本の帯より
心のざわつきが止まらない。
最高に不穏な傑作職場小説!
職場でそこそこうまくやっている二谷と、
皆が守りたくなる存在で料理上手な芦川と、
仕事ができてがんばり屋の押尾。
ままならない人間関係を、食べものを通して描く
「おいしいごはんが食べられますように」
著 高瀬隼子〈講談社〉
2022年 P152
第167回芥川賞受賞作品です。
著者は1988年生まれのようです。
昔から日本人は「本音と建前」ってありましたけど、現代の若者の職場でも色々あるのですね。
(本文より)二谷を慎重にさせたのは、つまり、芦川さんのないがしろにできなさだった。ないがしろにできなさを持つ女が、二谷のタイプなのかもしれなかった。
二谷は頼りない、弱い感じの、優しい女性が好きなのだけど、線が細く小柄で、表情にとげのない女性の中でも、弱弱しさの中に、だから守られて当然、といったふてぶてしさがあると妙に惹かれる。
この二谷君、普通に好青年だと思うのだけど、カップ麺が主食で、料理上手な芦川さんと付き合って、彼女の手料理を食べたあとからも、こっそりカップ麺を食べ直すという現代っ子(?)
もう、食生活がそれが当たり前になっているのです。
芦川さんは、いつもにっこり微笑んでいて、怒ったり、ため息をついたりしないし、優しい雰囲気なので、上司からもパートのおばちゃんたちからもウケがいい女性。
けれども、持病の頭痛を理由に早退が多く、結局彼女が残した仕事を周りが残業してフォローすることになるのです。
そんな周りの人たちを気づかって、芦川さんはお礼に手作りのお菓子を皆に配ります。(お菓子を作る余裕があるなら、せめて自分の仕事を終わらせて早退すればいいのに、)と誰もが心の中では思っているけど、芦川さんの手作りお菓子が美味しいと褒めるのです。
そんな芦川さんを先輩に持つ押尾は、学生時代チアリーダーをしていたという、責任感が強く仕事もきっちりするタイプの女性。二谷とは本音を話せる飲み仲間なのです。
この三人の、職場だけに秘密の三角関係でしょうか。
ウチの職場にも、家庭の事情という理由で早く仕事は帰るけど、その後飲んで帰る同僚がいます。(笑)ま〜後輩が「彼女は自分ファーストだから」と言った時には、その割り切り方に私はビックリしました。
今の若い世代って、あまり他人に干渉したり意見したりしないのですね。
もやもやするけれど、
仕事をする同士たち、生き延びよ!
と、思いました。
私も、他人の事をどうこう言う前に、まずは自分の仕事に向き合おう〜
と思いましたね。