ボウリング場での出来事 -13ページ目

柳ヶ瀬チーフ・・・発見

柳ヶ瀬チーフ 「アイタタタッ・・・。」



僕 「大丈夫?」



柳ヶ瀬チーフ 「まあ、何とか。イタタ・・・。」



僕 「あーほら。」



ボウリング場での出来事-チーフ

彼はボウリングのピッチャー、柳ヶ瀬歌っテル。



僕のいたセンターのレストランの料理人。



彼の作る料理はとっても美味しかったです。



ボウリング場のレストランで働き始めてから



彼はボウリングを始めました。



しかし、彼は昔、高校野球の元エース。



彼のボウリングの投球フォームは野球だったのです。



その無理のある投球が原因で彼は体を壊してしまい



ボウリングをしばらくの間、お休みする事となったのです。



・・・・・・・・・・・・ボウリングお休み中・・・・・・・・・・・・・



柳ヶ瀬チーフ 「このボールはカッコイイね!どんな感じなの?」



僕 「それはさっき入荷したんですよ。切れもいいらしいですよ。」



柳ヶ瀬チーフ 「へぇ~・・・まあ、俺には早いか・・・。」



僕 「そんな事は無いけど、まあ、痛いのを治してからでもいいんじゃないですか?」



柳ヶ瀬チーフ 「まあ、そうだね。」




彼は近頃、仕事の合間にプロショップに頻繁に訪れていました。



展示ボールやグッズを見たり、ドリルを観察していたりで興味津々の様子でした。




柳ヶ瀬チーフ 「これは誰のボール?」



僕 「あ、それは僕のですよ。ちょっと研磨しようかなと思って。」



カウンター風のショーケースの上に無造作に置いてあった僕のボールをマジマジと見ていました。



柳ヶ瀬チーフ 「ちょっと、持ってもいい?」



僕 「別にいいですよ、全然。」



柳ヶ瀬チーフ 「同じくらいだね手の大きさ、指はグスいけど・・・・・あれ?・・・あれ?・・・。」



僕 「あー、持った感じが違うでしょ、僕のは親指の角度をスッゴイ入れてますから。」




今もですが、僕はサムのバーティカルピッチ(前後のピッチ)をすっごいフォワードにしていました。



4 3/16 スパン(親指の付け根から中指第一関節までの間隔)


サム(親指)のホールサイズ 15/16  ラテラルピッチは0(左右のピッチ)



そしてフォワードに1/2入れていました。



これはかなりの数字だと思います。



超有名ドリラーの高田 誠氏の握り角度55度と57.5度の有名なピッチチャートがありますが



そのチャートに当てはめると僕は55度なら1/16フォワード、57.5度なら1/16リバースになります。



なんだか、改めて比べると全然違いますね。僕のピッチは。



何故にこんな事になったのか、それは僕自身が色々と試すうちに自分にとってこのピッチがとっても投げやすかったのです。



最初からこうだった訳ではありません。少しずつ少しずつ自分のボールをドリルするたびにこの数字にたどり着いたのです。



普通に考えると、抜けない様な感じにとられますが、親指が真下を向く所で逆らわなければ抜けるのです。



もう一つそうなった理由があります。僕自身の投球フォームがかなりの前傾なのです。



その前傾のためリリースポイントが遅いのです。



世間ではどうなのか良く知りませんが。僕にはとっても投げやすかったのです。



カップをする際にも親指の向きがより内側に入るので、力まなくても手首が反対に折れにくいのです。



以上の事が良いのか悪いのかは知りませんけど。



まあ、大したボールを投げるわけでもありませんが。



僕には最適です。




話を戻します。



柳ヶ瀬チーフ 「・・・あれ?持ちやすっ!・・・僕のと手の幅は同じなのに・・・持ちやすっ!・・・何で?」



僕 「持ちやすい?ふーん・・・僕のはねチーフのより親指の角度がきつく入っててね、まあ、あんまり他の人にはしてないけど、何人かしかね。」



柳ヶ瀬チーフ 「僕のもこんな風にできる?」



僕 「できるよ、もちろん。でもそれってね、体がツッコミ気味の人にやる事はあっても、チーフのように胸を張って投げる感じの人にはまだした事無いから、何とも言えんよ。」



