加筆して、11月下旬刊行の『朝鮮学校のある風景』40号に掲載します。
朝鮮語「による」教育とは
【10月10日・月曜日】
「朝鮮学校の教育実践/朝鮮語『による』教育とは」―そのタイトルにひかれ、一橋大学での講演会に行った。

主催団体は、西東京の「朝鮮学校に教育保障を! オッケトンムの会」。
地元の西東京第一初中級学校の申校長が「朝鮮学校ってどんなところ」について話し、初級部一年担任の金先生が「初級部一年生への教育実践」を紹介した。初めてウリマルに接し、ウリマルで学校生活を送れるようになる過程を収めた動画の中の児童の姿はとても愛くるしかった。
・母語が日本語で、朝鮮語は国語、日常生活はほとんど日本語で、学校では朝鮮語…考えるときは何語ですか―イギリスで育ち、日本語も堪能なロシア人の青年の問いだ。
・大きい子(上級生)と小さい子(下級生)が、仲がいいというが、上下関係は?
・初中を卒業した後の進路は?
・保護者が日本の学校と朝鮮の学校を選ぶポイントは?
・朝鮮学校は知られていないのでは?
質問者の大半は、休憩時間に、「一年生が半年余りで、朝鮮語で日常生活を送っているというのに…私たちは…」、「語学というのは、(朝鮮学校の子どもたちのように)歌って踊って身につけるのが早道?」。そんな会話を交わしていた、一橋大学で朝鮮語を学ぶ大学生だった。刺激になったようだ。
質問ではなく、講演を聞いて、自らの体験を語る人もいた。
朝鮮人として育てられながらも、地域に朝鮮学校がなく、日本学校に行き、韓国の大学に入ったという六〇代の女性は、高校時代に自分をどのように伝えたらいいのか、本名宣言をしたが分かってもらえなかった、人間として必要なものは自分の核を持つこと、それがないと互いを認め合う社会人になれないのではと。
…一年生の一学期が終わるころから、子どもの前で、朝鮮語で内緒話ができなくなった。聞き返されて、その時、言語習得の速さを実感させられた…。
六年生の児童をウリハッキョに送っているオモニの話は、参加者とウリハッキョの距離をぐっと縮めたようだ。四国のウリハッキョを卒業したと言っていた。
そのオモニは、朝鮮学校に送って一番良かったのは、友だち、仲間ができたこと。学校での出来事をいつも話してくれる。楽しいんだなと、安心しているとも語っていた。

申校長は、バザーや公開授業などに来てみてください。普通の日でも構いません。朝鮮学校を理解するのに、手っ取り早いのは、児童が学ぶ姿を直接見てくれることですと。
この日の講演会の案内チラシには、次のように記されていた。
…朝鮮学校とはどんな学校なのか? その最大の特徴は、朝鮮語「による」教育ではないだろうか。すでに子どもたちは在日三世、四世となり、日本語しか出来ない状態で朝鮮学校に入学する。そこから、授業も学校生活も朝鮮語を使ってできるようにしていくのが朝鮮学校の教育です。それではどのようにして可能になるのか、そして、どのような意義があるのか。とにかく何か「問題」と絡めて取り上げられがちな朝鮮学校ですが、その本当の姿を知るために、この集まりを企画しました。…
この「朝鮮語『による』教育」という言葉の中には、様々なことが含まれている、それを改めて実感させてくれた貴重なひと時だった。