ピアノのエチュードについて その2 | いつも心に音楽を

いつも心に音楽を

クラシックの名曲等やピアノ演奏、音楽理論などを中心に展開。
また、尊敬する若きピアニスト牛田智大さんを応援します。

世界を襲うコロナ禍の中、皆さんいろいろ不便を抱えたり、

ストレスを溜められたり、お仕事を失ってしまいそうな方もおられるでしょう。

かくいう自分も、只今お仕事自粛休業中・・・
 いつ収束するか不安で仕方がない日々ですが。

 

今回は、昨年12月の記事 ピアノのエチュードについて の続編をやりたいと思います。

      

   ピアノのエチュードについて その1

    は  こちら

 

 

    因みに、この前の記事の ブルグミュラー も、

 初心者のための エチュードなんですよね音譜

 

 

 エチュード(練習曲)を大きく分けると大体、下の二つに大きく分ける事が出来るようですが  

 

 ① 技巧習得の為の実用的練習曲。或いは教育目的の曲集。

 ② それ自体が演奏会用の作品で、高い芸術性も持っている

 

 前回は主に

 今回は全体的にについて展開してみたいと思います。また時代的にもロマン派以降の作品にフォーカスします。

 

 

 

 元祖ともなった最初の芸術性を湛えたエチュード集

 

           ショパン 練習曲 Op10 & Op.25

 

 これに大きな刺激と感銘を受けた リスト が、これでもか~!、と技巧に技巧を凝らしたエチュード集を発表してゆきます。これには、ピアノの性能の更なる向上に伴う、演奏技巧・表現のレベルアップが可能となっていった背景もあります。

 

 

    リスト  超絶技巧練習曲 S.139

 

全12曲から成る。

超難技巧を要し、発表された当時シューマンは、恐怖の練習曲!これを弾きこなせる者は世界で10人もいないであろう、と語った程で、エチュードの概念を完全に覆してしまったとも言えます。今もなおその超絶技巧の嵐に、技巧面を完璧に制覇できるピアニストは決して多くはないようです。

原題には、肉体・精神・魂の超越という宗教的意味もあるそうです。

 

    

         

 

 浜松国際ピアノコンクールの第1次で、1曲以上のエチュード演奏が課されてましたが、牛田智大さんはこの曲集の第1曲「前奏曲」(最も短い)を弾かれていましたね。

 

 

        

   リスト 超絶技巧練習曲 第4曲「マゼッパ」  この曲集では人気の超・超絶技巧曲

 

 

 

       

       超絶技巧練習曲 第5曲「鬼火」   よく弾かれる人気曲 もう目眩がする💫

 

 

 

 

       リスト      パガニーニによる大練習曲 S.141

 

6曲から成る。

パガニーニの”悪魔のヴァイオリン”に強く魅せられて、彼のヴァイオリン曲を高度にアレンジしたもので、当初書かれた版はあまりに難し過ぎた為、改訂を加え、何とか人間業で演奏できるようにしたようです(笑) 

有名なラ・カンパネラはこの中の1曲

 

   

      

牛田さんは、13歳の時、この第6番「主題と変奏」を披露&アルバム収録し、約半年後、超有名な、第3番  ラ・カンパネラを演奏会披露開始  

    

 

         

            フォルテさん演奏    ラ・カンパネラ

 

 

リストは、更に他にも

 2つの演奏会用練習曲、 3つの演奏会用練習曲 も遺しています。

 

 

 

   ブラームス 51の練習曲 

 

ピアノの専門家でないと馴染みがないエチュードだそうです。

ブラームス自らの作品、ショパンのエチュードやリストの作品等を弾くための準備練習として書かれたそうです。

いわばハノン的な練習の大変高度なものといわれています。なので演奏会で弾かれる事はない、実用的かつ複雑なトレーニング的フレーズ集と言えます。  

 

        

        

 

 

   モシュコフスキー 練習曲集

  • 15の練習曲 Op.72
  • 20の小練習曲 Op.91
  •  16の技術練習曲 Op.97

 ショパンやリストのエチュードの様な高い芸術性はそれほどみられません。

またエチュードとしても、かつてのツェルニー的なアプローチも多く見られ、の要素との要素の中間的なものとも言えます。

しかし彼の遺した多くのエチュードを愛する演奏家も少なからずいるようです。 

 

