15年目迎えたトトリカ教室
【7月16日・土曜日】
開校式の前に学食へ。まばらだ。夏休みに入ったこともあるのだろう、にぎわいを感じられない。チマチョゴリ姿の女子学生はいない。ほとんどが学部カラーのTシャツを着ている。ブルーの教育学部の学生が目についた。
メニューは、鶏のもも焼き、朝大生が言う、「クリスマスチキン」だ。
「ノドン」がどうだとか、いつ帰るとか、日頃、ウリマルに接する機会が少ないので、一瞬、不思議な空間に迷い込んだような錯覚に陥った。「ノドン」とは労働、朝大ではアルバイトのことだ。
集合時間の三〇分前、第一研究棟二階左手の大きな教室に行くと、児童が集まり始めていた。
受付表を見ると、千葉に西東京…埼玉は大人数だ。東京だけではなく茨城、群馬、栃木に、長野からも来るようだ。引率してきた先生たちは「チャルヘ、楽しんで」という言葉を残して退室して行った。
「同じ分組だ」、「○○は来ないのか…」。
部活の試合で知り合ったのか、競演大会で顔を合わせたのか、みんな五年生ということもあってか、すぐに話の輪は広がっていた。
研究棟の前の広場を駆け出してくる児童いる。女性たちの話の輪ができていた。近隣の西東京のウリハッキョのオモニたちだという。自動車で娘を送って来たアボジの姿もあった。
研究棟から児童たちは、分組別に食堂の二階に移動した。
トトリカ教室のトトリカとは、トトリ(どんぐり)とリックア(理科)の合成語、五年生を対象にした一泊二日の実験を中心にした理科体験教室だ。今年で一五年目を迎える。一期生は二五歳前後、ウリハッキョの教壇に立っている体験者もいるのではないか、そんなことを考えながら、児童の長い列を追った。今年はキャンプなど、各学校の行事と重ならず、参加者は一一六人に上った。
開校式で、教室の「校長」として紹介された李トンムは、二〇〇六年に参加したトトリカ教室の思い出を話し、「一つでも多くのことを学んで、楽しいひと時を送って…」と、児童たちに語りかけていた。
二日間にわたり、四五分授業が四時限、一四、五人の分組単位で受ける。カリキュラムも自然博物館の探検、水と空気、光の関係、ジャガイモチーズパンづくり、楽しい算数遊び、花火を作ろう、消化器官を知ろう、コイルと電流などと多彩だ。
児童たちは、配られた「課題帳」を夢中になって見ていた。
大きなスクリーンに、温室前の草木から眉を太く書いた女子大生が顔を突き出す映像が映し出された。「イモリトンム」だ。寄宿舎の前を走りぬけ、食堂の階段を上る…しばらくすると、食堂二階のドアを開けて登場だ。歓声と拍手。恒例の「理科Q」、クイズ大会の始まりだ。
テレビの「イモリ」より細めで、しぐさもしなやかだ。
「お魚博士」らが次々に問題を出し、分組ごとに回答する手順だ。

「サンゴは化石? 植物? 動物? プランクトン?」、「ワカメとコブどちらが早く…」。
問題を出す学生が魚を装い、体をくねらしながら恥ずかしそうに登場する場面や、担任、副担任に命じられた学生たちが意見をまとめるのに四苦八苦する姿が初々しかった。学生たちも、児童たちも笑顔だ。一緒にその場を楽しんでいた。
イルカは片目を開けて寝るのが正解には、会場からはどよめきが起こった。
クイズ大会の後、八時一五分から一時限だ。この日は二時限授業があり、翌日は七時半朝礼。六時一五分から希望者だけだが「特別企画」がある。食堂から飛び出してくる児童たちを見ながら校門を後にした。
*再整理して9月下旬刊行の『朝鮮学校のある風景』39号に載せます。