父として見守る中学受験in愛知 -5ページ目
愛知県で小学校4年生の娘が中学受験を意識して塾に通い始め、父親として日々の勉強を横で見守っています。
最近、算数の問題を見ていて思うことがあります。
小学校4年生の計算問題って、思った以上に大変です。
もちろん、考え方そのものがものすごく難しいというより、筆算がとにかく面倒くさい。
たとえば、
4けた × 3けたのかけ算。
3けた ÷ 2けたのわり算。
4けた ÷ 2けたのわり算。
こういう問題が、テストの最初にずらっと並んでいたりします。
大問1の計算問題として、10問くらい出て、そのあとに文章問題や図形の問題が続いていく。
いわばウォーミングアップのような位置づけなのかもしれませんが、小4の子どもにとっては、これがなかなか手ごわいものです。
やり方はわかっている。
考え方もわかっている。
でも、途中で数字を一つ書き間違えたり、くり上がりを忘れたりすると、答えはあっという間にずれてしまいます。
親として見ていると、少しもったいないなと思うことがあります。
「この問題、考え方は合っていたのに」
「ここだけ計算ミスしなければ、点数になっていたのに」
そう思う場面が、少なくありません。
もちろん、計算ミスも含めて実力だと言われれば、たしかにそうなのかもしれません。
でも、まだ小4です。
責めるよりも、何か助けになる道具はないかなと思いました。
検算したい。でも検算も面倒くさい
計算ミスを減らす方法として、よく言われるのが「検算」です。
答えが出たあとに、もう一度たしかめる。
これはとても大事です。
ただ、ここで問題があります。
検算そのものも、けっこう面倒くさいのです。
4けた × 3けたのかけ算をして、さらにもう一度同じような計算をする。
わり算なら、答えに割る数をかけて、余りを足して確認する。
もちろん正しい方法ではあります。
でも、テスト中の限られた時間の中で、小4の子どもが毎回そこまで丁寧にやるのは、なかなか難しい気もします。
そこで最近知って、おもしろいなと思ったのが、「九去法」という検算の方法です。
九去法という、昔ながらの検算方法
九去法は、昔、計算機がない時代に、商人の人たちなどが計算のたしかめに使っていた方法だと聞きました。
今のように電卓もスマホもない時代、大きな数字の計算をしたあとに、答えがだいたい合っていそうかを確認するための実務的な知恵だったのだと思います。
やり方は、意外とシンプルです。
数字の各けたをばらばらにして足していき、さらに一けたになるまで足します。
この一けたの数字を「数字根」と呼ぶことがあります。
たとえば、9876なら、
9+8+7+6=30
30はまだ二けたなので、さらに、
3+0=3
となります。
なので、9876の数字根は3です。
このように、大きな数字を一けたの数字に置き換えて、計算結果が大きく間違っていないかを確認するのが九去法です。
たとえば「9876×789」で考えてみる
たとえば、こんな計算があったとします。
9876 × 789
筆算で計算すると、答えは、
7,792,164
になります。
ただ、これくらい大きな数になると、正直なところ、大人でも少し不安になります。
途中で一か所くり上がりを間違えたり、数字を写し間違えたりすると、答えは簡単にずれてしまいます。
そこで、九去法を使って、この答えが合っていそうかを確認してみます。
まず、9876の数字根を求めます。
9+8+7+6=30
3+0=3
なので、9876の数字根は3です。
次に、789の数字根を求めます。
7+8+9=24
2+4=6
なので、789の数字根は6です。
つまり、もとの計算、
9876 × 789
を、数字根だけで見ると、
3 × 6
として考えることができます。
3×6=18
1+8=9
なので、左側の計算から出てくる数字根は9です。
次に、答えとして出した7,792,164の数字根を確認します。
7+7+9+2+1+6+4=36
3+6=9
答えの数字根も9になりました。
つまり、
9876 × 789 から考えた数字根は9。
答えの 7,792,164 から考えた数字根も9。
両方とも9になりました。
なので、九去法で見る限り、この答えは合っていそうだと確認できます。
