中学受験から大学受験まで教えていると最大のテーマは《何故、小学生や中学生まではトップクラスだったのに高校で急についていけなる生徒が出てくるのかである。》  

  

その一つの原因は中学受験と大学受験の性質を混同しているからだ。




特に中学受験で塾に過度に依存すると弊害が生じる場合がある




第一に中学受験はごく一部の少数の生徒のみが行うものである。教育熱心な家庭ほど周りの中学受験をみたり東京から発信される雑誌を読んだりしているから皆が中学受験をするよう錯覚する。だが、岡山県全体・日本全体で見れば中学受験は少数派であるということを認識して欲しい。





 小学校は義務教育である。ましてや難関中学受験を前提として教えているわけではない。




そこで小学校の授業と中学受験の出題内容の乖離が生まれる。この差を埋めるのが塾の役割である。そこで学校の授業を聞かないで塾にいって勉強する生徒が出てくる。




 ところが進学校といわれる高校では、ほぼ全員が大学受験をする。大学受験は高校で習った範囲から基本的に出題される。公式に指導要領外の出題を明言しているのは京都大学だけだ。


分かり易い例をあげよう。


公立小学校で授業中に灘中学とか開成中学の入試を取り上げる小学校はない。




一方で、岡山の進学校といわれる高校は私立であれ、県立であれ授業中に岡山大学やセンター試験の問題を取り上げているではないか?小学校と高校ではその役割が違うのである。そもそも高校は義務教育ではない。




 第二に時間数である。小学校では基礎学力の定着のため繰り返し基礎の学習を行うことが多い。そんなに進度が速いわけではない。だから週に3回、一日に3時間、計9時間も塾に行けば算数・国語・理社と全ての内容を網羅できる。




 ところが、高校では数学だけで、だいたい週6時間から7時間、私立ではさらに時間数がある。補習もいれればその進度や量は小学校の比ではない。




これだけの時間数の授業を全く聞かないで週にたかが、一、二回塾に行っても成績が上がるはずがない。





第三に内容である。小学校の授業内容より高校の授業内容のほうが生徒から見れば難解(生徒から見れば難解という言葉を使ったことに注意して欲しい。大切だとか高度だとか言っていない。ある意味小学校の基礎がもっとも大切で、教える側から見れば高度と考えるからである)であることは異論が無いであろう。私はよく言う:







《数学の教科書には人類が何千年もかけて編み出したことが書いてある。積分(の考え)は今から2000年以上前に人類が発見したものだ。



一方微分は400年くらい前に発見されたものだ。(この微分の発見に関して関孝和のことは必ず触れる)この差を埋めるのに1600年ぐらい掛かっている。それが教科書では1ページにかいてある。だから、予習・復習をしっかりしないと分からないのは当然のことである。ボーとして授業を聞いて理解できるはずが無い。




(余談だが、数学よりも甚だしいのは生物の教科書だ。もし50年前の生物学者が今の高校の教科書を見たら腰を抜かすであろう。)》

と。




また、少なくとも難関大学ではその場で考えるような問題が多い。公式を当てはめてすぐに解けるような問題はでない、だから、中学受験で公式だけを、暗記に頼った解法や、公式を、あてはめたり、やり方だけを覚える癖をつけると大学入試では、通用しない。




中学受験の塾で毎週、試験がある。たいていの保護者や塾講師は違ったところをやり直しなさいという。間違ったところを直すより大切なことがある。私の指導では正解したところを説明しなさいという。



一例:国語の漢字の試験で「建立(こんりゅう)」という読みが出たら、なぜ、「けんりつ」とよんではいけないのですか?今までに答えられた小学生はいない!





将来のことを考えれば、考え違いや正しくない方法で正解が出ているほうが危険だからである。やり方だけを覚えて正解しているのはさらに危険である



第四に、中学受験で分かりやすく教わる癖をつけられると困る。もっと困るのはおもしろおかしく習う癖をつけてもらうことだ。内容が本質的に難解な箇所が出てくるとき生徒が考えることを放棄してしまうからだ。



第五に困ったことに、保護者も、勘違いしているのは受験情報の問題だ。岡山で県外の中学受験の候補校は五指に満たないであろう。北陸や北海道の私立中学を受けたいといった相談は一度もない。だから・・・



「灘中学の・・・傾向は・・・で・・・と即答できる。」



しかし、同じ感覚で大学受験の相談をされても困る。UBQでも北大医学部に3名進学した学年もある。国公立大学の医学部だけで何校あると思っているのか?そのすべての情報を、頭に入れることは不可能だ。





中学受験の感覚のまま、塾におんぶにだっこで、質問することは不可能だ。



「本人が行きたいのだから自分で調べなさい」というと、不勉強な塾講師だとか、面倒見の悪い塾と勘違いされる。










高校生が授業を熱心に聴かないことの言い訳は、


だって、あの先生の授業何を言っているのか分からないから


と言うことをしばしば耳にする。







もう、ここまで読んでいただければお分かりかと思う。これに対する私のアドバイスは



もともと、高校の授業は難しいもので予習復習をしたうえで相当努力してやっと理解できるもので難解なもの分かりやすく説明しようとすると本質を歪めてしまう


授業が分からないのは君が予習・復習・課題をこなした上で真剣に聞いていないからだから君に責任がある。




最善のアドバイスをしたつもりなのだが、保護者の前ではっきりいうとたいていは嫌われる。


塾経営上は、そうだねぇ。あの学校の先生は教え方が悪いんでしょう、うちの塾へ来れば大丈夫だよというべきなのだろう。保護者も生徒も塾の甘い言葉に弱いものである。







(ブログ内リンク:7年かかりますよ)


だから、特に低学年の指導ほど、難しいものはない!東京大学理科3類を受ける受験生に、微分方程式を教えるより、小学生に分数の計算を教える方が、はるかに大変である。


「学習塾に副作用あり。」と言っている。