自慢じゃないが、いや、自慢なのかなぁー(笑)
私の「ダニール・トリフォノフ推し歴」は、長い!
2010年のショパン国際ピアノコンクールで、彼が第3位に入賞した時の予選から、ずーっと注目&応援してきた。
もちろんポーランドのワルシャワまで出掛けた…わけではないが、ネット配信される生中継を、夜中眠い目をこすりながら「この子は凄い」と見守り続け、以来、彼が来日して東京で聴けるコンサートには、ほぼ皆勤してきたつもりだ。
私は、応援し始めると、しつこい
ダニール・トリフォノフは、翌年にはチャイコフスキー国際コンクールで第1位の上にグランプリを受賞し、そこからはもう世界を席巻する若手ピアニストの筆頭になっている。
最近はよほど忙しいらしく、以前のように頻繁には来日してくれなくなり、ファンとしては「欠乏症」になりかけていたのだが、ありがたいことに読響さんがオファーしてくれた!
昨日のコンサートを、どんなに待ち焦がれていたことか!!
(今回の来日では、東京でのリサイタルが企画されておらず、それが残念でならないけれど…)
読売日本交響楽団
第200回土曜マチネーシリーズ
2017年9月16日(土) 14:00開演
会場:東京芸術劇場
指揮=コルネリウス・マイスター
ピアノ=ダニール・トリフォノフ
スッペ:喜歌劇「詩人と農夫」序曲
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲 第2番 ト短調 作品16
ベートーヴェン:交響曲 第6番 ヘ長調 作品68「田園」
このブログをよくお読み頂いている方は御承知と思うが、私の観劇行動は偏っている。
オーケストラのコンサートには、シーズン中に必ず月3回は出掛けて行くが、その3回は全部「N響」だ。
別にN響以外を「認めていない」わけではなく、東京には優れたオーケストラがいくつもあることは知っている。
ただ…まぁ面倒臭がりというか、昔からの癖というか、1つが好きになると、もうそれだけで良くなってしまう傾向は私を貫いており、例えば「気に入った靴」は何年でも同じブランドの同じ型を買い続けるし、レストランやカフェも結局同じ所に通い詰めてしまう。
…そんなわけで、「N響」と「新国立劇場バレエ団」の感想だらけになっている当ブログなんだけれど、、、
読響のコンサートに来るのは、何年ぶりだろう?
最後に聴いたのはいつだったか… どこかで下野さんが指揮したブラームス交響曲に接した記憶があるけれど、もしかするとそれっきりかも?
あぁ…やはり私の鑑賞行動は偏ってるなぁ…
ダニール・トリフォノフ…
大人になった。
かなり挙動不審気味(笑)だった10代の頃から考えると、本当に洗練されて、ちゃんと立ち居振る舞いできるピアニストになっている。
プロコフィエフの協奏曲第2番は、ピアニストの超絶技巧がドドーンと全面に横たわり、オーケストラを覆い隠す勢いの作品だが、これが弾きこなせる人はそうそう居ないシロモノだ。
でもダニールなら「やってくれる」だろうと思っていたら、やはり凄かった。
彼が演奏すると、この “お化け” みたいな作品が、しっかりドラマを持ち、ありえないくらいの奥行きで迫ってきた。
技巧のための技術じゃない、すべては世界を作り上げるためにあるのだ!
ダニールの演奏のどこが魅力かと言って、その世界観の独創性だ。
彼にしか出せない音色があり、フレーズの運びがあり、それがまぁプロコフィエフって作曲家とピタリとはまる。
昨日も、あたかもモンスターを操る悪魔になったかと思うと、一変して天使の顔を見せたり…と、昔からのトリフォノフ・スペシャルでも魅せてくれたけれど、それ以上に私が驚いたのは、要所での音楽がどっしりとしてきたことだ。
若さで突っ走る時代はそろそろ去り、ここからは更に巨大な土台を築いていくつもりらしい。
アンコールは、同作曲家プロコフィエフのバレエ音楽「シンデレラ」からガボットだった。
バレエ好きには堪らない選曲!!
ダニール自身も弾きながら、まるでバレエの登場人物のように、ヒロインになったり、意地悪な姉たちになったりしながら踊っていた…
もし願いが叶うことなら、「シンデレラ」からならば、あのワルツも弾いて欲しかったなぁ〜
ダニールのワルツは、ショパンでもリストでも、ゾクゾクする絶品だから、シンデレラのワルツはどんなだっただろう…
…と、聴いてもいない演奏まで想像してウットリしてしまう(笑)
コンサートの後半は、ベートーヴェンの「田園」だった。
スラッとイケメンの指揮者、コルネリウス・マイスターは、とても素直で伸びやかな音楽作りで、気持ちよく聴ける「田園」だった。
読響さんのサウンドも爽やかに棒に応えていて、たまにはN響以外のオーケストラに出掛けてくるのも新鮮で良いものだと思った。
次にダニール・トリフォノフが来日するのはいつなのだろう?
ほぼ彼とアンスネスのためにジャパンアーツの「夢倶楽部会員」になっているけれど、両者ともなかなか来てくれないから寂しすぎる。
もうちょっと頑張って招聘して下さいませ、お願いします、ジャパンアーツ様っ!