後期高齢者医療制度より負担増というはなしも
=日本経済新聞(12/9)3面より
保険料も診察料も値上がり=日本経済新聞(12/9)3面(左)
75歳以上でこんなに違う保険料=朝日新聞(12/9)3面(右)
今日から2013年3月から導入される新高齢者医療制度について考えていきます。まずは、この制度について12月7日の新聞報道のうち、日本経済新聞の記事の分類に沿って、朝日新聞[朝日]、しんぶん赤旗[赤旗]の朝刊の記事を加えるかたちで項目別にまとめてみました。
厚生労働省は(12月)8日、2013年3月に導入する新高齢者医療制度の最終案をまとめた。
新高齢者医療制度(厚労省最終案)
①開始時期:2013年3月から(15カ月後)
来年(2012年)の通常国会に法案を提出する方針[朝日]
②加入する健康保険が分かれる。
a)75歳以上の高齢者約1400万人のうち、約1200万人は市町村が運営する国民健康保険に移る(再加入[朝日])が、その約1200万人分の財政運営は都道府県が担う仕組み。
・大多数(86%)は国民健康保険(国保)に入ることとしています[赤旗]
・最大の課題は、75歳以上の大多数が加入することになる国保の運営だ。国保は、加入者の8割近くを無職や非正規労働者ら低所得者が占めるため財政が安定しない。今年度の実質赤字は、総額で約2400億円に上る。
財政難にあえぐ市町村では支えきれないため、新制度では、まず75歳以上の分を都道府県が運営する。18年度からは全年齢の国保の運営を都道府県が担うが、赤字を背負わされることへの警戒から都道府県の反発は強い。[朝日]
・75歳以上の国保は都道府県が財政運営して現役世代と別勘定にし、現行制度と同様、75歳以上の医療給付費(患者の窓口負担を除く医療費)の約1割を75歳以上の保険料で負担します。この負担割合は、高齢化の進展にともなって増加します。[赤旗]
・第2段階で、75歳未満の市町村国保の財政運営も都道府県単位化(広域化)します。時期は18年度と法案に目標を明記し、全国一律に移行する方針を掲げました。[赤旗]
・広域化に向けて市町村ごとにばらばらの保険料(税)を均等化するため、①保険料収納率アップ②医療費「適正化」(削減)③市町村の税金投入解消による保険料アップーを推進します。
現在都道府県が策定・実施している「医療費適正化」(削減)計画については、「新制度」でも同様の仕組みを設け、「さらに推進する」と明記しました。[赤旗]
・「新制度」の第2段階と位置づけられる現役世代の市町村国保の都道府県単位化も、医療費削減政策の一環です。市町村の税金投入で保険料(税)の高騰を抑えるのをやめさせ、医療費の増加を保険料アップに直結させて、医療費削減に駆り立てる狙いです。[赤旗]
・厚生労働省が8日の高齢者医療制度改革会議で示した「新制度」の最終案は、75歳以上の大多数を都道府県単位の国民健康保険(国保)に入れ、あくまで現役世代と差別し別勘定にするものです。75歳以上の医療に費用がいくらかかり誰が負担しているかを「明確化」し、肩身の狭い思いをさせて医療費削減に追い込む狙いです。
「社会のお荷物というようなレッテルを張る」後期高齢者医療制度と同じ仕組みであり、到底同制度の「廃止」と呼べる内容ではありません。
高齢になれば誰でも病気がちになります。高齢化の進展で増える医療費は国が責任を持って支えなければなりません。それを無理やり削減しようとする立場に、高齢者を差別する制度の根源があります。この立場ときっぱり手を切り、高齢者を別勘定にしない老人保健制度に戻すべきです。[赤旗]
b)働く高齢者は勤務先の健康保険
自らがサラリーマンなら保険料は会社と折半になり、年収によっては負担が減る人も。[朝日]
c)子どもに養われている親は子どもの健康保険に入る。
サラリーマンに扶養されている人は、保険料の負担がなくなる。[朝日]
d)国保の保険料水準は都道府県単位で決まり、当初は現行水準並みの年間7万円程度(全国平均)になる見通し。ただし、保険料の上限は、個人単位で年間50万円だったのが、世帯単位で年間63万円に変わる。この上限は、徐々に引き上げられるため、世帯の保険料が増える人も出てくる。[朝日]
現役世代の支援金は所得に応じた負担方法に変わるため、大企業のサラリーマンが加入する健康保険組合などの所得が高い人の負担は増えることになる。[朝日]
・国保加入者の所得に占める保険料負担は約9%で、この10年で約1・5ポイント上昇。同じ県内でも最大2・7倍の格差があることから、住まいによっては保険料が上がる可能性もある。[朝日]
③低所得の高齢者の保険料の値上げ
低所得の高齢者の保険料の負担が1割であったのが、(新制度導入後、5年かけて[朝日])段階的に2割に引き上げられる。保険料の軽減措置を縮小しなければ、年500億円程度の税金投入が必要になるため。
年金収入が年80万円以下といった条件で高齢者の保険料を9割軽減する措置なども、段階的に縮小する。500万~600万人の保険料が上がる可能性がある。
最も軽減幅が大きい人の保険料は、全国平均で月額350円から1050円になる。[朝日]
④70~74歳の高齢者の医療費が、所得によらず2倍に引き上げられる。
