2018年2月23日(金)
サントリーホールで行われました、東京フィルハーモニー交響楽団定期演奏会 プレトニョフ&牛田智大の北欧紀行 に行ってきました。
牛田さんの今回が初披露となる グリーグピアノ協奏曲の感想等を中心に綴ってみます。
僕がサントリーホールのコンサートに行ったのは、今回で計5回目位だと思いますが、
また、牛田さんもその時以来のサントリーホールでのコンサートとなります。
牛田さんFBより プレ氏から直々に綿密なアドヴァイスを貰ったとか
19時の 開演時間になり、オケのメンバーがようやく入ってきて音合わせ。
プレトニョフ氏(上下黒っぽい衣装)がゆっくり登場。
シベリウス 交響詩 フィンランディア op26
シベリウスの名刺代わりのような名作中の名作。いつ聴いてもワクワクします。心底大好きな曲!
ゆっくり重苦しい金管の咆哮から、弦楽器へ祈りのような悲し気な調べが次第に頂点へ、やがてテンポを上げ高揚感あるリズムの力強いサウンドに転じ、落ち着くと、あの有名な旋律が木管→弦楽器群で感動的に歌われ、最後は勝利の凱歌のように確固として力強く結ばれます。
しかし・・驚くほど遅め(有名な旋律以外)なテンポでの演奏!
もう少し早いほうが、曲の魅力を引き出す気がします・・
ピアノがセッティングされるまで、かなり大掛かり(面倒?)で、けっこう時間が空く・・ この間に、折角の余韻や感動がだいぶ冷めてしまう事も往々にしてあるのですが。
まもなくして牛田さんが颯爽と登場。燕尾服姿です!
燕尾服姿を生で見るのは初めてですが、、定着しつつあるのでしょうか??
グリーグ ピアノ協奏曲 イ短調 op16
難度的には、「超絶技巧」はほとんど無く、ロマンティックな表現重視でも堂々挑める数少ないロマン派コンチェルトと言えます。また今回、牛田さんの手の動きがよく見える席だったので、そこも大注目☆
さぁ、緊張と注目の中 第1楽章
出だし、オケとピタリ合わせるのが意外と難しい。プレ氏とじっと合図をしあいながら、印象的なカデンツァを決められてゆく。第1主題、第2主題と優しい音色でとてもロマンティックに奏でられます。その間を埋める歯切れ良いフレーズ群もなかなかのもの。安定した展開部、再現部ののち、長くピアニスティックなカデンツァは、力強さの中に きらめきや深い音色も聴かれ、しばし圧倒されます! さらに堂々とした気分の冒頭の音型の中で幕。
第2楽章
ゆっくりしたロマンにあふれる楽章。北欧の大自然の中で瞑想にふけるかのように、ピアノとオケの間に穏やかな対話が交わされます。北欧的な語法ともいえる、不思議な一時転調も交えつつ、牛田さんのピアノはしばしうっとりとした世界を、優しい音色で繊細に奏でてゆきます。
第3楽章
行進曲風の歯切れのよい第1主題とそれに続くピアニスティックなフレーズを力強く、時に繊細な音色で決めてゆかれます。北欧ロマン的な第2主題はまろやかな音色で歌心も素晴らしく、もはや余裕を感じさせます。再び第1主題の律動が続いたあと、力強いカデンツァ→コーダの豪快な第2主題の再現部分は、急速な音階を何度も駆け上がり、しかし大音量のオケに埋もれることなく、見事なコントラストを作りながら、感動的に全曲のフィニッシュ!!
盛大な拍手に包まれます。プレ氏としっかりハグ、さらに手をつなぎ高く手を掲げます。場内ますます熱くなり、3度目のカーテンコールでピアノの前へ
アンコール シベリウス 5つの小品から「樅の木」
お~、この曲が来ましたか~と思いました。ちょっと驚き☆
そう、セカンド(ミニ)アルバム「想い出」に収められてますが、演奏会での披露は初めてでは?
シンプルですが魅力的な旋律と和声を持つ小品。
レコーディング時より、とても深い音色になっていて、歌い方や雰囲気も見事です!
牛田さんFBによると、アンコール曲については、これを弾いてみてはどうか?とプレ氏が出してきた(他の)曲は、どれもかなり難曲(?)だったそう。
休憩
シベリウス 組曲 ペレアスとメリザンド op46
メーテルリンクの戯曲を基にした劇に付けた音楽を選び、組曲としたもの。
シベリウス大好き!ですが、この曲は正直あまり馴染みがなかったです・・。このタイトルの作品ならフォーレの作品が有名でしょう。実際に演奏される機会も少ないようです。この作品を敢えて選んだプレ氏の音楽観もなかなか面白いと思いました。
第1曲「城門にて」から第8曲「メリザンドの死」まで、多くがうら寂しく幻想的で、時に楽し気な曲もあります。どれも若干ムードミュージック的で、大きな盛り上がりこそありませんが、どこか不思議な世界へ誘われる感覚ですね。弦楽器の特にコンソルディーノ(弱音器をつけた)音色や、イングリッシュホルンのソロなど美しく印象的。最後は寂しく消えてゆくように終わります。
シベリウス ペレアスとメリザンド 第2曲 メリザンド
イングリッシュホルンが美しい♪
シベリウス 交響曲第7番 ハ長調 op105
シベリウスの最後の交響曲で、傑作とされていますが、どちらかというと「玄人向け」だと思います。(シベリウスの曲を知らない人に、何かお勧めをと言われても、この作品はお勧めしません・・笑)1つの楽章しかなく、その中に交響曲のエッセンスが見事に昇華されてると言われています。
ゆっくりした低音の音階から、何とも渋めなサウンドが展開されてゆき、トロンボーンに勇壮なテーマが現れる所が唯一、分りやすい旋律らしい部分かも。後半のテンポを上げたスケルツオ風の部分も、ひたすら理屈っぽい作曲法でたたみ掛けてゆき、とても渋いです。最後、全オーケストラの主和音の上を旋律がシ→ドと、湧き上がりながら幕。
盛大な拍手! ブラボーの声も飛び交います。
アンコールは 「シベリウス ポルカ」と。 これは全く聴いたことない曲です。
シベリウス「かわいらしい組曲」から ポルカ (動画もなかなか見つからない・・)
盛大な拍手は続き、会場明るくなりようやく静まる。
牛田さんのグリーグ・コンチェルト以外、アンコールも全てシベリウスの作品になりましたが、とても素敵な、久々のサントリーホールの夜を堪能させて貰いました🌟
牛田さん、今年始めから続いた様々なコンチェルトの演奏会、この日の後2会場でのグリーグで一旦終止。3月は「オールショパン・リサイタル」に入ります。なかなかハードなスケジュールですが、体調には気をつけて臨んで頂きたいものです!