東京朝高・雑感 | トンポ・トンネ 日々イモジョモ

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【2月17日・月曜日】
  品川から電車に乗って、フェイスブックを開くと、池袋の国際劇場の地下での東京朝高美術部の展示会の様子がアップされていた。
「…雪のため訪れた方が少な〜と、力を落としていました。最終日は17時まで!1人でも多くの方に…」
「今、向っています」と、コメントして、京浜東北線から山手線に乗り換えた。しばらくすると「お待ちしています」とのコメントがアップされた。
会場に着き、記帳をしていると、受付の女性が「やっとお会いすることができました」。朝高のない群馬でも高校「無償化」を求める行動をと、国連に折り鶴を届ける運動を呼びかけたグループの金春琴さんだ。昨年暮れの文科省での「無償化」を求める金曜行動で、後姿を写真に撮りフェイスブックでアップしたものの、互いに顔が分からず会えずにいたのだ。
朝高の展示会を目的に来場した知人、卒業生たちもいたが、入場して初めて朝鮮高校生の作品展だということを知る人もいた。
 彼女が会場を覗き込む通行人に「高校生が描きました。ぜひ、ご覧になって行ってください」と、呼びかけていた。入場した人に対しては、「子どもたちが喜びます。何か一言残してください」と、感想表を渡していた。 
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会場をひと回りして、出展者のプロフィールをつづったファイルをめくっていると、金さんが「いつも朝5時に起こすのが…でも楽しそうに通っています。娘のも見てください」。ファイルには、ほんわかするイラストが綴られていた。そのイラストを目安に、会場を見まわしたが、それらしき作品は見当たらない。次に名前を一人ひとり確認しながら…。あった。縦長の大きな作品だ。タイトルは「興―フン―」
 ウリハッキョを中心に、描かれたさまざまな表情の人の真ん中に、「受け継いで行こう!私たちの同胞社会」と書かれたノボリが舞っていた。作品には、次のような説明が付されていた。
 「私は、在日朝鮮人4世で、朝鮮学校の生徒だ。植民地時代に奪われた言葉と土地を取り戻した1,2世、それを受け継いで今日まで生かした3世、そして今新しい同胞社会を担っていく私たち4世で繋がれたこの同胞社会。
今の私達がすべきことは、代々受け継がれてきたそのルーツを未来まで守りぬくことだと思う。
これからも朝鮮学校の生徒として、恥じないように巧みにウリマルを使い、もっと民族を愛せる人材へと成長していきます。」
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  学内集会に間に合うように東京朝高に向った。電車で2つ目だ。
 会場の体育館の舞台には「『高校無償化』裁判で勝利を成し遂げよう」と書かれた大きな看板が掲げられていたが、生徒の姿はなかった。授業中のようだ。この日、62人の生徒が「高校授業料無償化」を阻む日本政府を提訴したのだ。
 人工芝を貼り替えている運動場には、古い芝の残骸がうず高く積まれていた。学父母の李春桃さんがフェイスブックに記していた、早朝に凍った運動場に刻まれた「愛族愛国」の4文字は、すでに消えていた。
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 その李さんのフェイスブックには、次のように記されていた。
「朝焼けの中、氷の張った東京朝高グランドに浮かび上がった『愛族愛国』の文字。
今期東京朝高委員会の活動総括を終わって、朝もやの中12人のサンイム[常任=役員]達が自分達の「今」の気持ちを表現した様…18才の心で何を思い、この4文字をグランドに刻んだのか…
カメラに両手を振っている姿も微笑ましい。2週間後に卒業を控えた150人の仲間達とこれからの人生でもしっかりと「ウリ」として繋がっていてほしいと思うオンマ[]であった。」
 学父母からは「朝から胸が温まりました」、「目頭がじーんと熱くなってきた」、「胸が熱くなりました」、「うるっときました」とのコメントが、次々とアップされていた。
 「『青春』とか、『希望』とか、書かない、書けない現状にカスムアプムニダ(胸痛みます)」との私のコメントに、李さんは「確かに…この子達なりにどの道で生きていくのか、との純な思いの発露かも、と」と、返してきた。
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                                             △写真は李春桃さんのfbより転載
 
高校と中学3年の生徒が参加した学内集会には、「朝鮮新報」と「月刊イオ」、日本の幾つかのマスコミが取材に来ていた。
提訴に至った経緯が話され、生徒がマイクの前に立ち「思い」を吐露した。
それは、権利を奪われたまま卒業する、後輩への申し訳なさであり(高3)、運動を支えてくれた同胞と日本人支援者への感謝であり(高1)、4月からは「直接的な被害者」になるが、学ぶ権利を勝ち取るためにたたかうとの決意であった(中3)
 慎校長は、提訴をした2月18日は、東京中高と民族教育の歴史に残る日になる、裁判闘争は後世に語り継がれるであろうと述べた。「歴史的な戦いの中心に今、われわれが立っている」、「ウリハッキョと同胞社会を、身を挺して…」、「歴史の証人として、共に時間を共有しているという自負心をもって…」という言葉が心に響いた。
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   集会では、「朝鮮高校の『高校無償化』排除は重大な権利侵害、差別!!私たち朝鮮高校生は司法の場でも戦います!」と書かれた大きな横断幕が紹介された。これからのたたかいのスローガンである。
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 午前中、ソウルから来た研究者とウリハッキョについて話を交わした。解放後からの歩み、1957年4月に共和国からポンドで送られて来た教育援助費、その前年に金日成綜合大学に進学して行った朝高生の話は、興味をひいたようだ。
東京中高からの帰路、ふと今日一日の出来事だけを話してもウリハッキョをリアルに伝えられたのではないかと、思った。
 5時に起きて長距離通学をする美術部の女子生徒、受付を引き受け、前橋駅まで雪道を1時間半余り歩いてようやく会場にきたどり着いたというオモニ、「無償化」排除の不当性を訴え、日本政府に挑む62人の朝高生、彼らと共に歩む生徒と、それを支える教職員。それに「希望」や「青春」、「友情」ではなく、ナショナリズムではない。ルーツへの愛着の表現として、「愛族愛国」四文字を記す朝高生…。
 これらがまさに受け継ぎ受け継がれているウリハッキョの姿なのだと。