2017/01/13(金)pm18:30
宝生能楽堂

宝生能楽堂デビュー。
ここは職場から行きやすいし、土地勘があるから楽。雰囲気は国立能楽堂の方が好き。

■連吟 雪山
年始のお稽古初め?かな?年明け最初に集合した時に謡う様とかで、それを伺ったのもあり、雪山という題名もあり、また勿論お腹から響く朗々としたお声ゆえに、清く雄大な気持ちになれてスキッとしました。


■鶏聟

凄く良い曲!
毎度「気に入った、気に入った」と書いていますが、この曲もとっても好き。
笑えるんですが、笑えるからというよりも、良いお話でしたので気に入りました。

中村修一さんの真っ直ぐな聟も良いし、なんといっても石田幸雄さんの舅の温かさに感動。「もう、すっごく良いよ~ウンッ、ウンッ」とひとりで頷いてしまいました。
きっと、石田さんの懐深い大人なさまが上手いんです。

それにしても、鶏冠付きの烏帽子を被らされる中村さんには「やーめーてーあーげーてー」と思いました。笑
中村さんはふざけていてもああいうのは被りそうにないという勝手なイメージなので…あの配役、絶妙。


■寝音曲

決して愚鈍ではない主人 内藤連さんを、うまいこと誘導する太郎冠者 萬斎さん。
最終的には主人が一枚上手。

この曲は分かりやすいお話なのですが、謡が魅力的でないとストーリーとして成立しませんので、良いお声の萬斎さん太郎冠者で観ることができて嬉しい。
萬斎さんの謡が聴かせどころで、体を傾けた姿勢であのお声。どうやって出すんだろう。真っ直ぐな姿勢より声を張らないと駄目でしょうし。なのに、全くキツそうに見せない。
存分に堪能しました。


■素囃子 神楽
なんとなく幻想的というか異国情緒というか、特に笛の音にそういう風情を感じましたが、私だけかも知れません。
とにかく私にはそう感じられたので、次の、唐人が出る茶子味梅への繋がりを感じられて面白かったです。


■茶子味梅
なんちゃって中国語を操る唐人 万作さんの可愛らしさにやられました。
鶏聟の石田さんも寝音曲の萬斎さんも凄く凄く良かったけれど、この万作さんに全部持っていかれた感じ。
これDVDにならないかなー。癒し。

妻 高野和憲さんも、最後の一喝など大変怖くて…ビクッとニヤリとしました。

唐人の異国風な装いも面白くて華やかな印象です。

昨年11月12月辺りに拝見した時は、万作さんお声がきつそうで心配しましたが、この日は素晴らしくはっきりお元気なお声が聞けたので完治されたのでしょうか。
その意味でも嬉しい曲でした。


野村狂言座には初めて伺いました。
どれもこれも素敵な演目目白押しで、とっても楽しかったです。
今年甥&姪に渡したお年玉のポチ袋がとても可愛かったのでご紹介。



昨年ミュージアムショップで入手した、中村芳中の光琳画譜からの犬モチーフポチ袋。

お金を包むタイプです。

また見つけたら買っておきたいくらい気に入りました!
2017/1/5(木)pm14:00
国立能楽堂

1/4が仕事始めで、いきなりの1/5にお休みを取るのは勇気がいりましたが、やることはちゃんとやってるし!裕基さんの三番叟披きは一生に一度だし!というわけで、シレーっと会社休んで拝見しました。


■翁
橋掛かりを登場されるところから、能楽堂全体が緊張感でピーンと張り詰めた空気。
けれど、舞台も見所も言葉にせずとも一体となっている雰囲気があり心地好い。
緊張と温かさが同居しているわけです。な、泣きそう…。

翁は初見でした。
観世清和さんの翁は、想像していたよりおとなしく?厳かでした。私の方でもっと拝見する回数を重ねる必要がありそうです。

白州正子さんが著者「お能の見方」で、「狂言方の愉快な三番叟」というようなことを書いていて、「三番叟って愉快か?」と思っていたのですが、たしかに翁と比べたら三番叟は躍動的で、鈴之段の問答など少し愉快なんだなと確認できました。
三郎太さんの意気込みも痛いほど伝わり、すでに目頭が熱くなる。

この度三番叟を披くのは、萬斎さんのご子息である野村裕基さん。
二人袴を観て華奢な印象があったので、弱々しかったらどうしよう…と少し思っていましたが、全くの杞憂でした。
やはりあの頼りなさは演技だったのか。

まず初めの、立ち上がって舞台を指す型のところが萬斎さんそっくりで身震い。
裕基さんの懸命さを観ていたら、もう最初から涙腺決壊気味。いま思い出しても泣きそうです。
バチバチ瞬きして堪えるのだけれど、瞬きしてちょっと見逃すのも嫌でして…こちらも必死でございました。
お声が、以前二人袴で拝見した時よりかすれていてまだ不安定なのかなと。ですが、それはそれで今の在り様ですし、それに負けない気迫でしたので問題になりません。
こんなに一生懸命になること…私はもう長いことサボっているな~とふと思いました。

まだどっしりとした重みはなく、脚を横に踏み出すところの最後の一歩は毎回堪えきれていない感じがしましたが、ここ、次の動きへの繋がりもありきっと難しいですよね。万作さんや萬斎さんはその処理にも工夫をされているのか、バランスに危うさを殆ど感じさせず美しいのです。
でも、裕基さんの全般に渡るキレは万作さん、萬斎さん譲り。非常に美しかった。
烏跳びも最高。
鈴之段での出だしのオーラにも身震いしました。
面返しは萬斎さんの方が美しいかなあ。萬斎さんはもっと面の辺りを滑らせるからか、端正さや気品を感じさせます。

万作さん、萬斎さんの三番叟が好きすぎてどうしても比較しがちになってしまいますが、裕基さんはなんと言っても一貫して上品。エレガント…と思いました。
お優しい性格なのかな、キレと力強さがある中にも、たおやかさが見られます。
どんな狂言師になられるでしょう。
これからがとてもとても楽しみになりました。

あと、徐々に囃子にも気が回るようになってきたのですが、この日は終始、一噌隆之さんの笛の音色に圧倒されました。
私、笛が好きなのかな。


■舞囃子 高砂
すみません。三番叟の緊張から弛緩して、ボーッと観てしまいました。
流麗だなと思ったのを記憶しています。


■末広かり

万作さんち以外の狂言は、新春の茂山家以来拝見していないと思います。
いやー、楽しかった!
お声が張り滑舌もはっきりされていて、台詞が聴きやすかった。
果報者 三宅右近さんの貫禄、太郎冠者 野村又三郎さんの明るさ、すっぱ 井上松次郎さんのいかにも詐欺師なスレた感じ…全てぴったり見事で、それぞれキャラクターそのままの方なんじゃないかと思えてしまうくらい。世界に入り込んで観られました。


■歌仙

万作の会一門揃っての曲ということで、キャラが立っているけれどなんだか調和。
萬斎さんの僧正遍昭を弄る、万作さんの柿本人丸が意地悪で…私の中の万作さんのイメージが~あああ。どんな役もこなしてしまわれる、魅力的な万作さん。
皆で絵馬の通りのポーズをピタリと決めるところが素敵で、まるで戦隊物だけれど、絵馬の雅なポーズなどというバリエーションには、やはりこの国の美しさを思わせるし、狂言の発想の柔軟性には毎度のことながら驚かされます。


非常に緊張もした一日でしたが、本当に観ることが出来て良かったな…。
あの様な懸命な姿、またその場のあの様な空気には、そうそう立ち会えるものではないから。