遺産相続人 | ♡卯月花のブログ♡

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幼い頃からの想い出を縦糸に
道草しながら出逢った人や動物たちとの交流を横糸に
綴っていきたいと思います。
昭和の良き時代を生かされた事は
幸せだったとしみじみ感じます。

私の父は
とても義理堅く筋を通す人でした。

筆まめで尋常小学校の同級生から
恩師や親戚の端々まで百枚以上も
年賀状を毎年出していました。

もちろん同じ数の年賀状を頂いて
いました。

喪中ハガキの数が毎年少しずつ
増えていき寂しさを感じ始めた
頃でしたか

お夕飯後に洗いあけをしていると
電話が鳴り私が取ると
知らない方で弁護士さんとの事です。

父は四代目ですが
初代のおじいちゃんの生家の
最後の主が亡くなって
家族が居なかったようで
遺産相続人を探すと
父だったそうです。

父の兄弟は亡くなり父は一人でした。

私は降って湧いたような話に
胸ときめかして
父に電話を替わりました。

父は電話を取ると

「養女が居ましたよ。
七年前迄は年賀状のやり取りも
ありましたが
急になくなり心配して居りました。
住所教えますから連絡してあげて
下さい。」

年賀状を持って来て住所を読み上げて
電話を切って
何もないようにテレビを見始めた。

その間は5分間ほど!

何ともあっけなく一瞬の夢か?

父が席を外した時に母に話す。

「欲がないにしても馬鹿がつくと思うよ。」

母は

「お父さんはそう言う人だから」

そして話してくれたのが

お父さんの友人の話でした。

老人ホームに入っている友人から
電話があり県外の銀行に
連れて行ってほしい。

父が運転した帰りに
友人が
昔からのお礼にと
20万円当たった宝くじの半分を
くれようとしたのに
受けとらなかったそうです。
父はそういう人でした。

あの時の5分間は
お財布が寂しくなると思い出します。

あれ以来弁護士さんの電話は鳴りません。

そもそも父に連絡してきたと言うのは
養女さんは居なかったはずです。

結局は父が相続放棄した事になって
弁護士さんのポッケに入ったと
思ってしまう
欲深い私なのです。

5分間で消え去った夢は
私の中でしぶとく
くすぶって居ります。