あ・かぺらのつれづれ感想記 -24ページ目

あ・かぺらのつれづれ感想記

漫画とアニメとゲーム好きなダメ女のつれづれ感想記


吉野朔美さんの作品です。この方の作品は、この方の描く線そのもの。繊細で美しく、どこか狂気と毒を含んでいます。

表題作「記憶の技法」も例に違わず。

記憶喪失癖のある華蓮(かれん)。母親は今日も「好きだ」と言った覚えのない華蓮の好物を食卓に並べる。ある日、韓国への修学旅行のために取得した戸籍謄本には、自分より年下の「姉」がいた事実が。ありえない事実。母の語る記憶にいつも抱いていた違和感。偶然知り合った怜(さとい)の協力を得て、戸籍をもとに自分を探す旅にでるが・・・

華蓮の日常は一見するととても幸せです。でも描かれるのは、真綿でくるむような愛と狂気が混じった日常。柔らかい人格否定。

怖いですよ、これ(((゜д゜;)))。

内在する記憶と現実(両親のいう記憶)の乖離を「記憶喪失癖」という隠れ蓑でくるんで、日々洗脳。

華蓮の日常とはまるで「愛のある洗脳生活」のようです。

でも、本能的に彼女は気づいている「両親の繰り返し語る自分」が自分ではないということを。だから「自分を消したい」。記憶喪失癖とはそういうことなのでしょう。

この物語の鍵は、「怜」の語った「うそをつくコツ」。

「本当のことを混ぜること。シナリオが嘘でも気持ちが本当なら人は信じてしまうものだよ。」

華蓮の両親は、まさに自分たちの記憶に「嘘」をついている。自分たちの心が悲しみに壊れないように。でも「(娘を)愛している」という気持ちが本当だから、華蓮は信じてしまう。そして華蓮だけではなく、両親自身もその「うそ」を信じてしまっている。

記憶の再構成への試み

「記憶の技法」という題名に、思わずため息が出てしまいます。


戸籍は違和感の原因を知る手がかりとなり、華蓮は両親には何も言わず「自分探し」をしにいきます。そこで知る衝撃の事実。彼女自身の記憶もまた「うそ」をついていたこと。そして、彼女が受け入れる強さを持てるようになって初めて、彼女の記憶は「真実」を伝えるのです。

悲しい記憶。

でも、その記憶のなかには「幸せの記憶」もちゃんとある。心の準備ができるまで、「今の両親」に役者を替えて「悲しい記憶」を思い出さないようにしながらも、「幸せの記憶」は彼女のなかにずっといたのです。彼女が生きていくために必要だから。それが、自分の「帰る場所」だから。

一緒に旅をする「怜」は対照的です。彼は記憶をすべて持っている。でも、その記憶に「幸せ」がない。彼は生まれたときから「原罪」を背負ってしまった悲しい少年です。 

彼女の「自分探し」につきあったのは、彼女と自分を重ねていたからなのでしょう。彼もまた、母に問いたかった。

「どうして自分を手放したのか」

気持ちの故郷を持たない彼らの旅で、彼だけは何も見つけられない。そのうえ彼女は「幸せの記憶」という故郷を得たものの、同時に「暗い記憶」も取り返すことに。

僕は友達じゃない。あなたを知らない。

だからこそ「秘密の共有ができる」と彼は彼女に言いました。これは甘い誘惑。彼が誰かと関わっていくための処世術なのかもしれません。でも、その方法には穴があって、やがて彼はその「関わったこと」ゆえ避けられ記憶から捨てられてしまう。

悪循環なのです。

「オレを嫌わないで」

どこまでも孤独な彼から出た初めての本心。

でもその孤独はきっと癒される、癒されてほしいと思わされるラストシーンに胸をつかれます。

。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。




ちなみに・・・

この彼女、両親を変える気がないのですね。彼女の両親はおそらくその心が悲しさを受け入れる準備ができるまで、彼女に「死んだ娘」として接するのではないかと思います。「愛」をもって。

でも、そんな日は来るのかなぁ?そのままでいいのかな?うーん。これも「愛」なんですかね?