    

        ホロヴィッツ演奏   モシュコフスキー 15の練習曲  第4曲

 

 

 

    ラフマニノフ 練習曲集「音の絵」 Op.33 & Op.39

 

9曲からなるOp.33と、

さらに超絶技巧色の強い9曲からなるOp.39があります。

 

ラフマニノフの多くのピアノ曲中でも代表的な独奏曲集であり、高度なテクニックと高い芸術的表現を持ち、その名が示すように、曲ごとに様々にカラフルな色彩感と情熱をも持っています。

また、短調の曲が圧倒的に多く、計18曲中、長調の曲は僅か3曲。

 

後に、レスピーギが5曲を選んでオーケストラ組曲にしたそうです。  

 

          

       プレトニョフ演奏   ラフマニノフ 「音の絵」Op.33 より  第8曲

     

 

 

          

      ハリトーノフ演奏   ラフマニノフ 「音の絵」Op.39 より   第9曲

 

 

 

  ドビュッシー  ピアノのための12の練習曲 

 

ドビュッシー晩年の作品。

「3度音程のために」、「8本の指のために」、「半音階のために」、「装飾音のために」、「和音のために」等々、技巧面での具体的なタイトルがあり、それぞれの目的練習の要素もありながら、指番号は書かれてなく、極めて個性的で深い音楽性に満ちた意欲的な作品群となっています。

芸術的エチュードの元祖、ショパンに献呈されています。 

 

 

         

    ドビュッシー 12の練習曲 より  第11曲「組み合わされたアルペジオのために」

 

 

 

          カプースチン 8つの演奏会用練習曲 Op.40

 

現代のクラシック界に於いて、限りなくジャズに近い独特のピアノ作品を中心に発表し続ける異才カプースチン。彼の作品の殆んどは高い演奏力を必要としますが、その個性的なサウンドのピアノ作品中でも、比較的ポピュラーな曲集となっています。

 

牛田さんは14歳の時、この中の「トッカティーナ」を数回だけ披露されましたが、彼には今後、カプースチン作品もぜひリサイタルで取り上げて欲しいです!ゆめみる宝石

 

 

            

     C・R・アムラン演奏  カプースチン 8つの演奏会用練習曲より トッカティーナ

 

 

   

 ここにショパン以降の代表的なエチュード(多くは演奏会用の)を挙げましたが、他にも作品の知名度ではやや劣りますが、

 

 サン=サーンスが18曲、 スクリャービンが20曲、 プロコフィエフが4曲、それぞれピアノのエチュードを書いています。

 

更に、マイナーな作曲家(主に現代)たちも数知れずピアノのエチュードを書いていて、もはや混沌とした状況のようです。    

 

 こうしてエチュード(練習曲)の元来の素朴な意味合いを超えた、高い技術習得と芸術性をも追求した音楽が、ピアノ曲のジャンルとして、発展し続けたことは実に興味深いですね。

 

 

       

 

 

 

        

         ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

  

 

 

 4月28日 EテレSUB(普通にEテレかBSでやって欲しかった。とても良質な内容なので)で再放送された、「クラシック倶楽部・こどものための音楽会」(2013年3月放送)

 

当時も見てましたが、改めて懐かしかったです。13歳の牛田さんと須川展也さんとのお話、あの時代に想いを馳せられました☆彡  🎹演奏はさすが!

  

        

         ”世界が注目する”は、本格的にこれからだと思うのですが・・・^^)

       

 

      

 

 

 

 4月29日には、NHK BSプレミアムで、何度も再放送もされた

好評の拡大版 特別篇「蜜蜂と遠雷~若きピアニストたちの18日間」が、久々に再放送。

 浜コンでの牛田さんをメインに、感動の密着取材が行われましたね。

 

      

             番組中、最も感動する場面の一つでしたね!

 

 

 

 ああ、クラシックコンサートが国内で再開できるのはいつになるのでしょうね・・・

牛田さんも、耐え忍ぶ日々を送っておられることと思います。

  がんばれ!

 

そしてこんな時だから twitter上で、ぜひ演奏動画も載せて頂きたいです☆彡