【2013年2月2×日・火曜日】昨年暮れから入院していたオモニが退院した。
膝に人工関節をはめ込む手術をしたのだが、手術は成功したとはいえ、これからも長いリハビリの日々がつづく。何しろ88歳という高齢、80日に及ぶ長期入院で、当然筋力も落ち、精神的にも決してクリアーとは言えない。退院はしたものの「これから」というのが、正直な心境だ。
入院時と退院後のオモニとの出来事を軸に、イモジョモ(様々な事柄)日々をつづろうと思う。タイトルにあえて「介護」と言う言葉を避け、「元気快復」としたのは、依然と変わらない元気な姿に戻るであろうという前向きな願いを込めてである。memorandum、覚え書きとして、思いついたこと、思いつくままを垂れ流そうと思っている。
× ×
T姉さんと駅で待ち合わせて病院へ。小学校のころから「姉さん」、「姉さん」と呼んでいたので、いまでも叔母(母の妹)なのに、T姉さんと呼ばせてもらっている。
退院手続きをして、退院後の生活指導を受けて、数週間分の薬をいただいて退院という手順だ。入退院窓口での退院手続きからつまずいてしまった。
高齢の女性が入院の手続きをしていた。「準備する物は…洗面道具に…」案内書を示しながら、てきぱきとした分かりやすい説明だ。終わったのでいよいよと思ったら、「保険証は必要なのでしょうか?」との質問、先ほど説明があったはずだ。「必要書類は…」また案内書を示しながらの説明…。終わったと思ったら、今度は、「部屋に鍵がかかるのですか」という質問、高額の「預かり金」を払っていたから個室のようだ。「金庫はありますか?」、挙句の果ては「3時にお茶はいただけるのですか?」、途中で、本人も病院と観光旅館との間違いを気付いたのか、「すみません」。いったん立ちあがって、座り直すと「いつ来ればいいのですか…」。はじめからまたやり直しだ。
見かねたのか、別の職員が退院手続きに取り掛かってくれた。オモニのことが無かったら、イライラしていただろうが、人が「老いる」ということは、こういうことである。自分で手続きをして、支度をしてくれることもなく独りで入院する、その「老婆」に同情する自分がいた。
3階の入院病棟に行くと、オモニはすでに着替えを終えて待っていた。「遅いじゃない」。退院予定時間の30分も前なのにだ。この日をどんなに待ちわびていたのだろう。

看護婦さんから退院後の2、3の注意事項を聞く。果物と生野菜はダメ、塩分をひかえめ、みそ汁やフリカケは2~3日、日をあけて。甘いもの大丈夫とのことだ。
2週間分の薬をいただいて、いよいよ退院。T姉さんに車椅子を押されて、オモニは、満面に笑みをたたえ、エレベータに乗りこんで行った。看護婦さんたちは「あんなにご機嫌な○○さん、見るのは初めて…」と、笑顔で見送ってくれた。私はひたすら「ありがとうございます」だった。
つづく