New York Timesとミステリー小説原書の違い | フリーランス翻訳者の 「英語で生きる」

フリーランス翻訳者の 「英語で生きる」

中学校の義務教育課程で英語に初めて出会って40年、54歳にしてやっと英検1級、57歳で全国通訳案内士資格、59歳で国連英検特A級に受かり、そのまま勢いで30年以上続けたのサラリーマン生活に別れを告げてフリーランス翻訳者としての道を歩き始めたおっさんです。

英語のインプット量を増やすために、なるべく大量の英文に触れようと、去年英検1級に落ちた時にThe New York Timesの定期購読を始めた。

 

この新聞、米国でも比較的知的レベルの高い層が読むということで、流石に手強い。文章が独特で、何回か読み直してからやっと文の構造がわかる、ということもある。

 

新聞の固い文章を読んでいるだけでは飽きるので、軽めの読み物ということでペーパーバックのミステリー小説も読み始めた。こちらはJeffery DeaverのLincoln Rhymeシリーズを読んでみたら、これがめっぽう面白い。発表順に1冊ずつ読み、今読んでいるのが8作目の「The Broken Window」。

 

このNew York TimesとLincoln Rhymeものだが、英語の教材として見た場合、両者には特徴がある。

 

前者は文章は固いがボキャブラリーは実はある程度限られていて(もちろん、それでもかなり膨大ですよ)、辞書を引きながら読んでいると、そのうち調べる単語が自作の単語集でかなりカバーできるようになる(現在の自分の単語集には5,000語ほどの単語が入っている)。

ただし、辞書を引かないと記事の内容を正確に把握するのが難しい。遊びのない筋肉質な文章なので、前後関係から意味を類推することができないのだ。

 

それに対して、Lincoln Rhymeものは、英検1級に落ち続けていた頃でも辞書を引かずに読み進め、楽しむことはできた。小説なので話の流れで知らない単語でも意味の想像がつくからだ(ただし、わからない部分を正に「推理」しながら読むわけですから頭は凄く疲れます)。

 

ただ、それでいい気になって知らない単語の意味も曖昧なままに「流し読み」していたことが、いつまでも英語力が伸び悩んでいた原因の1つだったと思う。結局「なんとなくわかる」というのは分かったことにならないんだよね・・・。だから自分は「英語なんて習うより慣れろだ」という説に一面は納得するけど、それだけでは駄目だと思っている。

それで、読みながら少しでもわからない部分は必ず辞書をひくことにした。

 

そうしたら、とにかく使われているボキャブラリーの幅が広い。調べても調べても初めてお目にかかる単語や熟語が出てくる。口語的な言い回し、警察捜査や犯罪関連の用語(ミステリーですから)、若者言葉・・・。

 

でも、これはれっきとしたエンタメ小説であり、ごく一般的なネイティブが数時間あれば読んでしまうような代物なのだ。

 

自分はこれまでの数十年なんと無駄遣いしてしまったのだろう、なんて考えたりもするけど、人生の後半に楽しみが残ったと良い方向に解釈することにする。AIに追い越されないよう頑張らねば。

 

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