この方の作品は何度も何度も読み返してしまいます。

たいてい、私の理解が一度では追いつかないからorz

でも、そのかわり、時を経て読み返すその度に、新たな発見、新たな見方ができて自分の成長を垣間見たり(笑)。今日のこの感想、解釈も、またいつか読み返すと違う面が見えてくるのかもしれません。

そしてひとつひとつの台詞やエピソードが、いつのまにか自分の糧になっていたりするのです。

すごい作家さんです。
おまけ含め、フルコンプしました。

今回のこのゲームは、悠木姉妹のルート以外の個別ルートはほとんど全て「真ルート」への伏線仕様。謎が謎を呼び、「真実を知りたい!」という気持ちにさせてくれること自体はよいのですが、そのせいかそれぞれのお話がどれも未消化で、全体的に中途半端な印象でしたね。「真ルート」では、あまり恋愛恋愛していなかったので、個別ルートでそこを表現しているのですが、そこで起こる事件が「真ルート」を小出しにしたものだったから、余計にそう感じます。いっそ事件はもっとささいなことにして、恋愛に至る心の動きなどをもっと丁寧に描いてみてもよかったのでは?と思ってみたり。男の子向きでは、望まれないのかな?

このゲーム、やっぱり全編通して一番良かったのはなんと言っても

兄ちゃんズ(千堂伊織、東儀征一郎)です。

最初から最後まで大好きでした(#⌒∇⌒#)ゞ

どちらも大人で根は優しくて、場合によって悪役にも援護者にもなれる器を持っている。
重い宿命や過去を背負っているにも関わらず、自分を保ち前向きに「今」を生きている彼らの魅力にはほんとやられました。何より「妹思い」。征一郎のシスコン、過保護ぶりもいい味付けヽ(゜▽、゜)ノ。征一郎は、最初はそれほどでもなかったけれど、各シナリオでのフォロー役で大きく株が上がりました。彼の未来を思うとちょっぴりせつないものを感じてしまいますけれどね。

それにしても、おまけシナリオ「幻の議事録」での彼らのやりとり。

まさにお腹がよじれるほど面白かった(≧▽≦)ノノ


このシナリオは絶品!生徒会役員面々の面白さを余すとこなく発揮したシナリオでした!(ほかの「おまけ」は「R18特化」という感じでしたが( ̄▽ ̄)=3)

友人の八幡平 司も、いい奴なのに、見せ場は少なかったなー。せめて吸血鬼に関係ない悠木姉妹のルートででも何か関わればよかったのに、と思います。


さて、いまさらながら主人公について。

実は一番残念な感じがしています。どのルートも「あっさり」している原因のひとつは、この主人公の短慮によるものではないかという気も。

例えば個別の瑛里華ルート。「血が欲しくなる」と言えば、「俺のを飲めばいい」。「眷属を作れなくては連れ戻される」と言えば、「俺を眷属にすればいい」って・・・眷属ってもう人間じゃないんだよ?どんなものかもはっきりわかっていないんだよ?

もっと悩むだろ、普通( ̄Д ̄;;

真ルートで紅珠を飲んじゃうシーンも、意外にあっさり飲んじゃうし。

優しいを通り越して、「自分のことどうでもいい」と思っているだけじゃ?と疑ってしまいます。だから、彼がヒロインたちに「俺がついてる!」的に訴えるシーンがあっても、ちょっと気持ち乗り切れなかった。「その場の思いつきでつい言ってない?」という気がしてならなかったので。彼がもっと深みのある人物だったら、このゲーム全体の厚みが増したのでは?と思ってしまいます。

女の子たちの中では、意外にも「白ちゃん」が見ていて可愛かったです。可愛いわりに、変に譲れない部分があるのがまたよし(o^-')b「ぴょん」(笑)

うん。でも、まあ、久しぶりのギャルゲー。面白かったです。乙女ゲームのようにENDの分岐はなくて、ほとんど1本道なのがさびしいところですが、男の方はそれがいいのかな?ギャルゲーにしては、複数の登場人物による掛け合いシーンも多く、わいわいと皆で騒いでいるシーンが本当に面白かった。うん、やってみてよかった。

さて、手元にはさらに同居人が攻略したばかりのオーガストの新作「穢翼のユースティア」もあったり(笑)このゲーム、中の声優さんがRiddle Gardenのキース(の声)が主役、主要脇役にエリック(の声)も。その辺はとっても気になるところ。また、検討いたします。

FORTUNE ARTERIAL、ようやく「真ルート」を攻略しました。

ここまで、長かった~。全員攻略しないといけないのが大変でした。

でも、

良かったです!うるっときたよo(;△;)o

これまでの疑問、伏線の数々が一挙に回収されました。このルートでは、吸血鬼に関わるすべての人が

総出でがんばった!(b^-゜)

という感じがします。もちろん、主人公も。

これまでのお話では、どちらかというと主人公はあくまでも頑張るヒロインのサポート役。主人公なのに、地味でしたよね。どうにも影が薄かったのですが、このルートでは伊織兄ちゃん、征一郎兄ちゃんに負けずに活躍しています。

でも、私的このルートの最大の萌えはなんといっても

兄ちゃんズ(///∇//)

伊織兄ちゃん、征一郎兄ちゃん、ともに待ってました!の大活躍。

なのに!

