~瓦 Part.2~ 「瓦の可能性を求めて!」 | ユージーのブログ

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本年最後の落穂拾いブログでは、

今年6月にお届けしました「瓦の使い方」の続編をお送り致します。


瓦の可能性を求めて!


今回は瓦を使ったオブジェを紹介します。

先ずはこの写真を見てください。



瓦を素材にした「噴水」です。残念ながら、現時点では水を流すことはしていないのですが、「蓮の花びらと葉っぱ」をあしらった大胆な造形です。もう少し詳しく見てみましょう。




葉っぱの先端部分が鋭いエッジになっています。残念ながら、その為に削ぎ落ちている箇所が有りますが、その造形は見事です。中央の部分を見て頂きましょう。



中央の「吐水」部分がおわかりでしょうか?

次は、瓦の上部を歩けるように数枚合わせた瓦を小端(コバ)立てした「飛び石」を紹介します。



白い石を敷き詰めた部分に水が流れていて、小川をイメージして作られています。その中を渡っていくための「飛び石」を瓦に置き換えた意匠が斬新です。では、渡りきった歩道部分には、どんな意匠が待っているのでしょうか?




平瓦を敷き詰め、まるで舗石ブロックを敷き詰めたように納めていますが、相当に高価な仕上げとなっています。



この写真は、別の舗道部分に敷き詰められた瓦の意匠です。中央部分の丸い瓦を中心に、不等辺の菱形形状の瓦をあしらい、外に向かって四角い瓦を敷き詰めています。

本来、瓦は、その上を人が歩くようには作られていませんから、ここでは靴の裏に付いた細かい砂粒等々により、表面が荒らされ、そこから雨水が浸透し、冬場の凍結融解といった過酷な条件下に晒されています。

従って、表面にポップアップ状の劣化が見られ、痛々しい姿になっている箇所もあります。

しかし、全体的には「シンプルで素晴らしい造形美」を主張しています。


最後にもう一つ、瓦で出来た噴水を紹介します。



この噴水も吐水を止めてしまいましたが、面白い造形です。

周囲の平板は水溜まりの部分の(プール)底になります。

水深は浅く、数センチしかないので、夏場は幼児達の格好の水遊び場となっています。


末筆になりましたので、ここの場所をお教えしましょう。

静岡県賀茂郡松崎町松崎23

「伊豆の長八美術館」の前庭に設置されたものです。

この長八美術館は「漆喰芸術の殿堂」と評される左官職人の聖地です。

倉や蔵の外壁を飾る「なまこ壁」の技を左官職人達がこのような形で自分達なりに表現したものです。

また、この美術館の横には「鏝塚(コテヅカ)」が建てられています。



日本の左官職人達にとってここは正に、「左官の聖地」ともなっているのです。そんな伊豆半島の西端、松崎町の鏝絵の殿堂を紹介しました。


次回は「鏝絵(コテエ) その二」として、左官による鏝絵の技を紹介します。


2013年11月22日

文責・写真撮影:児玉 博文