独立して最初の一年、私は仕事一色だった。

見積り、現場、報告書。

帰宅すると子どもの寝顔だけが迎えてくれる。

ある夜、「パパの予定、いつ決まるの?」と食卓で問われ、胸が詰まった。

そこで発想を変えた。

家族の時間は余ったら入れるものではなく、先に確保する工程だ。

私が実践したのは三つ。

まず、週一の固定イベントを家族と決めて、案件より先にカレンダーへブロックする。

金曜の夜は一緒に餃子、日曜午前は公園。

次に、現場や出張の“ついで”を家族化する。

移動前後に30分の駅ナカランチでも、体感は驚くほど満たされる。

最後に、家庭内の役割を標準化。

朝食の洗い物は私、ゴミ出しは曜日担当、買い出しは手帳の在庫リストで抜け漏れを防ぐ。

製造業の段取りを家庭に持ち込むと、摩擦が目に見えて減った。

フリーランスは時間の自由度が高い分、境界が曖昧になりがちだ。

私は19時にパソコンを閉じ、スマホ通知を家族アカウント以外オフにする“終業の合図”を作った。

繁忙期に崩れそうなときは、理由と期間を家族会議で共有し、代わりに“後夜祭”を約束する。

先日は繁忙明けの週末、評判の味噌ラーメンへ。

子どもが「スープ甘いね」と言うので、「玉ねぎの火入れがいいんだ」とつい職業病の解説。

笑われたが、仕事の目と家族の時間がそこでつながった気がした。

検索で「製造業 フリーランス」「仕事 家族 両立」「時間管理 コツ」と辿り着いた方へ。

両立は根性ではなく設計だ。

制約を先に置き、その中で最適化する。

制約は創造性の母。

40代の今だからこそ、そう言い切れる。

月曜は現場に耳を澄ませ、金曜は家族と湯気を囲む。

その往復が、私の仕事と暮らしを同じ温度で温めてくれる。