lightのちょっと変わったエロゲ『タペストリー』の共通ルート感想です。共通ルート感想といっても、エンディングのネタばれがありますので注意してください。まあ、このゲームのコンセプト的に、主人公のはじめがああいう風になるというのは購入した時点で分かることだとは思うんですけど……。────ネタばれ
というわけで、基本的にこのゲームはどう転んでも悲劇なわけです。泣きゲーとして運命づけられて生まれてきたゲームです。ただ、私がこのゲームを大好きなのは、もちろんラストの悲劇的展開もありますが……共通ルートの得も言われない明るさがあるからです。 というか、共通ルートを読んでいると、本当にこの後、悲劇展開が待っているのか疑わしいほどにほのぼのです。明るく、楽しく、ギャグとユーモアに満ち溢れています。楽しい学園生活を描いたエロゲは星の数ほどありますが、私はその中でもこのゲームの学園生活はかなり高く評価します。 5人のヒロインが5人ともハズレ無しに可愛いいい。一応私の推しメン（？）はこしあん娘のひかりと、飄々として素敵な遙海ですが……後の三人も甲乙つけがたいです！ シナリオの佐野晋一郎さんは、このゲームの他には『その花びらに口づけを』シリーズを書かれています……そしてそちらは未プレイですが、百合ゲー書いてるから女の子を書くのがうまいのかなあ。すごく可愛いヒロインたちなのに、どこか媚びがないんです。 ツンデレちゃんの美那とか、絶対安易に「べ、別にあんたなんか好きじゃないんだから！」なんて言いません。美那ルートは未プレイですけど、本人のルートに入るまでは真剣に『ツン』のみです。「あんたに告白するくらいならスズムシに告白した方がマシだわ」とか素でくーるに言われた時にはM的に嬉しくてゾクッとしちゃいました。（←へんたい） 学園生活ジャンルとしては『変な部活もの』だと思うんですけど（そんなジャンルがあるでしょうか）、コミックの『究極超人あ～る』から延々と続く一連の流れに則って、変人部長の遙海（すごく『あ～る』の鳥坂先輩っぽい！）も、愛嬌ある敵役の自治会長・幾人も、部員じゃないのになぜかレギュラーメンバーの真司も、魅力的！ かわいい！ うんうん、主人公のはじめ含む男性キャラも素敵なんだなあ。 学園生活が明るくて楽しいからこそ……最後の悲劇が際立って悲しいのでしょうけど。でも、わたしは共通ルートだけ売っててもこれは買います。初めてこのゲームをプレイした頃には、こしあん大好き娘のひかりの影響を受けて毎日こしあんパンを食べ、しまいには袋入りこしあんを買ってきてスプーンで食べ、そのことをSNSに書いたら友達に「こしあん直食いとか……」と呆れられる、という、どっぷり『タペストリー』な日々をおくってしまいました。 このゲームの良いところはシナリオだけにあらず。漫画の吹き出しっぽい台詞の表示方法も、生き生きとしたキャラクターの魅力を引き出しています。字幕表示が独特だから、ちょっと画面のテンポがゆっくりなんですけど、私は気になりませんでした。むしろ『よい間』という感じ。あとであちこちの感想を見たら「のろのろ表示鬱陶しい！」な人が多くてびっくりしました。 そして絵！ Gユウスケさんの絵が一番アニメっぽかった頃かな？ ちなみに今（2015・3月）の絵は好きといえば好きですけど、どんどん前衛芸術の方へ突っ走ってる感じがします。カコイイけどね。『タペストリー』の絵はアニメっぽいのに上品で、好きです。学園一のおっきな胸設定の詩さんが、確かに大きいけど控えめな胸に描かれているのなんて感動的。ふつうのエロゲだとそこは「どうなってるんだそのブラウスは」というくらいはちきれさせるところなのに。 そして音楽もすごくいい雰囲気。特にタイトル画面の曲！ 遙海部長のつま弾くウクレレの音色（？）なのかな。ほんと悲劇ゲーとは思えないくらい気合いが抜けていて良い曲です。日常のBGMもいいものばかり。 さて、こんなに褒めまくったんですけど、まだひかりルートと遙海ルートしかクリアしていないんです。そして発売されて6年、PCを買い替えたので一度はデータの引き継ぎに失敗して初めからやり直しています。でも、まだ3人も未プレイのヒロインがいるなんて幸せ
です。 最後にツッコミ……このゲームのシナリオ大好きだけど、はじめの抱えている大きな秘密が部員全員にバレるくだりはかなり大ざっぱというかありえないくらいの『迂闊さ』の嵐ではないだろうか？ もう少し自然にバラすことはできなかったかな。あと、『真里谷』とかいて「まりやつ」と読む苗字は初めて知りました。勉強になります。- タペストリー -you will meet yourself- original sound .../light
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