断想・朝鮮大学校のオープンキャンパス | トンポ・トンネ 日々イモジョモ

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断想・朝鮮大学校のオープンキャンパス
【6月13日・土曜日】
 こんなに制服を着た男女であふれかえった朝大を見るのは久しぶりだ。事務棟には大きなトランクがいくつも置かれていた。学内で一泊して、翌日には平壌に修学旅行に向う九州朝高生の荷物とのことだ。全国から朝高生が集まった。近隣の朝中生の姿もあった。広島から修学旅行に来た朝中生も立ち寄ったようだ。
 校庭に特別授業やイベントへの参加を呼び掛ける朝大生の声が響いていた。
 余りの暑さと盛りだくさんのプログラムにパニクってしまった。どれも参加したいのだが、一か所に留まるのはもったいない…。普段、大学に行くことはあっても、見も知らずの学生には話しかけづらいものだ。この日は、学生たちが積極的に話しかけてくれる。こんな機会はそうそうあるものではない。
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 「朝大生の書棚」のコーナーにはずいぶんと長居した。三つの内一つは、会計士を目指しているトンムの書棚とのことだ。専門書籍がぎっしり詰まっていた。
 私・「一日、何時間位勉強するの?」
 学生・「講義が終わると、専門学校に行って…資格を取るためには…」
 本人の書棚ではないようだ。
 立ち話につきあってくれた学生は四年生、サッカー部で、学生会の役職にも就いているとのことだった。
 私・「アルバイトは?」
 学生・「週二回、五時から最終電車ぎりぎりの一二時まで…各駅停車なので、国分寺駅から自転車で…大学に戻って来るのが二時過ぎるときも…それからシャワーをすると…」
 「経営学部卒業生は、最低簿記二級は持っていないと」と言いながら、勉学とクラブ活動、学生会の活動に、充実した大学生活を送っているようだ。
 目の前では、研究棟や池に張り巡らされた「祖国統一三大憲章記念塔」をモチーフにした大きな垂れ幕を背景に、いくつものグループが記念写真を撮っていた。Vサインをする女子生徒たちの表情は底抜けに明るい。笑い声が絶えなかった。
 そんな光景を見ながら、話は弾んだ。

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 私・「大学生活で大変なことは?」
 学生・「何でも自分で…洗濯? 家ではみんなオモニがしてくれたけど…何となく一日が過ぎてしまわないように…」
 私・「朝大に来て良かったことは?」
 学生・「たくさんの友達…それからここで身に付けた生活習慣は社会に出ても役立つのでは…」
 朝大進学に両親の反対はあったのかとか、卒業後はどうするのかとか―そんな問いにも率直に答えてくれた、清々しい好青年だった。
中庭の池の隣の芝生に座って一休み。幾分涼しいようだ。中庭で売店を出していた地元の女性同盟のオモニたちが写真を撮りあっていた。ほほえましい風景だ。「いつもこんなに多くの学生でごった返していればいいのにね」という、声が聞こえた。

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傍に座った高校生の話し声が耳に入る。
生徒A・「…朝大に行くの?」
生徒B・「オモニは反対…」
生徒C・「うちはどうでも…○○は朝大で決まり…遠距離は厳しいというから…」
生徒B・「二人でチョ―デか? チョーデで青春、それもいいかも…」
生徒C・「まだわからない」
生徒A・「幼稚園の先生になりたかっけど…四年制もいいかな…」

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 普段、入ったことのない第三研究棟の理学部の実験室ものぞいてみた。ビーカーや試験管に入れたコーヒーやジュースなども売っているようだ。
 私・「冷房は?」
 学生・「実験室だというので…」
 私・「女子は多いのですか?」
 女子学生・「少ない…流行りの理系女子なのに…たくさん入ってきてほしいですね」
 白衣を着た女子学生は凛々しい。その隣で男子学生が机に伏して眠っていた。体験実験などが一段落して一休みしているようだ。
 第二研究棟の一階奥の教育学部のブースをのぞいたが、公演の打ち合わせの真っ最中のようで、話しかけることができなかった。
 再び、中庭の池に戻り一休み。
 「思ったより、でかい…」
 朝鮮大学校は初めてのようだ。
 生徒D・「朝大でもいいかも…」
 生徒E・「??」
 生徒D・「進学塾に来る子って…みんな下を向いて歩いているという感じ…ここに来たらみんな笑っている感じ? アボジはどう思うかな…」
 生徒E・「微妙だよね。日本の大学に進学したら広い世界に出られるよう…でも、自分の殻に閉じこもってしまうような…」
 生徒D・「ソンセンニムに頑張ってもらおうか…」
 二人の話は、かなり行ったり来たりしていたが、「朝大でもいいか」が「朝大がいい」に変わっていた。


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 帰り際、呼び込みをしていた学生と話した。
 私・「準備、大変だったでしょう」
 学生・「この後、焼肉が待っています…」
 と、言いながらも、「学部の可能性とか、朝大の役割とか、自分の立ち位置とか…そんなことを改めてみつめ直すきっかけになった…」と語っていた。
 毎年、各地の朝高から朝大に進学するのは一六〇人前後、学部間で学生の取りあいもあるようだ。
 「朝大の書棚」の前で話した彼は、学部の同級生が八人であることを残念がっていた。そして、この二年、二十人台になったことをとても喜んでいた。
 学部別のイベントだけではなく、特別講演「日本人スタッフが熱く語るウリハッキョ!」や、演劇部の公演もみられなかったが、学生たちとの語らい、生徒たちの本音を聞けただけで満足、貴重なひと時だった。
 fbには、家に戻ってきた中高生の子どもの「朝大トーク炸裂」とのアップが続出した。進学を控えた子どもたちにも、朝大の「今」を知ったことは、大きな刺激になったようだ。
×   ×
追・学部の後輩の話を聞くことはできなかったのが、残念だった。
 展示会場に張り出されていた、「傍観して迎える統一は私たちたの運命の転換点にならない!」とのスローガンには気持ちが揺れた。とても誇らしく思った。

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*写真は、「会話」の場面などと直接関係がありません。