70~74歳の病院窓□での負担割合を1割から2割に引き上げる。窓□負担割合を据え置くと、税金の投入が年2000億円増えるため。
・70~74歳の患者負担を、13年度に70歳に到達した人から順次、医療費の1割から2割に引き上げます。[赤旗]
・75歳以上にかかる医療費は、新しい制度でも負担割合を明確にする。75歳以上の保険料は1割分で、残りは公費が5割、現役世代からの支接金が4割で支える仕組みは変わらない。[朝日]
・75歳以上の高齢者を差別し別勘定にする後期高齢者医療制度の仕組みを温存しています。[赤旗]
・「新制度」の最終案は国の負担を増やすどころか、減らす方向ばかりです。▽70~74歳の患者負担の2倍化(医療費の1割から2割へ)▽75歳以上の保険料軽減措置の段階的縮小-など。高齢者の生活を圧迫し、受診抑制に拍車をかけることは必至です。[赤旗]
⑤不足する財源をどこからもってくるか。
・最終案には「(加入者の)負担増を伴わない解決策はない」と明記。[朝日]
・75歳以上の医療給付費を税金で賄う割合については、現在の47%から50%に引き上げる。[日経]
・保険料頼みが限界の中、要望の強かった公費負担は13年度時点で約700億円が増えるだけ。[朝日]
・消費増税の議論が封印されているため、公費負担の議論は先送りされた形だ。[朝日]
・年収の多い会社員や公務員を中心に現役世代の保険料負担も増やす。[日経]
⑥民主党の考え
a)9日に開く高齢者医療制度改革ワーキングチームも反対の意見でまとまる見通し。「負担増の法案が国会を通るのか。統一地方選の直前で自爆テロのような法案だ」主査の柚木道義衆院議員。
b)野党時代の民主党
・民主党は野党時代、医療費をGDP(国内総生産)比でOECD(経済協力開発機構)加盟国平均まで引き上げるという政策も示していました。[赤旗]
・「長生きされて75歳になった方に社会のお荷物というようなレッテルを張る制度である。負担の問題だけではなく、75歳で差別するような制度は、断固として廃止させなければならない」(2008年6月11日)菅直人代表代行(当時) 後期高齢者医療制度を酷評して...民主党は同年、共産党などの3野党と一緒に同制度の廃止法案を提出し、参院を通過させた。[赤旗]
⑦日本共産党の考え
医療費削減のための「新制度」づくりは中止し、後期高齢者医療制度はすぐに廃止して、医療費拡充にこそ向かうべきです。(杉本恒如)
⑧高齢者の意見
全日本年金者組合委員長・篠塚多助さん
全日本年金者組合委員長・篠塚多助さん 後期高齢者医療制度に代わる「新制度」というが、一体どこが変わったのか。
大多数の高齢者にとって基本的な仕組みは何も変わっていません。かえって、70~74歳の窓日負担が2倍になるなど改悪ではないのかと思います。
民主党の後期高齢者医療制度廃止の公約に期待しましたが、裏切られました。高齢者の生活は本当に厳しくなっています。私たちは、いまの制度の廃止をこれからも迫っていきます。来年のいっせい地方選挙を通じてわれわれの声を政治に届ける以外にありません。[赤旗]
自民党や公明党、みんなの党、社民党などの考えはまだ調べてません。次回は、③の低所得者の保険料負担がどれくらい上がるのか、しんぶん赤旗に載っている具体例をもとにに説明補足する予定です。
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追記:12/13
新高齢者医療制度厚労省最終案を民主党の高齢者医療制度改革ワーキングチーム(WT)が、来年の通常国会に関連法案を提出しないよう求めることを決めた。
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新高齢者医療制度:通常国会、法案見送りを 民主WT、統一選考慮
民主党の高齢者医療制度改革ワーキングチーム(WT)は9日、政府が検討している新たな高齢者医療制度改革の関連法案を来年の通常国会に提出しないよう求めることを決めた。来春の統一地方選への悪影響や、ねじれ国会の下では成立が難しいことが理由。
WTは、厚生労働省が8日に示した新制度案に関し、70~74歳の窓口負担(現在1割)を順次2割に引き上げる▽所得の低い75歳以上の高齢者の保険料軽減措置(最大9割)を段階的に縮小する--の負担増にも反対する方針だ。会合終了後、WT主査の柚木道義衆院議員は記者団に「成立が見込めないうえ負担増となる法案を容認することはできない」と述べた。【山田夢留】
毎日新聞 2010年12月10日 東京朝刊 毎日.jp
厚生労働省は12月8日、2013年3月に導入する新高齢者医療制度の最終案をまとめたが、民主党の高齢者医療制度改革ワーキングチーム(WT)の主査の柚木道義衆院議員が「。「負担増の法案が国会を通るのか。統一地方選の直前で自爆テロのような法案だ」と話し、反対を表明していた件で、9日、WTの柚木道義主査は記者団に「成立が見込めないうえ負担増となる法案を容認することはできない」と述べ、70~74歳の窓口負担(現在1割)を順次2割に引き上げる、所得の低い75歳以上の高齢者の保険料軽減措置(最大9割)を段階的に縮小するの負担増にも反対する方針だ。