兄ちゃんズの「その後」は?ねぇ?(>_<)

エンディングのとき、女の子たちの「未来」を垣間見せてくれたのに、兄ちゃんズのそれがない!
私的にこれは大きくマイナスポイント。

↓以下、ネタばれ含みます。

















お母さん「伽耶」の姿がようやく出てきました。不老不死なだけに

若っっ(=◇=;)

という容姿。最初、これまでの声のイメージと合わなくて困った。でも、エピソードには納得。吸血鬼という人外のものとして生まれ、孤独な時間を過ごしてきた彼女の思い違いは、悲しくもおかしい。彼女なりの一生懸命さが空廻っての、伊織、瑛里華との確執であるかと思うと、なおさらですね。

伊織は瑛里華よりも100年近く一緒にいるだけに、その気持ちのすれ違いと確執は大きいものに。でも、本当は母の気持ちも分かっていたのでしょう。本当に、何もかも分かっているうえで、「子どもの意地」を通していたようなところがあるのかも。

征一郎は伊織の「眷属」だったと明かされましたね。でも、結局「いつ、どうして」が語られることはありませんでした。

おそらくは、征一郎自身が伊織に言わずに「自らなった」というのが正しいのでしょうね。理由はいくつもあります。「しきたり」のため。長い道を歩く「伊織」のため。そして「白」を守るため。伊織はそれをずいぶん前に知ったものの、言えなかった。「主の命令」を初めて行使したのが「征一郎を守るため」というのが、伊織らしくて素敵です。「眷属」になった征一郎に対して、

謝れなかった、という伊織の気持ちを思うと(。>0<。)

でも、それがふたりの絆なんでしょう。
言っておきますが、BLじゃないですよ。念のため。(でも、そういう嗜好の方々狙いってのはあるかも。)

ながい道のりを歩いていくであろう二人のその後が見たかったのに、
ないなんてヽ(`Д´)ノ


何気に白ちゃんが最後まで間にいたりして。ありうる(笑)。まあ、どこかで伊織本人が言っていたように、またほとぼりが冷めた頃、再び学院で生徒会をしているんでしょうね。征一郎と一緒に。

伽耶の気持ちを考えると「うるっ」ときましたが、少々「簡単」な感じがするのはたしか。全体的に「対決」に関してはあっという間に決着が着いてしまった気がします。でもそこに至るまでの謎解きが面白くて、ついついイッキ見してしまいました。伽耶と伊織、瑛里華の和解も割りと早い。また、私は伽耶が眷属となった東儀家の人たちを次々殺すのは「復讐」の意味もあるのかと思っていました。父である稀人は真実はどうあれ「東儀」の人間に退治されたことになっていたはず。父の死を半ば信じていなかった(真実を知らなかった)伽耶が、東儀について思うところがなかったとは思いにくいのですが。そこは「共存」ということで、割り切っていたのかな?

それでも、全てのことに決着をつけて、皆が幸せになるエンディングはよかったし、面白かったと思います。瑛里華と主人公の幸せな未来、伽耶と名づけられた娘に対する「伽耶」の言葉。しんみりさせるものがありました。

最後には登場人物それぞれに幸せになってもらいたい、そう思わされました。
FORTUNE ARTERIAL 悠木陽菜(妹)&かなで(姉)姉妹を攻略しました。

陽菜とかなでは、転校が多かった主人公がこの島にいたときの、唯一の友達姉妹。妹の陽菜はよく気のつく家庭的な同級生、姉は寮長もこなす元気印な少女です。

この2人、もちろん「陽菜」、「かなで」それぞれの攻略でそれぞれ別の物語なのですが。

なんというか。

どちらも、姉妹お互いを思いやっていて、なかなか主人公の「好き」という気持ちを素直に受け取れない葛藤を抱えてしまいます。

その上で、陽菜とかなでそれぞれの問題が起こるのですが、この2人は吸血鬼問題とはあまり関係がないので、内容は比較的穏やか。

えーと実を言えば、吸血鬼問題の「真ルート」が早く見たくて内容をだいぶかっとばして見ていたので、印象が非常に薄いのです。

まあ、ふたりとも、可愛いよね。

↓以下、軽いネタばれ?













