以前、be willing to ~ は、 「喜んで ~ する」ことではないと指摘いたしました。
もう一つここで指摘したいのは、believe in ~ というのを、~の存在を信じている、と覚えている受験生がおられるようです。
まず、熟語というのは、丸暗記をするものではなく、believe in ~という言葉を習ったならば、in を辞書でひくべきなのであります。
そうすると、「行為の対象を表すin」というのがあります。
たとえば、increase in number ~ というのは、数において増えるわけではなく、数が増えるという意味です。
succeed(fail) in the exam
というのはそれぞれ、
試験において成功(あるいは失敗)するということではなく、試験そのものにおいて成功(あるいは失敗)するということになります。
つまり、熟語というのは、この場合、前置詞に意味があるわけであります。
たとえば、
correspond to ~ と
correspond with ~
の違いは、丸覚えするものではありません。
correspond to ~ の to を辞書で確認すると、調和、一致、随伴のto と書いてあります。
わかりやすい例を挙げると、
Let‘s dance to the music.(音楽に合わせて踊りましょう)という例があります。
ですから、このtoが一致するという意味です。
~ に一致して、cor-respond お互いに対応するという意味になります。
さて、元の話に戻りまして、行為の対象を表すinですが、
信じる(believe)という行為の対象が、in の目的語になっているわけです。
ですから、
I bilieve Tom.
トムの言うことを信じる。
という意味であるが、これが
I believe in Tom.
であれば、
「トムという人間に対して全幅の信頼を置いている」
という意味になります。Tomの存在を信じているという意味ではありません。
どうしてこういった誤解が生じるかというと、 be willing to ~ のところでも申し上げたように、日本語の訳で考えるからです。
I believe in God.
と言った場合には、このGodというのは、全智全能であり、なおかつ宇宙の創造主・唯一絶対の神ということになりますから、Godの存在は信じているけれども、Godの教えは信じていないということは、考えられないことなのです。
これは東京大学(1992)でも出ている例でありますが、
I believe in evolution.
と言った場合には、進化論の存在を信じているという意味ではなくて、進化論について自分は科学的事実だと思ってそれを認めているという意味である(逆に言えば、創造説を認めていないという意味になります)。
I believe in science.
と言えば、科学の存在を信じているという意味ではなくて、非科学的なものを否定している、科学的なことを重視しているという立場をとっているという意味になるわけであります。
以下、でINの用例の17番にご注目ください。
ジーニアス英和辞典第4版より
例えば、「自己の信念を通す」というのは「自己の信念の実在」を主張しているわけではありません。