柳ヶ瀬チーフ 「いや、お願い。やって!何かすごい いい感じだ!」



彼は何度も僕のボールを持ちながらスイングをしていました。



                                 つづく


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柳ヶ瀬チーフ・・・理想

当たり前の事ですが、ボウリングと野球は違います。



以前、足腰の強靭さの事では取り上げましたが



投球フォームそのものについては全く違います。



当たり前の事ですね。



砲丸投げの球を野球の投球のように投げれば脱臼します。



重いものを投げる。



その事には力では成し得ない制限があるのです。



当たり前ですね。




柳ヶ瀬チーフの投球は野球そのもの。



そのものと言っても、決して上から投げるわけではありませんが、そのフォームがそのモーション自体が野球なのです。


ボウリング場での出来事-チーフ



僕 「今日も練習しますか?」



柳ヶ瀬チーフ 「あー、ちょっとしてみるよ。」



僕 「チーフね、くどいですけど、野球じゃ体が壊れますよ。本当に。」



柳ヶ瀬チーフ 「うん、わかってるけど何か、何か・・・何でだろう・・・。」



僕 「後でちょっと見に行きますわ。」



柳ヶ瀬チーフ 「あ、うん。」




(ボテッ!・・・ドンッ!・・・ガンッ!)



柳ヶ瀬チーフ 「チキショーッ!」



僕 「いいですか、4歩ならねこうです。いきますよ!はい! いち・にい・さん・し!!」



僕 「じゃあ、もう一回、行きますよ。はい! いち・にい・さん・し!!」



僕 「そうです、そうです!そんな感じです。力まなくていいんです。」



柳ヶ瀬チーフ 「うん・・・あーだねー・・・うん。」



僕 「ん?何か腑に落ちませんか?」



柳ヶ瀬チーフ 「いや、何てゆうか・・・もっと、ガツン!!と投げたい感じでね。」



僕 「・・・あのね、タイミングが合ってくればね、できると思うけどね、今は全然会ってないから無理。」



柳ヶ瀬チーフ 「そうだよね・・・。」



僕 「うん。そう。でないと腕も体も壊すよ!本当に。」



何日も何日もチーフはボウリングができるように、練習に励みました。



無理なスイングも最初程ではなくなりましたが、やはり、まだ、全然、野球でした。



抑えきれないガツン投球も時折にやってしまっていました。



彼は理想があったのです。





そんな最中にやはり、その時はやってきました。



僕 「今日は練習しますか?」



柳ヶ瀬チーフ 「いや・・・今日は止めとく。」



僕 「どうしました?」



柳ヶ瀬チーフ 「いやー、肩と腕と・・・痛くて・・・。」



僕 「あちゃー、言わんこっちゃ無い、そりゃしばらく休憩しないと。・・・それに野球はダメですって。」



柳ヶ瀬チーフ 「うん、しばらく投げん。てゆうか投げれん。俺なー野球のつもりは無いんだけどなー。何でだろう。」



僕 「いんにゃ、野球。だから、もっと力まずに投げないと本気で壊れるよ!」



柳ヶ瀬チーフ 「うん、もう壊れた。今日の仕込みはキツイなー。」



僕 「仕事に思いっきり影響しとるし、いけんよ。まあ、禁ボウルだ。」



柳ヶ瀬チーフ 「あっでもね、指はこのテープで大丈夫だったよ。これで助かったわ。指やられたら、水仕事はキツイもん。」



このテープはこれです。

Wave(ウェーブ)ボウリング・タイミングテープ 25mm 2個セット

¥1,323
プロショップ朝日ヤフー店




僕 「そうだよ、まったく。料理人は手が命だよ。」



柳ヶ瀬チーフ 「仰る通りで・・・。まあ、しばらく休憩する。」



彼は料理人です。手を怪我するなどもってのほか。



大事な指はボウリングテープで守られました。



しかし、肩と腕は壊れかかっていました。




凄いボールを早く投げたい気持ちはわかります。



しかし、自分の理想を無理にしようとすると何かしらの支障がでるものです。


彼はボウリングを投げる楽しさを感じぬまま、休憩するはめになりました。




彼はこの時、全くボウリングを楽しんでいなかったのです。



