新型コロナ関連の番外編(検査の感度・特異度・陽性的中率の話:過去記事リブログ) | 粳間メンタルリハビリテーション研究所/一般社団法人iADLのブログ

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いつもお世話になっております。

久々の記事更新です。

 

R2年3/13-現在、コロナウィルス感染症(COVID-19)の話題で持ちきりになっています。

特に、PCR検査に関しては間違った情報が多く広まっているので、解説しておこうと思います。

 

検査の感度・特異度・陽性的中率の解説は以前のブログで解説しています。

同時に、なぜ人は検査結果を勘違いしてしまうのか?そのメカニズムについても。

(過去記事)

https://ameblo.jp/u-mri/entry-12247605530.html

 

今回の記事では、その過去記事をリブログ紹介するとともに、検査の感度・特異度・陽性的中率の話を再度解説します。

 

 

☆100万人の希望者にPCR検査をしたらどうなるか?

 

新型コロナウィルスのPCR検査を100万の希望者に施行したらどうなるか?の例で解説します。

 

まずは話の前提となる仮定を以下のように設定します。

 

-(前提となる仮定)----

・PCR検査の感度を70%と仮定

・PCR検査の特異度を90%と仮定

・100万人の検査希望者のうち、1%が新型コロナウィルス感染者と仮定*

⇒つまり、感染者が1万人、"非"感染者が99万人と仮定

----------

 

この条件でPCR検査をすると、以下の表のような結果になります

 

この表だけではわかりにくいと思うので感染者と"非"感染者をわけて円グラフにします。

 

 

☆結果①感染者の円グラフ

 

感染者の円グラフは以下のようになります。

 

感染症検査の感度は「感染者が陽性になる割合」です。

この条件では感染者が10000人で、感度が70%なので、7000人が陽性になります(真陽性)。

残りの3000人は残念ながら、陰性と誤って判定されます(偽陰性)。

 

円グラフの赤い部分が真陽性の割合で、網掛け白が偽陰性の割合を示します。

 

ちなみに、「検査が陽性になった人の中に感染者が含まれる割合」は陽性的中率です。感度とは違うので注意(後述します)

 

 

☆結果②"非"感染者の円グラフ

 

"非"感染者の円グラフは以下のようになります。

 

感染症検査の特異度は「"非"感染者が陰性になる割合」です。

この条件では"非"感染者が990000人で、特異度が90%なので、891000人が陰性になります。

残りの99000人は残念ながら、陽性と誤って判定されます(偽陽性)。

 

円グラフの白い部分が真陰性の割合で、網掛け赤が偽陽性の割合を示します。

 

 

☆結果③感染者の円グラフと"非"感染者の円グラフの実際の大きさの比率は?

 

さて、上に示した2つの円グラフの大きさは実際の大きさとは違います。

感染者の円グラフと"非"感染者の円グラフの大きさを、実際の比率にあわせて書くと以下のようになります。

 

2つの円グラフを実際の大きさの比率に合わせて書くと円グラフの大きさが全然違います。

 

実際の比率に合わせた大きさの円グラフを見比べると、『真陽性の数(感染者で陽性になる人の数)より、偽陽性の数("非感染者"で陽性になる数)のほうが多い』と直感的にもわかると思います

 

 

この記事の条件ですと、「検査が陽性になった人の中に感染者が含まれる割合(陽性的中率)」は非常に低い★のです。

 

・感染者で陽性になる人の数⇒7000人(=感染者10000人×感度70%)[真陽性]

・"非"感染者で陽性になる人の数⇒99000人(="非"感染者1000000人-"非"感染者1000000人×特異度90%)[偽陽性]

・全陽性者の数⇒106000人(=真陽性7000人+偽陽性99000人)

 

★陽性反応的中率≒6.6%(真陽性7000人÷全陽性者の数106000人)

 

 

☆希望者全員にPCR検査をやっても結果はあてにならないよ!

 

上記の説明で、希望者全員にPCR検査をやっても結果はあてにならないことがわかりましたでしょうか。

 

・自分で計算できるようになりたい!

・もっと詳しく知りたい!

・検査感度の話が直感的にわかりにくい理由をしりたい!

 

・・・というかたはぜひリブログ先の過去記事を見てみてくださいね!

https://ameblo.jp/u-mri/entry-12247605530.html

 

ではでは。

ご参考までに。

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