雨の中、東京第3へ | トンポ・トンネ 日々イモジョモ

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雨降る中、東京第三へ
【9月10日・土曜日】
 学校に着く頃には、小雨になっていた。
 校門を入ると、六年担任の夫先生の声が聞こえてきた。
 「玄関は…騒いでは…いつもきれいに…」
 玄関に並んで座っていた児童が大きくうなづいていた。話が一段落したのか、一斉に「アンニョンハシムニカ」だ。

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 一階奥の会議室から英単語がテンポ良く聞こえてきた。ボードには、「April」「May」などと書かれたカードがぎっしり貼られていた。今学期からはじまった、五、六年生を対象にした英語の授業だ。

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 隣の教育会室に行くと、金柱宇顧問が小型のチェーンソーをいじくっていた。
私・「いつから始めます?」
金顧問・「来週から…校長と教務主任は木曜日が良いというので…」
校庭に茂った樹木の剪定の算段だ。金顧問が校長として一〇年、その後、教育会の副会長として一〇年間、教科書に出てくる果樹を植え続けてきたが、退任後、管理が追いつかず、近隣の住民が不便を感じているという話を聞いて駆けつけたのだ。
栗、みかん、ビワ…。「ウリハッキョは果樹園みたい」と書いた、児童がいた。何年か前、キウイの実が千個以上なって、焼酎に付けたという話を聞いたことがある。
私・「表通り沿いの電線に引っ掛かった木を区が伐採したという話を聞きましたが…」
金顧問・「区の保護樹に指定された木は、勝手に切るわけには…それで区が剪定したことも…」
板橋区では、イチョウやヒマラヤスギが保護樹のようだ。運動場のヒマラヤスギを伐採するときも、区の許可を得たと語っていた。
金顧問は、道具箱から工具を取り出し、チェーンソーの留めネジを外し、しばらく修理を試みていたが動かない。家に持って帰って修理することになった。

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 廊下に出ると、夫先生の話を聞いていた児童たちが青いマットの上で前転をはじめた。体育の時間だ。東京第三には体育館がない。屋上にバスケットコートがあるが、雨の日は使えない。それで、雨の日は、会議室が体育室になったり、廊下が体育館がわりに使われたりしている。

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 二階に上がる途中、窓から道を挟んだ向い側の運動場を見ると、大きな水たまりがいくつもできていた。小雨がパラついている。
 高学年の教室が並ぶ三階に上がって行くと、四年生と六年生の教室に人影がない。教室の前の廊下には、夏休みの工作の宿題が並んでいた。一番奥の理工室をのぞく。張先生が絵を持った児童たちに取り囲こまれていた。

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 教育会室に戻ると、児童が大きな声で、「五年、○○○です」と。
教育会の洪先生・「どうしたの?」
 児童・「ヤカンを…」
  洪先生・「??」
  児童・「お茶…」
  洪先生は、大笑いだ。「トンム、昼食時間まであと一時間…」
  児童は恥ずかしそうに頭をさげ、立ち去って行った。
 昼食時間だと思って、お茶の入ったヤカンを取りに来たようだ。
 金顧問は「朝ご飯食べて来たのか」と、声をかけていた。「相当、お腹がすいているようだな…」と、笑っていた。
 帰りがけ、校門の隣を見ると、樹木が校舎の三階まで届くほど生い茂っていた。


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 校舎の裏手のビワの木やミカンの木も、校庭からはみ出ていた。

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 校門に戻ると、先ほどまで児童たちに英単語を教えていた女性の先生と会った。近県のウリハッキョでも教えているという日本人教師だ。
 私・「ここの児童はどうですか?」
 先生・「とてもいい子たちです。素直で…で五年生は積極的、大きな声で…六年生はテレ屋さんが多いようです…」
 私・「名前は覚えられますか?」
 先生・「年間三〇時間のカリキュラムです。月に何回もないので、名前が覚えられなくて…」
 バスに乗ってから、そんな話をした。
 樹木の剪定は、毎週木曜日行うことになった。一〇月下旬のバザーの日までは何とか終えたいと、顧問は語っていた。**