東京大学98年理系入試より
UBQ数理フォーラム代表:長山豊のブログ

入試解法上のテクニックであるが「入試問題文には解法に必要な最小の情報しか書いていない」という考え方がある。

東京大学の問題文に「・・・個数をf(n)とおく」とかかれていてf(n)自体はどこにも求めよとかかれていない。

それならば、出題者はf(n)を求めなくても良い解答を要求しているのではないかと考えるべきだ。




 

この問題を整数問題として理解している受験生・教師が多いようだが、よく見ると「xyz空間の点」と書いてある。

 

 



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例えば     x+y+z=n

という方程式は空間ではx,y,zの切片がnである平面を表している。上の点線の三角形を無限に拡げたものである。

        x+y+z≦n

であれば、平面で分けられた領域のうち原点側である。

そこで与えられた4つの不等式を空間で考えてみよう。

 

その前に、準備として、以下のように立方体を面の中心の3点を結んだ平面で切ることを考える。

 

ここでも、中学入試必須の「立方体の切り口問題」が出てくる。




 


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一辺の長さが2nの立方体に下のような赤色で示した正三角形が対応する事になる。

 

 

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だから4つの不等式で表される領域は正四面体の内部と表面を構成することになる。

 

 


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ここで極限値の本質的意味を考えよう。意味のない極限値が東京大学の入試で、でてくるはずが無い。

 

 無限大に大きくなった一辺が2nの立方体をnが1になるまで無限に遠いところから眺めれば、「一辺が2の立方体と組み込まれた正四面体」がイメージできる。

 

 

その中が無限に細かい格子点でぎっしりと埋め尽くされているのが見えてくるであろうか?

 

この格子点の数の比は体積比に他ならない。分母のnの3乗は単位の体積を定義するものだから、極限値は一辺が2の立方体にくみこまれた正四面体の体積である。

 

(解:2×2×2-2×2×2÷2÷3×4=3分の8)