MOSRITE 黒雲PU修理 その2 | RE/F-TECH の足あと by u-tak

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RE/F-TECHとは、ビンテージ、アンティークをこよなく愛するミュージシャンu-takが、
旧き良きギター、アンプを中心に、修理、カスタムする小さな工房である。。。
子供たち(子役)の成長記も、ぼちぼちとお届けします。

本日は時間をやりくりして、ようやく映画「怪物」を観ました。

ほんと、誰もの中にモンスターの要素がある、切り取り方ひとつで物事の判断が変わってしまう、そんな世間の危うさを感じる、感慨深い作品でした。


そして、本日7/9(日)はパーシモンほたる祭り。

u-takも今から観に行きます!

 

 

 

さて、黒雲製MOSRITEのPU修理の続きです。

 

前回はコイルを解き始め、101ターン解いたところで1つ目の断線部が出てきたところまででしたね。

引き続き、コイルを解いていきます。

 

既に断線していた部分と、コイルが引出せなくなった部分が1か所、合計で6か所が比較的表層での断線でしたが、まだ導通がありません。

その後、1,500ターン解きましたが断線部が出てくる気配なし。。

コイルを巻き取っているボビンの上面のマスキングテープの数だけ断線部位があるという事です。

 

結局、5696ターン解いたところで断線部発見。

断線は全部で7か所でした。

導通も約0.8kΩですので、フロントと同じ5.8kΩと想定すると残り長さは13.8%、逆に5,696ターンが86.2%ですので、単純計算では5,696÷86.2%で全体は6,608ターン。

巻かれているコイルは内周が細くなっていくので、総ターン数はザックリ7,000ターン程度ではないかと推測されます。

 

残り1,000ターン以上ありますのでコイルは全部解かずに、ここから接続して巻き戻して行きます。

 

巻き戻しの作戦は以下。

①解き始めの断線6か所分は短い部分が多く、コイル外周テープの粘着剤でベタベタのため使用せず、新しいAWG42で300ターン差し替え。

②その後、最後に解いた長いオリジナルコイルを使って巻き戻し。

 

と言うことで、新しいAWG42を接続

接続部はコイルと同様にしなやかに曲がり、かつ十分な接触面積を稼ぐことが出来る方法で接続。

表面はエナメルで絶縁処理。

 

これを手回し巻き線機にSETして、コイルを巻き戻して行きます。

300ターン巻き込みが終わると、同様にオリジナルのコイルに接続し直し、巻き込んでいきます。

 

途中の写真ナシ・・・

 

オリジナルのコイルに接続し直してから1,000ターン巻き戻し。

カウンターはリセットしていますので、オリジナルコイルのターン数です。

 

巻きのパターンは、PUボビンの上下を片道約50ターンで往復。

時々片道75ターンで往復。

巻きの偏りを見ながら出来るだけ均等に巻かれるようにします。

 

2,000ターン巻き戻し。

5,000ターン巻き戻し。

巻き取っていたオリジナルコイルが残り少なくなってきました。

 

オリジナルコイルの一番長いものを巻き戻すと5,341ターンでした。

新しいコイルを巻きたした300ターンと合わせ、合計で5,641ターン。

 

コイルを解いた時の5,696ターンより50ターン少ないのは、最外周で短く断線した300ターン分を内部で差し替えて300ターン巻くと、その1周の長さが内部の方が短いため長さの差が発生したためと思われます。

 

少し内部で巻く際にターン数を増やしておく必要がありましたが、50ターンなら全体が7,000ターンとすれば0.7%、それほど影響は無いと思われますので、あえて巻き足すことはしませんでした。

 

使わなかったオリジナルの残コイル。

 

巻き戻したてほやほやのコイル。

レファレンス用のフロントPUを確認すると、外周にはかなり薄手の黒いフィルム状の保護テープが巻かれていた様なのですが、同様のものが手配できず、Gibsonと同じ黒の紙テープで外周を保護。

コイル端がキレイに出るように処理。

ベースプレートにPUボビンを仮止めしてからリード線に接続。

巻き始めがリード線の赤線、巻き終わりが白線。

コイルとリード線の接続部もテープで保護してから、さらに外周にテープを巻いて仕上げ。

左が修理したリアPU、右がレファレンス用のフロントPU。

 

PPを全て取り付けて修理は完了。

PUカバーを取り付けてリード線のマスキングを取り外し。

抵抗値確認。

5.86kΩ at 28℃ でフロントPUとほぼ同等。

最後にサウンドチェックなのですが・・・搭載できるギター無し。

ストラトの弦に対抗させて異常が無いことをチェックする程度となりました。

フロントPUも同様にして音の傾向の違いがないかを確認。

フロントPUとリアPUで音の傾向は同じで問題ナシ。

 

ギターアンプ直でサウンドチェックしましたが、比較的丸いマイルドな音の傾向でした。

 

これにてMISRITE 黒雲製PU修理は完了です。

 

参考まで、黒雲製PUは元々シェクターと同じところが生産しており、結構しっかり作られています。

現在は商標争いの結果、生産は終了していると思います。

一部在庫のみが流通しているとの噂ですが、数量が少なく高騰してきている様です。

 

 

さて、リアルではサイレンとギターの修理やウクレレPUの修理、ウッドベースのアクティブPUの修理など、電気モノが増えてきました。

 

このあたりも機会があれば、紹介していきます。

 

 

 

では、また。

u-tsk