めて釣ったグラスピッケレル。草の上で撮るとまさに草と草で保護色になった。


撮影後リリースすると、普通の魚なら深みに逃げて行くものだが、そのグラスピッケレルは一旦深みに泳いで行ったものの、すぐにまた岸近くの水草の下に戻って来た。学習能力が低いというか、警戒心がうすい魚だなと思った。

カワカマス目カワカマス科カワカマス属。ノーザンパイクと同属。グラスピッケレルとは草色か草の模様の小さいパイクという意味だろう。ピッケレルという言葉はウォールアイにも使われるので紛らわしい。湖や、クリークおよび小さな川のバックウォーターや流れの緩いプールのうち、泥底で水生植物が生えていて水の澄んだ場所を好む。無脊椎動物や小魚、カエルなどを食べる。最大全長 38 センチ強。

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2013 年 10 月にアメリカ・ジョージア州で釣った、グラスピッケレルの亜種とされているレッドフィンピッケレル。タンニンを多く含むいわゆるブラックウォーターに棲んでいるため黒化している。


レッドフィンピッケレルの腹側


レッドフィンピッケレルの顔


2016年10月1日付けで、日本の環境省は本種(カワカマス科全般)を特定外来生物に指定したため、日本国内への輸入が原則禁止となっている。また、日本国内で捕獲した場合に生きたままの移動も禁止となっているが、国立環境研究所の侵入生物データベースによると、2020年8月現在、国内には未定着とのこと。