東京第三・教育実習生が来た!
【10月10日・土曜日】
校舎の入口の靴箱には、女性用の靴がぎっしり並んでいた。一階奥の会議室の前で、五、六人の女性が教育会の洪先生を囲んで話をしていた。廊下には、いくつもの段ボールが積まれ、紙袋からは洗剤やインスタント食品がはみ出ていた。保護者たちは二週間後に迫った、バザーの準備に集まったようだ。

教員室の前の廊下のオモニ会の掲示板には、「MORE(モア)모아(モア)フェスタ大山2015」という大きな文字と、コリアンフード、フリマ、野菜販売、チョゴリ写真館など、盛りだくさんのイベントを記した、バザーの案内チラシが貼りだされていた。
新しい掲示板だ。芸術競演に参加しない美術部の児童たちが、舞踊部や器楽部の練習時間に作ったとのことだ。

三時間目、朝鮮大学の教育実習生の授業がはじまるというので、三階の四年生の教室に向かった。算数の時間だ。
この何年間、女子が続いていたが、今年は男子二人、教育学部四年の郭先生の専攻は数学、もう一人の高先生は、美術科二年生だと、digital版の学校通信で紹介されていた。
黒板には、「8、나누기」という文字の下に、200÷50=4という式が大きく書かれていた。教室の後ろに座った校長と教務主任、五年担任の黄先生と六年担任の夫先生は、何枚もの印刷物を見ながら、児童たちに束になった折り紙を配ったり、回収したりする郭先生を目で追っていた。見慣れないもう一人は、一緒に実習に来た高先生のようだ。担任の金先生は、高先生と児童たちにカメラを向けていた。

三階の窓から校庭をみると、教育会の顧問の金先生が剪定した樹木の後始末をしていた。月末のバザーに向けて、樹木の剪定作業は順調に進んでいるようだ。それにしても大仕事だ。

二階の低学年の教室をひと回りした。一年生は足し算を、二年の教室の黒板にはcm、m、㎗、ℓ、g、㎏と書かれていた。三年生は算数の問題を解いていた。足し算のことを私たちの時は「가하기」と習ったが、今は「더하기」と、教えるようだ。「감하기」ではなく「덜하기」、「승하기」や「제하기」も死語になって久しいようだ。

再び三階へ。担任が実習生の授業参観をしている五年生と六年生は自習だ。五年生の教室の黒板には、算数の問題と共に「静かに集中!!」という文字が描かれていた。児童たちは騒ぐでもなく、みんな背中を丸めるようにして机に向っていた。

会議室では、ポスターを描いたり、値札をつけたり、バザーの準備が和気あいあいと行われていた。
隣の教育会室では、洪先生とオモニ会の安会長が打ち合わせをしていた。
洪・「バザーのネーミング、いいでしょ」
私・「公募ですか?」
昨年までは「アンニョンフェスタ」だった。今回、学校周辺の住民たちがもっと気軽に参加できるよう、ネーミングを新たにしたとのことだ。
安会長・「最初七〇余りの候補を…最終的に一〇にしぼり、保護者だけではなく、先生と児童の意見を取り入れて…」

「ふらり フルラリ ふれ合いバザー」、「つながる ちかづく 第三バザー CORUM(コルム)」、「サランフェスタ~ともに歩もう」、「ウリミレフェスタ」、「大山フレンド祭」などの候補から、「MORE(モア)모아(モア)フェスタ大山」に決まるまでの経緯を楽しそうに聞かせてくれた。「ハッピー スマイル フェスタ」を選んだ児童が多かったとも。
募集用紙は、番号だけではなく、選んだ理由を記すようになっていた。
「オモニ、アボジたちが力を合わせ、私たちも楽しいバザーにしたいから、そして同胞も日本人もたくさん集まってくれればいいと…」(五年生)
そしてみなが親しみやすく、わかりやすくするために案内チラには、「MORE(モア)はもっと」、「모아(モア)は集まる」などの説明を付けたとのことだ。
オモニ会の掲示板には「私たちの未来たちを守ろう!」とのスローガンが大きく書かれていて、バザーに寄せる、オモニ会の意気込みがうかがえた。

そして昼食時間。高先生は「担任」になった三年生の教室で、児童たちに囲まれて弁当を食べていた。高先生は東京第三の61期卒業生だ。一階から二階に上がる階段に展示されている卒業生の写真を見ながら、翌週から図工の授業に入るのが待ち遠しいと話していた。

私・「美味しいですか?」
高先生・「はい…」
ふと、トマトが苦手だと言っていた、昨年の実習生の姿が浮かんだ。
私・「オーバータイム? 授業時間を延長していたようですが?」
高先生・「……」
はじめての授業で緊張したようだ。
隣に座った女子児童は、算数は難しいと話していた。

朝鮮大学生の教育実習はバザーの前日までの二四日、二人の「先生」は「バザーを手伝いに来ます」と、話していた。*****