彼は自分の思い通りにならないボウリングに腹を立てていたのです。



腹を立てたものに人の忠告を受け入れる耳など無かったのです。




だが、しかし、彼は幸運でした。




この休憩により彼に素晴らしい事が起きるのです。



この事により彼は変わるのです。



                         つづく


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柳ヶ瀬チーフ・・・モーション

僕 「お疲れです、僕、上がりました。」



柳ヶ瀬チーフ 「はい、お疲れさん、飲む?」



僕 「うん、飲む。え~っと・・・。」



柳ヶ瀬チーフ 「!何か作るわ、ちょっと待ってて。」




いつもの喫茶のカウンターで仕事が早く終ると焼酎を楽しみます。



僕の癒される時です。



その際に柳ヶ瀬チーフは僕に美味しい酒の肴を作ってくれます。



その酒の肴をつまみながら、好きな焼酎を楽しみます。




僕 「そろそろ、マイボール作りましょうよ。」



柳ヶ瀬チーフ 「俺?いや~、いいよ。」



僕 「面白いですよ。チーフは野球してたんでしょ。だったら、上手いと思うけどな~ボウリングも。」



柳ヶ瀬チーフ 「そうかな~でも高いよね?ボールとか。」



僕 「いや、そんな事無いよ。安いのもあるし・・・あっ!僕のをあげるわ!プラグドリルして。」



柳ヶ瀬チーフ 「プラグって?」



僕 「あいてる穴をうめて塞いで、今度はチーフの手に合わせて穴をあけるって事。」



柳ヶ瀬チーフ 「くれるの?いやー悪いわ。」



僕 「前の使ってないボールがあるから別に悪くもなんとも無いよ。靴は御自分でどうぞ。」



柳ヶ瀬チーフ 「本当に?!・・・それじゃあ、お言葉に甘えて。」



僕 「ならね、3日後にドリルできるようにしとくよ。3日後ね、デビューね。シューズも買ったら?安いのあるよ。」



柳ヶ瀬チーフ 「じゃあ明日見せて。従業員割引あるの?」



僕 「あるよ。よーし、チーフもボウリングか!」



カウンター越しに柳ヶ瀬チーフはシャドーボウリングをしながら言いました。



柳ヶ瀬チーフ 「肉団子食べる?」



僕 「あ、食べる。」




・・・・・・・・・・・・3日後・・・・・・・・・・・・



柳ヶ瀬チーフ  「おおおーっ!できたかー!おおおっー!これかー!」



僕 「さっそく投げたら?」


柳ヶ瀬チーフ 「じゃあ・・・お言葉に甘えまして・・・端っこのほうで・・・。」 




喫茶前の一番端っこのレーンに彼は入りました。



柳ヶ瀬チーフ 「それでは・・・。」




彼は一歩を踏み出しました・・・。



僕 (あれ?なんだ?)



大股でゆっくりと最初の一歩を踏み出し



腕を大きく振り下ろしたモーションをとり



ゆっくりとした2歩目、3歩目の後



しっかりとした4歩目で思いっきり踏み込み



力いっぱい手遅れの大きなスイングを強引に行いました。




僕 (あれ?ピッチャーだ・・・)



力のこもったボールはノーコンのクソボール



目の前のガターに突撃しました。



柳ヶ瀬チーフ 「あら?!重いな?!」



僕 「・・・そりゃ・・・・ボウリングの球だから・・・。」



柳ヶ瀬チーフ 「じゃ、もう一回・・・おかしいな?」



再び、彼は一歩を踏み出しました・・・。



僕 (まただ・・・野球だ・・・投手だ・・・)



力のこもったボールはノーコンのクソボール



先ほどとは反対のガターに突撃しました。



柳ヶ瀬チーフ 「結構、肘にくるね、難しいな・・・。」



僕 「あの~、それって・・・ピッチングに・・・なってますよ・・・サイド?アンダー?・・・肘にきますよ・・・そりゃ・・・。」




彼は元高校野球の元エース。



サイドスローの小さな巨人。



彼のボウリングはピッチャーそのものです。



彼の苦悩の始まりでした。



そして、彼は料理人。



美味しい料理でお客をもてなすのです。



ボウリング場での出来事-チーフ


                        つづく



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