仮面を何度も
蒸れるほどに何重も
被る生活にうんざりして

今度は
剥ごうとして
めくってもめくっても
素顔は見えずに
自分をすり減らしている気がして

もういいやと
あきらめた時に
仮面は素顔になった
雲はあまりにも大きくて
流れているのに気づかない
雲はもっそりしているから
その速さに気づかない

蟻は静かに歩くから
その速さに気づかない
蟻はあまりに小さくて
踏んでいるのに気づかない

僕のものさしはあやふやで
自分の変化に気づかない
君はあまりにも遠すぎて
ここにいるのに気づかない
差し迫る日々が
「さよなら」を
重くしていくのを
止められず

季節の深まりを
避けるように
冬を想った

桜が桃色を
露わにする頃
きっと裸の言葉だけが
別れ際に残される
体がまず始めに
春を先取りしている
というか
花粉症

見せないことに
懸命になって
一日がはかどらない

微妙な角度に
首を上げ
遠慮気味に
くしゃみ

とっくに潤んだ瞳は
このままいっそ
大泣きしてしまいたい気分
言いたいことは
これだっけ
中身のない
薄っぺらな笑い話
でも楽しい

大切な存在だよって
想う気持ちを
こんなにも遠回しに
日常に忍ばせて
はしゃいでいるね

もうじき
ここからいなくなる二人
残酷なくらい
目の前には
未来しかない
明日が晴れでも
雨でもいいように
僕は耕したての土になろう

いつ種が飛んできても
受け止められるように
ゆったり広がっていよう

息を止めて見守っている
思いがけない芽が
地面に吹き出していくのを
飲みすぎた水は
勢いあるおしっこに
弾ける汗に
垂れる鼻水に
自分の外に

体に持ち込めるものは
限られているから
失うことも
満たされることもある

彼から溢れた言葉を
偶然彼女が受け取り
不意に釣り合うバランス
吸っても吸っても
無くならないよ

吸っても吸っても
現れないよ

空を飲み込み
たっぷりと味わって

ほっとした一息が
空への返事
いつも寂しがり屋の
僕らだから
永遠の時間の中に
束の間の儚さを見つけてきた

いつも不安だらけの
僕らだから
一瞬の出来事の中に
不変の法則を見つけてきた

いつも何事も迷いやすい
僕だから
流れる人の群れの中で
突然訳もなく立ち止まる
慰め合い
足を引っ張り合い
このユートピアから
抜け出るものがいないように
塀の中に自分達を
閉じ込めてきた青春

小さな世界の
神様を辞めて
私はこの世界の
平凡な大人になった
心の天秤に
天使と悪魔を
揺らし続けたままで