議論のシミュレーションにでもご利用下さい。
(1)インフレになると金利が上昇し(3%程度が限界)、国債の利払いが税収を上回り、事実上、デフォルトとなる!
→発行済の国債(固定利付債)の額面金利(クーポン)は決まっているため、利払いが税収を上回る事態にはなりません。
要は国債のほとんどは固定利回りということです。
ということは、インフレになれば、新規発行や借り換え分は除き、国債の利払いは増えないのに税収だけが増える状態になります。
したがって、これを見ただけでも日本がデフレからインフレになると政府負債のGDP比は確実に下がることがわかります。
(2)国債の日銀引受で即破綻する!
→日銀はすでに105兆円もの国債を所有しているのに破綻していません。
アメリカもリーマン・ショック以降の短期間で70兆円もの国債を購入していますが破綻していません。破綻するなら金利も高騰するはずですが、史上最低の低金利です。
もう、17年も前から、破綻、破綻と言われ続けていますが、一向に破綻しません。なぜでしょう?例)『97年の逆襲―国家破産か、超食糧危機か』 浅井隆(1996年)
また、「禁じ手」という人もいますが、インフレ時にしか通用しない論理であり、ナンセンスです。誰のための禁じ手なのでしょうか。
現在もFRB(米連邦準備制度)やECB(ヨーロッパ中央銀行)は大量に国債を購入しています。さらに、アメリカの財務省は1兆ドル相当のプラチナ硬貨を発行することすら検討していますし、ノーベル経済学賞のスティグリッツも日本の財務省で政府紙幣の発行を提言しています。「禁じ手」というまやかしで思考停止することこそが、日本の長期停滞の原因なのです。
(3)インフレになると国債価格が暴落し、銀行が巨額の損失を被る!
→無リスク資産である国債は簡単に暴落はしません。国債暴落=国債売却ですが国債に代わる投資先(株式市場など)にはリスクがあります。そもそも、日本は世界一の貯金好きなので最もリスクの低い国債を簡単を手放すことはありません。
そして、金利が徐々に上がれば需要も増えます。タンス預金から利息を得られる国債へと新たな需要が生まれるのです。
また、逆に言えば、デフレでは国債価格が暴騰し、銀行が巨額の利益を得ているということでもあります。(金利が下がるということは価格が上がるという関係にある)
実際、銀行の「純利益」が2.4兆円を超えたそうです。→共同通信の記事 http://goo.gl/x09ol
銀行は、デフレで暴利を貪りすぎです。
いずれにせよ、銀行も自己責任で国債を買っているので、銀行のために深刻な問題を起こし、国益を毀損するデフレを放置していいという結論にはつながりません。
(4)金融緩和をやっているアメリカの失業率が高いから日本はデフレのままでいい!
→深刻な問題を起すデフレを放置していい論拠にはなっていません(no link)
そもそも、諸条件が違うアメリカと日本を単純比較することは初歩的ミスですし、
しかも、実際にはアメリカはリーマン・ショック後、QE1,QE2で金融緩和を行い、失業率を下げる成果を上げています。
(5)雇用の最大化を目的とする中央銀行はまるで共産党だ!
→アメリカのFRBの目的には昔から、物価の安定と雇用の最大化との規定があります。
この批判が正しいのなら、既にアメリカが共産国ということになります。
(6)「中央銀行に財源を求めること=インフレで国民の資産を収奪すること」だ!
→逆に言えば、貯金の価値が下がると予想されるため、貯蓄をやめて消費や投資に回ります。要は、間違いなく景気が良くなるということです。何が悪いのでしょうか?デフレの問題は需要が少なすぎることですから、これだけで需要を大幅に増やすことができることがわかります。
(7)高橋是清でさえ、「国債の市中銀行の消化」を前提としていたのであって、インフレ率の推移には非常に敏感であった(そのため緊縮財政を主張し暗殺された)
→不胎化は景気が回復して民需が復活してから実施されました。この時間差が重要。また、暗殺を生んだ下地に恐慌による農村疲弊があることを忘れてはなりません。特に東北の農村では農産物価格が暴落し、このため娘の身売りが多発し社会問題となりました。この超デフレによるあまりに酷い窮乏を見たことが、政治家暗殺事件の多発を生んだのであり、緊縮財政による恐慌こそが暗殺の遠因なのです。
そして、問題は暗殺の犯人たちであり、それを高橋是清になすりつけるのは完全に間違っています。
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