【3月25日・火曜日】
6月完成をめざし新校舎の建設が進んでいる東京朝鮮第6初級学校のオモニ会が、子どもたちのために奮起、地元出身の同胞アーティストが出演するコンサートを開いた。それは、タイトル通り「オンマ(母)たちが贈るオリニ(子ども)のためのコンサート」だった。
場面1:オモニに手をひかれた幼児、児童が続々会場入りする。おぶられたり、抱かれたりの幼子もだ。
「アッパは…」、「後から…」、「今日は…」
赤いTシャツを着たオモニ会のメンバーも、コンサート来場者の声も弾んでいた。
「ベビーカーは…」、「授乳室は地下の…」。胸に「東京第6オモニ会」と書かれた赤のTシャツを着たオモニたちに混じって、地元のチョチョンウォン(青年同盟)がてきぱきと案内していた。長身のアボジ会の会長も笑顔だ。
ロビーのテーブルには、地元青商会からの差し入れだというジュースと菓子が置かれていた。
場面2:後部座席から会場を見渡す。空席が目立つ。「週末ではなく平日の夕方…初めての試みだし…」。受付をしていた赤いTシャツの2×の背番号をつけたオモニが心配げに話していたが…。しばらくして舞台横の扉からのぞくと、席はほぼ埋まっていた。空席だと思ったのは、この日の「主賓」のオリニ(子ども)たちが背もたれに隠れて、後ろからは見えなかったのだ。
壁際の補助席に4、5人の女性たちが座ろうとすると、会場から一斉に声が飛んだ。
「○○ソンセンニム!!」、「ソンセンニム」、「ソンセンニム」の連呼だ。地元第6の先生のようだ。児童に手をふったり、学父母とあいさつを交わしたりしていた。

場面3:カヤグムの独奏、ソヘグムの二重奏、メドレー、そして高音チョッテの心地よい調べがつづく。
「一番好きなのは?」。舞台の上から会場に質問が飛ぶ。
「オンマ~」、「オンマ~」。「アッパ」は少数派だ。隣に座った児童は「みんみ、みんな」と、叫んでいた。
一気に緊張がほぐれたようだ。あちらこちらから赤ちゃんの泣き声がする。幼児の手を引いて慌てて出口に向かうオモニがいる。トイレのようだ。普段の公演では見られない風景だ。客席には、親に連れられて座わらされている子どもではなく、子どもに付き添ってきた親たちがいる、司会も演目も、「主役」の子どもたちのためのものだった。

つづいて場面4:チャンセナプの独奏。一曲、演奏を終えると、「誰だか分かります?」、「そうです。イケメンの…」。会場からは「イケメン!!」、「イケメン」、「チョウイケメン」の声。「コマッスムニダ」と応えていると、「おじさん」との声だ。会場から笑いが…。
舞台と観客の距離がとても近い。出演者は、東京第6学区の城南、大田、渋谷・世田谷に住んでいたり、この地域にあった東京第7初中級、東京第8初級を卒業したりした地元の顔なじみのアーティストたち。ソヘグムの奏者は他の演奏者と一緒に、東京第6に「出前」演奏したこともあると言っていた。

場面5:「サンモの踊り」も会場を沸かせた。「チャンダン」では、タイトル通り、観客の児童たち「みんなでチャンダン」、朝鮮のリズムに興じていた。
最後のオモニ会副会長の舞台挨拶。緊張しているのか、涙声なのか、声がかすれていた。「子どもたちのために」、「子どもたちのために」の言葉を繰り返していた。
××
午後の「『春』公演」が良かったので、夕方の「オリニのためのコンサート」も観に来ていた人がいた。電車で2時間かけてきたという赤ん坊を抱いたオモニがいた。○○も誘えばよかったと言っていたアボジがいた。閉幕後、ロビーでは出演者とオモニ会のメンバーが互いに「コマッスムニダ」をしていた。
fbに「大井町での公演、よかった。地域のオンマ、こんな凄いことができるのですね。驚きです」と、アップしたら、「本当素敵な公演でした。娘も興奮していました。第6オモニ達すごいですね」とのコメントが寄せられた。
地元にウリハッキョがある、ハッキョのためにという思いが集まれば大きなことができる、そんなことを実感できたひと時だった。