妹で同級生の陽菜は美化委員。伊織会長の提案した美化委員の制服、あれは実に

動きにくそうだ( ̄▽ ̄)=3

でも、いまどき本当にあれくらい思い切った衣装設定でもしないと「美化委員」の希望者は集まらないか・・・なんて。
陽菜のルートでは若干の謎が残されますが、「謎」というほどのものでもないですね。なんというか陽菜は

よいヨメになれますとも(°∀°)b

さて、姉の「かなで」は突撃タイプ。

主人公の部屋もベランダからどんどんおしかけます。

結構好きです、こういう子。元気で前向きで、皆にパワーをふりまくタイプ。

恋人同士になると、とたんに突撃できなくなってしまうあたり、可愛いですね。

寮長や風紀委員を兼任し、トラブル時もてきぱきと解決、ときどき暴走しかけるものの、先生方への責任などはきっちりとるあたり、とてもかっこいいです。彼女の物語は、そんな「寮長」としてのお話。彼女らしさは出ていますが、いまひとつ主人公との恋愛的な要素は薄いかも。もっとも、彼女のちょっと過激な発想は、

ふたりきりの時にもおおいに発揮( ̄▽+ ̄*)

彼女につきあうのは、パワーがいりますが、飽きることない毎日が送れそうです。

なんにせよ、

姉妹、仲良きことは美しきかな・・・
お次は紅瀬桐葉の攻略。

彼女はその赤いリボンから吸血鬼と何らかのつながりがあるのでは、と思ってはいましたが、意外なつながりがありましたね。

お話としては、やっぱり「あっさり」解決してしまった感がありますが、一番せつない運命を背負った人ではないかと。いろいろな謎部分を明かせない状態での各キャラクターに物語作りに、苦心しているように感じます。

「これぞツンデレ」というタイプのキャラに主人公、頑張っていましたね。瑛里華、白は比較的仲良くなりやすかったのですが、この子はなかなか気持ちを開かないタイプなので、開かせるまでが大変。でもその代わり、気持ちを許してからは一番主人公に「惚れている」感があって、そのギャップが可愛かった。

彼女はひとりなので

兄的萌えがなかったのが唯一残念( ̄▽ ̄)=3


↓以下、ネタばれ含みます。






















彼女は、瑛里華、伊織の母の眷属。それも、何度も記憶を消され、主を探すように仕向けられた鬼ごっこの「永遠の鬼」状態。何百年も生きていながら、その記憶を消され、生き続けるというのはどういう気持ちなのか、と考えてしまいます。考えるとせつないけれど、でも、何も目的もなく何百年と彷徨う人生と、ある区切りの中で「主を探す」という目的を与えられる人生では、もしかしたら後者の方が「楽な生き方」ではあるのかも、とも思います。そういう意味では、あの「母」のいう、「彼女が望んだ」というのはあながち嘘ではないのかも?それが、本当に人として意味のある生き方かどうかは別として・・・

伊織の母が黒幕的に前面に出てきて、それと対等に近い形で征一郎がやりとりしていましたね。いちおう匿っている一族の長とも言えるのでしょうから、対等なのでしょうか?これらの伏線が「真ルート」で本当に回収されるものか、ちょっとドキドキです。

このルートでは一方的に「母」が桐葉を「許した」形で決着しました。いや、本当に意外とあっさり決着しましたよね。もっとも、彼女は不老不死。主人公が先に死ぬ、ということだけでなく、「不老」という意味でもひとつの土地にずっと居続けるのは厳しいのではないでしょうか?

同じく「不老不死」を扱った、高橋留美子の漫画「人魚の森」シリーズがありますが、こちらも「不死」だけではなく「不老」である身を不審がらせないためにも、常に旅を続けていました。彼女と共に生きるならば、場所を変え、更にはいずれ「親子」だったり、「祖父と孫」と形を変えて、社会に存在することになるのでは?などと、余計なことを考えてしまいます。

昔読んだ漫画「シルクロードシリーズ」で不老不死の天山の神に見守られる少女の話がありました。その話では、彼女が老いて死ぬまで、その神は不老不死で傍らに居て、彼女の安らかな最後を優しく看取ったところで終わります。このルートで、その後が続くとしたら、主人公の最後の瞬間には、そんな光景になるのでしょうね。

その瞬間を見てみたい気がします。