(3)生活

旧石器時代の生活は未解決の領域が多いのです。
そのため、的確に覚えておけば受験では問題ないでしょう。

この時代は獲物を求めて移動したり、植物を採集する自然物採取(集)経済です。
断崖下の岩陰や洞窟で10人ほどで生活をしてましたが、末期になると竪穴式住居で大集団を形成して生活するようになります。

また、この時代には石器も発明されました。

最初に使われるようになったのは、石塊を打ち砕いて、一方を尖らせて作る打製石器です。
有名なものには打撃用の握槌・握斧=ハンドアックス(hand axe)があります。

次に使用されたのは剥片から作られたナイフ形石器です。主に切断用として使用され、石刃=ブレイド(blade)があります。

その次に使用されるようになったのは、刺突用として開発されたポイント(point)や石槍です。

末期になると細石器(microlith)もつかわれるようになり、徐々に狩猟方法が変化してきたことが窺い知れます。
(2)様々な遺跡

前回触れた岩宿遺跡以降、全国各地で旧石器時代の遺跡が発見されました。

し、か、し。
数年前に話題になった「GodHand」だかナンダカ言ってるおじさんの捏造疑惑により、この時代の遺跡は全て信憑性がなくなってしまいました。
なので、入試でもほとんどでないといってよいでしょう。

覚えておいたほうがいいのは…

北海道白滝
黒曜石の産地。

長野県野尻湖
ナウマン象の化石・骨格が湖底より発見。

ってくらいでしょうか。
注意することといえば、打製石器は発見されるが、土器は発見されていないということ。
まぁ、文化名を見れば一目瞭然ですけど。
(1)発見の端緒

さて、今回は旧石器文化が発見された端緒について説明したいと思います。
旧石器時代の文化は、土器が使われる文化よりも古いため、先土器文化とか、無土器文化、先縄文文化などと言われたりします。

明治時代から、日本の更新世に人類は生息していないという定説がありました。しかし1人の青年がこの定説を覆したのです。

青年の名は相沢忠洋1946年、群馬県新田郡笠懸村岩宿の切通しの洪積世の地層(通称関東ローム層=赤土層)の中から、打製石器を発見しました。
これが日本における更新世時代の遺跡として初めて発見されたものでした。
岩宿遺跡以降、全国各地で更新世時代の遺跡が発見されました。
さて、前回も触れましたが人類が誕生したのは新生代第三紀末だと言われています。

人類は化石人類の研究により、

     猿人→原人→旧人→新人

の順に進化したとされています。
これらの化石人骨(=更新世界人類)は日本列島でも発見されています。
以下に主な化石人骨を挙げておきます。

明石人骨
1931(昭和6)年、直良信夫兵庫県明石市西八木海岸の粘土層の地層の中から1腰骨を発見したのですが、太平洋戦争時に焼失してしまいました。戦後に、発見した腰骨の石膏模型を研究した結果更新世の人類と判定されたのですが、現在では旧人の人骨ではないかといわれています。

葛生人骨(旧人)
1950(昭和25)年、直良信夫が栃木県阿蘇郡葛生町から下顎骨を発見しました。しかし、これは近年になって偽物ではないかと疑問視されています。

牛川人骨(旧人)
1959(昭和34)年、鈴木尚が愛知県豊橋市牛川町から上腕骨の一部を発見しました。

三ヶ日人骨(新人)
1959(昭和34)年、鈴木尚が静岡県引佐郡三ヶ日町から頭骨・大腿骨など7片を発見しました。この人骨はホモサピエンス=現生人類の特徴を持っているのを覚えておきましょう。

浜北人骨(新人)
1961(昭和36)年、鈴木尚が静岡県浜北市岩水寺の石灰岩採石場で頭骨・鎖骨・上腕骨などを発見しました。

聖岳人骨(新人)
1962(昭和37)年、大分県南海部郡聖岳の鍾乳洞窟の中から足首・頭蓋骨などを発見しました。

山下人骨(新人)
1968(昭和43)年、沖縄県那覇市山下町で発見されました。

港川人骨(新人)
1968~74年にかけて、沖縄県島尻郡港川で発見されました。ここからは完全な骨格4体が発見されたことで有名です。また、広い額・低身長と中国広西省で発見された柳江人と共通した特徴をもっていて、古モンゴロイド(蒙古人種)であるといわれていて、これがやがて縄文人になったのだといわれています。
前項でも触れましたが、人類が誕生したのは新生代第三紀の末(約400万年前)であると考えられています。
人類は猿から進化したというのが通説ですが、人類学で一般的に言われる、人類と猿の違いは、

①直立二足歩行
②言語の使用
③火の使用
④道具の製作と使用

であるといわれています。

猿が人類と進化する更新世は、4回にわたって氷河が北緯35度まで南下したことにより、地球上が寒冷な気候になった時代です。「氷河時代」ですね^^
現在と比べると海面が100~140mも低下していて、この時期日本列島とアジア大陸は陸続きでした。

そのため、大陸から(現在の)日本列島に様々な動物がやってきました。
中国産のステゴドン象。北方から来たマンモス象ヘラ鹿。そして南方系のナウマン象大角鹿などです。
こうした大型獣を追って、人類も日本に渡来してきたと言われてるんです。

ちなみに。。。
ナウマン象の名前の由来は化石を発見した人の名前に由来しているって知ってました?1973年に長野県野尻湖の湖底からドイツ人ナウマンが発見した頃に由来してるんです。