TPPの事前交渉の結果については、各方面で罵詈雑言が浴びせられております。
それらの中には、「丸呑みを強いられた」、「一方的譲歩」、「惨敗」、「情けない交渉力」、「高い参加料」等々と、散々の言いようです。
彼等はなぜ、こうまで熱く舞い上がるのでしょうか。
現段階でこのように、交渉当事者に後ろ弾を撃つ遣り様を、誠に残念に思うのです。
冷静に考えて見ましょう。
ありえない話ですが、あくまで仮定の話として、我が国が1年後に全ての関税を撤廃するとして、交渉参加国にも同様の措置を求めたらどうなるでしょうか。
ほとんどの国は、困惑するでしょう。
関税撤廃を目標の一つとする交渉においては、全面撤廃は最強の切り札とも言えます。
また、一般的に「一方的譲歩」とか「惨敗」などと評される『大きな譲歩』は、『大きな切り札』でもあるのです。
我が方の大きな譲歩は、相手にも大きな譲歩を引き出す担保になります。
交渉ではそれぞれの国の事情により、「譲る分野」と「守る分野」に分かれます。
我が国が一方的に譲歩したとされる、自動車やかんぽ生命の件は、極めて安価に済んだ大きな譲歩と言えます。
今後、他の分野において、今回の「大きな譲歩」を折衝の材料にしてほしいものです。
さて、半世紀も前の話になりますが、経済成長路線を取り所得倍増を謳った首相がおり、貿易交渉の一環として地元のレモン農家に「涙を飲ませ」ました。
個々の事情は当時と違うものの、国全体の未来を考えた場合、「譲る分野」と「守る分野」は厳然と存在することに変わりはありません。
交渉の内容を、「非情」とか「弱腰」とか「売国奴」などと罵る「短慮の徒」は、常に存在します。
しかしながら、譲歩に至る「弱い分野」は、種々の交渉以前に、規模が零細なことや事業主の高齢化等で「先細り」であり、早急な抜本的対策が必要です。
したがって、交渉の代償としての「補助金」を元に再建の道を歩むことこそが最良の選択なのです。
なお、一部にTPPとの平行交渉を糾弾する論調がありますが、窓口はTPPだけでは無いのはごく普通のことです。
この度の事前交渉結果への糾弾を見るにつけ、暴言の徒には、冷静になることを求めたいのです。
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