観る前から

うんざりするくらい

あらすじを聞かされた映画

 

何一つ

やり終えちゃいないのに

退屈している

 

今か今かと未来を欲しがり

毎日に出口がないかと

繰り返す部屋の模様替え

 

人と違う

自分を求めても

行き先は大体似てる場所

僕らは扉の前に行列を作り

未来の開店時間を待ちわびている

自分にしかない

言葉で伝えたがり

ペンを握る

 

だけど

君と想う時

湧き上がってくるのは

しょうもなくて単純で

ありふれている言葉

 

喉から飛び出しそうな

想いを押さえ込んで

遠回りに

気取って書いた手紙を

破って捨てる

いつもの作業

遠い南の海に眠る

赤い珊瑚の美しさよ

心に眩しいものは

潜らなければ見えない

 

暗い森の底で目覚める

可憐な花の愛おしさよ

心に留めたいものは

入らなければ見えない

 

僕の慣れた目に訪れる

命よ景色よ運命よ

ここにある全ては

感じなければ見えない

誤解から始まる

もう一つの正解

 

繋ぎ合わせながら

独り言を

二人事に変えていく

 

僕が生み出した言葉の

新しい意味を

君がいつでも見つけてくれる

こんなびしょ濡れじゃ

雨宿りできる店もなく

僕は走る

ひたすら家へ

家へ

 

こんな道路の上じゃ

染み込める土もなく

雨は下る

近くの溝へ

溝へ

 

雨の日の外では

あらゆるものが

迷いを忘れ

ひたすら流れ

流れ

心をほおばると

笑顔になる

 

心を噛み砕くと

涙になる

 

心を飲み込むと

苦しくなる

 

心を栄養にして

元気になる

 

心を空っぽにして

今日はごちそうさま

 

心を食べ終えて

一日が満ちる

ああ

窓の外は

行き先を

迷っている間に

 

水の音が

にぎやかで

心の声が

聞こえづらい

 

大切なものを

大切と言えたなら

みっともないくらい

素直に

なれたなら

 

本当に逢いたい人に

逢いに行く

明日

天気予報が外れたら

言葉を覚えてから

僕は潜り方を忘れていった

 

言葉を覚えてから

僕は飛び方を忘れていった

 

言葉を覚えてから

僕はどうしようもなく人間だ

 

言葉を覚える前

僕は確かに獣だった

 

言葉を忘れた後

僕はいつか風になる

好きなことを

見つけたら

ここに帰ってくる

 

心地よく

散らかしてある

いつもの部屋

 

好きなものに

囲まれて

のんびりして

 

時間から切り離された場所で

新しく作り出す

一人きりの時間

笑われても

怒られても

見せなかった

 

蹴られても

罵られても

見せなかった

 

あんなに踏ん張って

僕が必死で隠し持っていたものは

何だったのか

今は分からない