朝大でのICT講習会へ | トンポ・トンネ 日々イモジョモ

トンポ・トンネ 日々イモジョモ

ブログの説明を入力します。

【8月9日・水曜日】
 八月八~十日、朝鮮大学校で行われた第三回ICT指導員講習会の二日目に参加した。二年前に十五人の参加者でスタートしたこの講習会には、去年二七人、今年二九人が参加した。去年は一人だった女性も今年は三人に増えていた。日曜から行われた理科・数学の講習から引き続き参加している先生たちもいるという。
昨年はGoogleAppleストア、マイクロソフト本社を見学してICTを活用した授業を体験し、プログラミングを実習するなど、ICTを体験し、その必要性を実感するプログラムが実施された。新しいものに対する期待と不安で、講習会は終始熱気に包まれていた。
 今回の講習会では、ICT技術のより効果的な導入に重点が置かれた。二日目午前中は朝鮮大学校教育学部のキム・ヨンデ先生が「ICT活用場面を規定する授業設計理論」について講義した。
 これまでも使われてきた「教授計画」では教える側が主語だったが、「教授設計(インストラクショナルデザイン・ID)」では学ぶ側が主語になる。よって述語も「~させる」から「~できるようになる」に変わる。もちろんこれまでも授業は、生徒たちの能力向上を目標に計画されてきたが、「教授設計」の概念は、与えられた環境や条件の下で、学習者の学習が最適な教育効果を生む方法と手段を設計するというもの。生徒たちはもはや「授業についていく」という受け身ではなく、自ら問題を解決する主体に位置づけられたということだ。先生たちはそれをサポートするための方法や手段を総動員して、それらをより効果的に活用するために授業を設計しなくてはならない。
その基盤となるのがADDIE(分析→学主目標設計→開発→実施→評価)というプロセスだ。まず学習者の性質や学習課題を分析(Analyze)し、次に学習目標を設定してアプローチの仕方を選択(Design)、そのための素材を準備(Develop)する。そして授業を行い(Implement)、当初の目的を達成したかどうかを確認(Evaluate )する。
アメリカの教育学者ベンジャミン・ブルームは「すべての学習者は、その人に必要な時間をかければ、すべての学習課題を達成できる」と述べている。課題達成できない要因は、時間が不足したり、手段や方法が合わなかったり、前提となる知識がないことにあるという。
では目標をどのように設定し、達成されたかどうかをどのように評価するのか?その重要な手掛かりとなるのが、ブルームの分類法(記憶→理解→応用→分析→評価→創造)やIDの第一人者であるR・ガニエの学習成果の五分類-言語情報(覚える)、知的技能(応用)、認知的方略(修正)、運動技能(体の動きをコントロール)、態度(行動を選ぶに至る気持ちを変化させる)である。
最後に「授業設計」にICTは必要か?という問いに対して講師のキム・ヨンデ先生が述べた「授業のうまいベテランの先生はICTを知って、『こんな方法があったのか!』と積極的に導入する。しかしまだ慣れていない若い先生のなかにはICTを取り入れれば授業がうまくいくと考えている先生がいるが、それは誤りだ」という言葉が印象的だった。

イメージ 1

午後は、午前の講義にもとづいて、初級部五年生のカリキュラムから台形の面積を求める授業をグループごとにLoiLo note schoolを使って設計し、発表した。教科書には、台形を①三角形二つに分ける考え方や②四角形と三角形に分ける考え方、③同じ台形を逆さにして隣にくっつけて四角形の面積を求め半分にするという考え方が紹介されていた。どれも正しいけれど、簡単で一般的なもの、ここでは③が公式となるという説明だった。先生たちの作った授業設計は、どれも実践的で、あれこれ考えを巡らせながら授業を受ける児童たちの表情が目に浮かぶようだった。
 デジタル黒板を使った講義は、講義内容の要点を整理した図や表などが常に提示され、聴覚だけでなく視覚からも情報を得られてわかりやすかった。Loilo note school を使った講師と聴講者とのやり取りもスムーズで、興味深い答えや誤りがその都度指摘されて、その場にいる人たちの理解をうながした。

 来年には初級部にデジタル教科書が導入される。環境の変化は新しい世代の感性をどのように変えていくのだろう。来年のICT講習にもぜひ参加したいと思った。(金淑子)


*再整理して9月上旬に刊行する『朝鮮学校のある風景』45号に掲載します。