向日葵の育て方 3
今回は、重い内容が含まれています。












私のお腹に赤ちゃんがいる。




世界に鮮やかな色がついた気がした。




職場でも嬉しくて仕事も自然と力が出て頑張れて





今まで感じたことのないあたたかさに包まれた。




夫と2人でお腹のこの子の呼び名を考えて、
高校時代、私が友達に「あおいの子供は小町ちゃんって感じ。」と言われたことを思い出し、
お腹に向かって、小町ちゃんという胎児ネームで呼んでみた。




検査薬で陽性が出て初めて産婦人科を受診した時、まだ小さな小さな黒い点と胎嚢が映っているだけで、心臓を確認することは出来なくて、
次の健診まで、赤ちゃんが育っているか、元気でいるか、家にエコーがあれば良いのに!と、何度も思いながら過ごした1週間はとてつもなく長く感じていた。





そして、1週間後、エコーの画面ごしに見る心臓は、ピコピコピコピコと元気に動いていた。





お腹の中にもう一人の命が宿っているのは、とても…、不思議な感覚だった。
私のお腹はまだペタンコで、悪阻もなく、胎動も感じず、それでも小さなあなたが苦しくないように、笑われるかもしれないけれど、トイレをするのも怖くって。




お腹に力が入らないように、お腹を抑えないように、身体を冷やさないように、お腹を守って、妊娠中に食べてはいけない食材を調べて、少しだけでもあなたが元気に育つように。




とてもとても幸せだった。
あたたかい時間が流れていた。




だけど、
仕事が休みのある日、ベッドで休んでいて、ふと、トイレへ行くと、私は出血していた。




何が起きたのかわからず、だけどあなたを死なせたくなくて、自宅近くの婦人科へ飛び込んだ。





そこの女医は、自分の患者ではない妊婦の私に、「もう、ダメですね。」と面倒くさそうに一言言った。





それが信じられなくて、その後離れた場所にある、かかりつけの産婦人科に行くも、
あなたの心臓は、もう動いていなかった。





その後のことは、手術を受けた時のことも、なんだか…全然記憶になくて、
ただあなたの身体は見付から無かったと言われたことと、
看護師さんが泣きながらかけてくれた「赤ちゃんは、きっとお腹に戻ってくるよ。」という言葉が無かったら、もしかしたら私は、立ち直れなかったかもしれない。








私を初めて『お母さん』にしてくれた小町ちゃん。
この日々も、あなたのこともママは、ずっとずっと覚えてる。
小町ちゃんのことを思うと、今でもあたたかい気持ちになるんだ。
あんなに優しい気持ちになれたことは、今までもこれからもないんじゃないかなー。
いつか、あなたを抱っこ出来るのを楽しみにしてる。





続く





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