(61)大事な話
パーティは定番のビンゴ、ジャンケンゲーム、イントロ当てクイズといろいろ企画されて盛りだくさん。
少しお酒も入って賑やかで、それなりに楽しかった。
音楽が少しうるさめにかかっていて、隣の人とも大声を出さないとちょっと聞きづらい。
そんな中で、潤くんと会った。
「波奈。久しぶり」
「久しぶり、潤くん」
気まずい。
がんばれ私。
「元気そうだな」
「うん」
「こないだ、悪かったよ。ちょっと大人げなかった」
「ううん」
潤くんを見られなくてちょっと顔を逸らした。
黙って前の方でジャンケンゲームの決勝戦が盛り上がっているのを見ていた。
込み入った話をしていても、音楽がうるさくて多分私たちの会話を聞いてる人はいない。
しっかりして。ちゃんと言わなきゃ。
「こないだね、私あんなふうに言ったけどね」
「…」
「もう心配してないの。元カノさんのこと、私気にしてない」
ホントは今も全く不安がないとは言い切れないけど、いつまでも拘ってたら先に進めない。
「でも…」
潤くんは、でも、と言った。
あいばさんはにてるから波奈のことを好きって言ってるのに、それを波奈が気にしてないと言ったところでいずれ…、とでも言いたげな顔。
いいの。
「いいの。もしそうだとしても、後悔しない。今相葉さんが好きって言ってくれることを信じるの」
会場のツリーの電飾が色とりどりに明滅するのが反射して、潤くんの表情はよくわからない。
潤くんはもう、何も言わなかった。
「そっか…」
「うん」
ジャンケンゲームの優勝者のトオルくんが、景品の副賞にもらったサンタのコスプレを無理やりつけさせられて、それを見てみんなが笑っている。同期の中でも一番背が高くて横にも体格のいいトオルくん。
メインの商品は会社の一階のうどん屋さんの回数券で、そっちだけでいいのにーと騒いでるけど笑ってる。恰幅が良くて本当にサンタさんみたい。
「わかったよ波奈」
その声は諦めに低く乾いていて、こんな騒がしいところで、こんな大事な話をして、申し訳なかったと思った。
→(62)