練馬の会、江古田駅で街頭宣伝
【1月20日・火曜日】
西武線江古田駅。「高校無償化 朝鮮学校をのけものにしないで」と書かれた「練馬の会」のすこし色あせた横断幕が、時おり吹く寒風に舞い上がっていた。毎月二〇日の区内駅頭でのビラ撒きも五年目を迎えた。
「…国によるヘイトスピーチです…」、「私たち日本人の問題です。私たちと共に暮らし、学ぶ…差別を許してはいけません…」、「国際的にも日本のあり方が問題になって…国連の…」
「練馬の会」の会員による、切々とした訴えが続いた。

この日は、地元で暮らす男女二人の東京朝高生が日本の市民、女性同盟のハルモニや学父母に交じって、「知っていますか? 朝鮮学校に対する差別」と題する冊子を道行く人に手渡していた。
一緒に来た崔先生は、生徒たちがたくさんの人に冊子を手渡せるよう、人通りが多い場所を選んで、行ったり来たりしていた。片手にカバンか買い物袋をさげ、もう片方はコートやジャンパーのポケットに入れている人…それでも生徒たちは「お願いします」、「読んでください」と冊子を差し出していた。
二人とも二年生、マフラーを巻いているとはいえ、ブレザー姿の李君は見るからに寒そうだ。一緒に冊子を配っていた「練馬の会」のメンバーたちから「寒そう…」、「ラグビー部…それでも大丈夫」と、声をかけられていた。徐さんは半コートを着ていたが、肩にかけた学生カバンは重そうだった。

「生徒たちは理不尽な差別と正面から向き合おうとしています。国を相手に裁判を…先週、四回目の口頭陳述がありましたが、日本政府に生徒たちの熱い思いは届いていないようです…」
崔先生のアピールに続き、二人の朝高生もマイクを握った。
「…ぼくたちの訴えに耳を傾けてください。日本の高校生とかわらず勉強や部活に…ラグビーで全国大会を目指して…」、「あきらめません、先輩たちのように自分たちも頑張ります…」、「朝鮮学校だけなぜ、排除されなければならないのでしょうか…」

女子生徒はスマホを見ながら話していた。
「何度も書き直しました…書こうとすると、いろいろなことを知りたくなり…」
女子生徒はバスケットボール部だ。寒い夜空の下、差し出した冊子に見向きもしないで立ち去る人びとを見て、彼女はどんな思いをしたのだろう。「大人の責任が大きい。JRの定期券の時のように、もっとオモニたちが燃えなくては…」と言っていた、金さんの言葉が浮かんだ。

幾つかの伝達事項が告げられて解散だ。
「来月は○○駅です。文科省前での抗議行動も予定されています。それから『60万回のトライ』の練馬上映会のチラシもできました」
立ち止まる人がいるわけでもなく、冊子を進んで受け取って行く人が多くもなかったのに、なぜかみんな笑顔だった。あちこちから二人の朝高生に「ごくろうさん」の声が…。
二人はこの日配った冊子と「60万回のトライ」の上映会のチラシをカバンにしまっていた。家に帰って家族に話すのだろうか? 同じ二組だといっていた。クラスのみなの前で報告するのだろうか? 寒かったのか、お腹がすいたのか、先生と一緒に駅前のコンビに向って走って行っていた。
この日は、ソウルの日本大使館前での二五回目の火曜行動、一人デモが行われたはずだ。大阪府庁前での朝鮮学校の高校無償化、助成金の再支給を求める「火曜日行動」は一三二回目だ。
「学校で学び育んできたものは何ものにも代えがたいもので、私に朝鮮人としてこの日本で生きていく勇気と自信を与えてくれました」、「私たちのお爺さんやおばあさんは、当時の日本政府からの度重なる弾圧から、朝鮮学校を命を懸けて守り、今日まで日本の方々の協力もあって学校を維持してきました」、「みなさん,ありのままの私たちをしっかり見てください」
帰りの電車の中で、フェイスブックにアップされた高校生のアピールを何度も読み返した。