(60)クリスマスパーティ
街はすっかりクリスマスムードでにぎやかさを増した。
年末に向けてなんとなく空気も慌ただしくなってくる。
毎日寒い日が続いて、雪が降る日もあった。
12月の始め、新入社員のクリスマスパーティーが行われた。
会場は会社近くのレストランアモーレ。
当日、望くんが、「やっぱクリスマスいうたら出会いですよね」「かぁいい子に告られるかもしれへんですよね」「幸運を祈っとってください、必ずやゲットして見せますから」とかなんとか、はしゃいでしゃべってて櫻井さんに、「こら仕事しろ」とファイルでぱこんと頭を叩かれていた。
でも望くんはそんなのじゃへこたれない。
終業の音楽が鳴ると同時に、「ほなら先輩、行ってきまーす! 」と高らかに宣言して帰っていった。
にぎやかだな。
『波奈ちゃんも行くんでしょ?』
「はい。一次会だけのつもりですけど」
今は休憩時間に入ってるから、相葉さんの態度もくだけている。
『帰り、迎えに行きたいけど、パーティの終わる時間に仕事が終われるかどうか微妙なんだ』
「大丈夫です。ちゃんと帰れますよ」
『帰れるかどうかを心配してるんじゃないんだけど』
笑って言った。
「何がですか?」
そんなに飲まないつもりだけど。
『松本も来るんでしょ?』
「たぶん」
『会わせたくないな』
「…」
それはわたしも気になってる。
最後に私が潤くんと交わした会話を考えれば、相葉さんの言うことは尤もだと思った。
『…楽しんできて、と言いたいところだけど』
相葉さんは片手でちょんと毛先のカールに触れて言った。
『今日のヘアスタイル、いつもと違うね』
パーティだから、ちょっとヘアアレンジは変えた。リボンも今からロッカールームで追加していくつもり。
『そんなに可愛くして、誰かに連れてかれないようにね』
笑って言ってるけど目が本気っぽい。
私がちゃんとしてれば、大丈夫。
潤くんとのことも、大丈夫。
「大丈夫です」
『うん』
「じゃ、行ってきます」
『やっぱり迎えに行く』
「え、仕事あるんでしょう?」
『中途外出にする。終わったら連絡して』
「そんな。悪いです」
仕事の邪魔したくない。
『僕が行きたいの。連絡して』
「…わかりました」
潤くんとはあれから一度も会ってない。
クリパに来るかどうかさえ知らない。
望くんはなにも言ってなかったし、ミキちゃんからもなにも聞いてない。
本当は少し緊張するけど、相葉さんに言った通り、私がしっかりしてたら何も問題ないはず。
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