東京中高の入学式へ。 | トンポ・トンネ 日々イモジョモ

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東京中高の入学式へ。


【4月4日・土曜日】


 会場の体育館に隣接するバスケットボールのコートで新入生が校歌の練習をしていた。頭上に桜の花びらが舞っていた。


 「高級部の新入生は一五一人、五クラス…担任するクラスには日本学校からの転校生が三人…北海道と神戸のウリハッキョからの転校生もいます」


 東京第三の教務主任をしていた頃から顔見知りの金先生が、いつもの笑顔で話してくれた。


 「北海道から」との話しに、「一人減った北海道は…」。出がけに見たfbの一コマが思い出された。


 日本学校からの編入生が寄宿舎生活をするというので、自転車通学していた女子二人が入寮、中三の男女四人の同級生が全員寄宿生になったという話だ。アップしたオモニは「日本全国の学生が少ないハッキョの皆さん! 子どもたちはしっかり育っていますよ」と。

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 会場の体育館の前には、クラス別に担任と生徒の名が貼り出されていた。「○○の息子と同じ…」とか、「これからもよろしく」などの声が飛び交っていた。


あちこちでオモニ、アボジたちの「ミニ同窓会」の輪ができていた。

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 体育館の階段には車椅子用のスロープが作られていた。車椅子に乗った生徒が、そのスロープをゆっくり上って会場に入って行った。校内のバリアフリー化を進めようとしているようだ。保護者らに「たった数センチの段差。そこがものすごく遠く、高い壁に感じる人がいます」と、一口千円の寄付を呼び掛ける在日同胞福祉連絡会のチラシが渡された。

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 体育館前では、胸に赤い花をつけた新入生が整列し始めた。「アンニョンハシムニカ」。東京第三と第九の顔見知りの生徒だ。


 「あれ? もう一年第三にいるかと思ったのに…」


 「アニンミダ。今日からは中学生…」


 「つまらない、今年も第三で会えると思ったのに…」


 第三では、二位はない、一番のお茶目な児童だ。ブレザーは少し大きい。アボジとハラボジが来ると、嬉しそうに言っていた。チマチョゴリ姿の女子生徒は、髪形も変わって、急に大人びて見え、声をかけるのがはばかれた。


卒業式は、高級部と中級部が別々に行われたが、入学式は一緒だ。中学と高校の新入生が拍手の中、同時に入場した。

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 二階は、保護者たちで埋まっていた。祖父母の姿もちらほら、チマチョゴリは見当たらなかった。

 

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 慎校長のあいさつは「演説」というより、学校の近況を紹介する「お話」だった。


 昨年度の全校生の出席率は九九・七パーセント、遅刻率は一・二パーセント、六〇〇人の全校生の中で欠席者は一日平均一~二人、遅刻生は七~八人だというから驚きだ。優等生・最優等生は中級部が九二パーセントで、高級部が八五パーセントとの話しに、会場は少しざわめいた。


 高級部は二年連続、生徒が増えたとの報告に拍手がわいた。


 …新入生たちが抱いている夢と希望を叶えるためには、自らの強い意志と絶え間ない努力しかありません。粘り強く学び、心と体を鍛えた分だけ夢と理想、可能性が開かれます。…絶え間ない勉学と集団生活は、みんなの体と心に埋もれている、目には見えない可能性を探し出す課程でもあります…


語りかけるような慎校長の話に、場内は静まり返っていた。


そして話は友情にまで及んだ。


…集団生活の中で、自らを鍛え、友と交わり、友情を深めなければなりません。助け合い、導きあう集団生活の中で、困難を乗り越えながら、人は鍛錬され、喜びと悲しみを分かち合う中で、一生の親友、後輩、先輩にめぐり会うことができます。学生時代に結んだ友情は人生の尊い財産になるばかりか、同胞社会を守る大きな礎になります…。


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 帰り際、慎校長に「友情が同胞社会を守る大きな礎にという言葉は?…」と話しかけると、「昨晩、思い浮かんで…書き加えた」とのことだ。生徒たちもだが、保護者たちの胸を打つ言葉だと思った。


*加筆して『朝鮮学校のある風景』31号に載せます。