スタッフの半分近くが熱中症で倒れる | 今だから話せるウルトラクイズ裏話

今だから話せるウルトラクイズ裏話

17年にわたって放送された「アメリカ横断ウルトラクイズ」。構成作家として最初から最後まで関わってきました。放送出来なかったエピソードや裏話を思い出すままに綴っていこうと思います。

メリカ横断ウルトラクイズは毎年1ヶ月近い日程でロケを行っていました。
その間に移動する距離やロケの回数を考えると、物凄い強行軍であるのは間違いありません。
例えば朝4時起床で、夜は打ち合わせが終わって解散が0時などという日も別に珍しくはありません。

タッフは慣れたもので、バスであろうと飛行機の中であろうと、ヒマが出来ればグッスリと眠って鋭気を養うように訓練?されています。
お陰で17年間、急病で脱落する人もなく無事に番組は収録されました。

でも、ヒヤヒヤするような出来事は何回もありました。
私自身も当事者になったマイアミでの、アクシデントを書いてみたいと思います。

れは第11回で、メキシコカンクーンからマイアミに移動した時の事でした。
マイアミは陽光溢れるアメリカの熱海といった人気の観光地です。
すぐ近くにはエバー・グレーズと呼ばれる広大な湿地帯があります。
東京都がすっぽりと入るほどの広さの、葦の湿原でなんとアリゲーターの故郷です。
アリゲーターとはアメリカ産のワニの事で、あっちこっちにワニが泳いでいるという恐ろしい湿地帯なのです。

↓エバーグレーズ国立公園

エバーグレーズ国立公園

↓アリゲーター

アリゲーター

この名物は「エアボート」と呼ばれるボートで、扇風機の親分みたいな大きなプロペラをボートに取り付け、湿原の中を爆走して移動するのです。
音は凄いし、スピードは出るし、若者たちの遊びとしては最高の迫力です。
ここでのクイズは、爆走エアボート・クイズ

↓エアボート

エアーボート


クイズが出題されます。
直線で1キロほど先に、あ・い・う・え・お、と51枚の文字が書かれた大きなカードが浮いていて、正解の頭文字を拾ってきて答えなければならない。
回答者6人が乗ったエアボートが、轟音を発しながらエバーグレーズの水上を走り回るというダイナミックな演出だったのです。

イズが出題されるステージも水の上。
水深は20~30センチと浅いので、スタッフもジャブジャブと水の中を歩いて、セッティングが行われます。
勿論、ワニに襲われるような事がないように、パークレンジャーのおじさん達が警備をしてくれています。
そんな中で、会場の準備からリハーサル、本番、撤収までと、ほとんど1日中湿原の中で作業が行われました。
暑くなれば水の中に足を入れられるので、それほど苦にはなりません。
飲み物もたっぷりと冷やしたジュースやコーラなどの飲料水が大量に用意されているので、のどが渇くようなことはありませんでした。

1人気分が悪くなるような事もなく、無事に撮影が終了して、ホテルに戻りました。
シャワーを浴び、みんなで食事に出ましたが、私は食欲が全くなくて気分が悪いので早く部屋に引き揚げて、休もうと思いました。
ところが、身体が熱っぽいので計ってみて驚いたのです。
何と39℃近い熱があるではありませんか。
その日は、私はたまたま同行するドクターと同室でした。
だから夜中に苦しくなっても診てもらえるものと安心して、先にベッドに入ったのです。
何時間かして、症状は益々悪くなりドクターの手当てを受けようと思ったのですが、ドクターは部屋に帰ってこないのです。

晩中苦しんで、夜が白々と明ける頃にやっとドクターが戻ってきました。
見ると彼も疲れきった表情です。
聞けば、スタッフの半分以上が身体に異常を訴え、次から次へと部屋を廻って手当てをしていて、今ようやく開放されたとの事。
その頃には私も大分症状が安定し、普通に話が出来る状態に戻っていました。

クターの話によれば、我々はほとんどが熱中症に罹っていたのだそうです。
というのも、熱中症は高温、多湿下で発症する病気で、水を飲んだからといって安心できません。
一緒に塩分を補給しないといけないのだそうですが、そこまでは気が付かなかったのが原因でした。
当時は現在ほど「熱中症」は騒がれておらず、あまり一般的では無かったんだと思います。

いにして、頑強なスタッフが多かったので、翌日にはみんな回復しましたが、今だから話せる危機一髪の出来事でした。