「親には頼りたくない。」

新築相談で良く聞く話です。親どころか銀行から保険から頼れるものに頼りまくって家を建てた私としても良く分かるお気持ちです。私が、なんで親を頼りたくないのかというと、親に口出しされたくないからです。

 

そんな気持ちもわからずに、何で親は勝手に贈与すると言ってくるのか!他人は親を頼れと言ってくるのか!「どうせ親に頼って家を建てるのだろ!?」って思われるのか!と嫌になります。

 

この気持ちの裏側は人それぞれですが、ここには深い意味があると思います。

日本は戦後、建築大国となり家を建てる事をあおって国を発展させました。そして年寄りにお金を持たせる制度にしました。住宅購入時の贈与なども税控除の対象にしました。

国家戦略で、住宅建築と建築時贈与を勧めたのです。しかし住宅購入は、いわば一国一城の主となる事を意味します。言いかえれば、親に頼らなくなるくらい一人前になった証、独立家族の証でもあるのです。そこに贈与は矛盾なのです。独立の強い意志の真只中で親に「贈与」って言われてもずっこけちゃいますよね。

 

もう一つは、現在住宅建築は信用がしっかりしてなくても、安い金利で長くローンが組めるので、若い人にも手が届きます。しかも保証人が要らないケースが増えて益々親を頼りにしなくても建てられてしまうのです。

つまり、たとえ半人前でも、一人前の顔をして親族を頼らず家を建てられる時代なのです。

 

この2つをまとめると、新築を増やしたい国家が、本来40歳代50歳代でやっと建てられる家を、時期早々の20歳代30歳代の若者に建てさせる為、『家を建てる本来の意味が分かるまでに至らないまま建てることとなる。→分からないことがあるから、経験者が口を出す。→自分本位の家が建てられなかったり、延期になったりすることが頭に来るので、口出しされたくない。→贈与は受けなくて自分や妻(夫)の思い通り建てる。→銀行は口を出さずにお金を貸してくれる。→親の口出しより銀行の金利を我慢する。』という図式になるのでしょう。

 

「親のうっとうしい口出しは有難いもので、銀行の金利はお金だけのつながりだ。」と気が付いた時には素直に銀行の信用証書よりも親との口約束を信用できるようになるのでしょうが、そう思える前に家を買えちゃう時代に【親の子に頼られる喜び】を奪われている気がします。

 

少しでも多くの若者に「かったるいけど、親を頼ってやるか!」なんて気風の良さを持ってもらいたいものです。

母の日にカーネーションを送る親孝行より、偉そうに口出しさせてあげる親孝行を分かるときは必ず来ます。そうなってから建てた家は、自分本意ではない家なので、家族にやさしい、年をとっても優しい、飽きの来ない家になるのです。