「合っている」と断言できるわけではない
ただし、ここは少し注意が必要です。
九去法で数字根が一致したからといって、必ず正解とは限りません。
たまたま数字根が同じになる別の間違いもあります。
だから九去法は、「これで絶対に正解だ」と保証するものではありません。
でも、数字根が合わなければ、どこかに計算ミスがある可能性が高い。
つまり九去法は、正解を証明する方法というより、ミスに気づくための方法だと考えるとよさそうです。
この考え方は、子どもにも伝えやすい気がします。
「これをやれば必ず正解になる魔法の方法だよ」
ではなく、
「大きな計算をしたあとに、答えが変じゃないかを確認する方法だよ」
という感じです。
このくらいの距離感で使うのが、ちょうどいいのかもしれません。
わり算でも使える
九去法は、かけ算だけでなく、足し算や引き算、わり算でも使えるようです。
わり算の場合は、少し考え方を変えます。
たとえば、
割られる数 ÷ 割る数 = 商 あまり 余り
という形なら、
割る数 × 商 + 余り = 割られる数
という形に直して確認します。
つまり、わり算をかけ算の形に戻してから、九去法でたしかめるわけです。
これも慣れれば、普通にもう一度わり算をやり直すより、かなり楽に確認できるかもしれません。
もちろん、最初からすべての問題で使いこなす必要はないと思います。
まずは、かけ算の検算だけでも十分です。
大きな筆算をしたあとに、最後の確認として数字根を見てみる。
それだけでも、計算ミスに気づくきっかけになるかもしれません。
小学生の計算問題には、かなり実用的かもしれない
この九去法を知って、私はかなり実用的だなと思いました。
特に、中学受験の勉強を始めた小学生には、ちょうどよい気がします。
なぜなら、小学生の算数では、まだまだ手計算が多いからです。
中学生、高校生になれば、また別の数学の世界に進んでいきます。
でも、小学生のうちは、筆算の正確さがそのまま点数に直結する場面が多いです。
しかも、中学受験の算数では、ただ単に計算するだけでなく、文章問題の途中でも大きな計算が出てきます。
せっかく考え方が合っていても、途中の計算ミスで答えがずれてしまう。
これは本当にもったいないことです。
その意味で、九去法は、子どもにとって一つの「お守り」のようなものになるかもしれません。
「不安だったら、最後に数字根だけ見てみよう」
「合わなかったら、どこか間違っているかもしれない」
「合っていたら、とりあえず少し安心して次へ進もう」
そんな使い方ができそうです。
計算ミスを責めるより、道具を一つ増やしたい
子どもの計算ミスを見ると、つい、
「なんでここ間違えたの?」
「ちゃんと見直した?」
「もったいないよ」
と言いたくなってしまいます。
でも、よく考えると、大人でも面倒な計算を続けていたら普通に間違えます。
まして小4の子どもが、塾の宿題やテストで、大きな数字の筆算を何問も続けてやっているわけです。
ミスが出るのは、ある意味で自然なことなのかもしれません。
だからこそ、ただ「気をつけなさい」と言うだけではなく、ミスに気づくための道具を一つ渡してあげたい。
九去法は、その道具の一つになりそうだなと思いました。
もちろん、これだけですべての計算ミスがなくなるわけではありません。
九去法で見つけられないミスもあります。
それでも、子どもが自分で答えを確認する習慣を持つきっかけにはなるかもしれません。
そして何より、
「昔の人はこんな方法で計算を確かめていたんだよ」
と話すと、算数が少しだけおもしろく見える気もします。
単なる計算練習ではなく、人間が数字と向き合ってきた知恵の一つとして見ると、少し見え方が変わります。
中学受験の勉強は、どうしても点数や正解・不正解に目が行きがちです。
でも、こういう小さな工夫を親子で一緒に試してみることも、勉強の中にあるおもしろさなのかもしれません。
娘にも、ただ「ミスしないように」と言うのではなく、
「こういう確認の仕方もあるらしいよ」
と、少し軽い感じで伝えてみようと思います。
計算ミスを責めるためではなく、自分の答えを自分で確かめるために。
九去法、なかなか奥が深いです。

