こちらの本を参照しながら、今の政治情勢を見てみます。
経済倫理学のすすめ 竹内靖雄
経済倫理学のすすめ―「感情」から「勘定」へ (中公新書)/中央公論社
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※なお、この本は、旧来の古典派経済学あるいは、新古典派経済学、新自由主義的な古い経済学に近い考えが散りばめられているのであまりオススメはしません。
第4章 分配の正義と嫉妬
嫉妬は平等を求める
問題B 分配の正義を実現することこそ国家の使命である。そのためには政府は、経済のゲームに介入し、また成果の再配分に積極的に取り組むことが必要ではないか。
これは、多くのエピメテウス型の人々にアピールする考え方である。エピメテウスというのはかのプロメテウスの弟で、プロメテウスが神から火を盗んで人間に与えたという「技術の父」であり、その名のように物事を「先に(事前に)考える」人であるのに対して、愚弟のエピメテウスの方は、その名の通りに物事を「結果が出た後で考える」人である。今、国家がBのような態度で分配の正義を実現することに取り組むとすれば、そこからどのようなことが起こるだろうか。これを想像し、推論してみるだけの「予見力」がエピメテウス型の人には欠けているようである。
わかりやすいのは目先の「分配の不公平」で、小さな子供でも、おやつのパイの分け方を見て、「あいつのは大きいのに自分のは小さい」と母親に文句をいうことを知っている。Bの立場をとる人は、このパイの分け方の不公平を、母親である政府に修正してもらおいうと考える。(p82)
藤井聡教授は、東日本大震災が起こる前に、国土強靭化を訴えておられました。彼などは、プロメテウス型の先見性のある人であると言えましょう。私などは、あの大震災が起きてからその重要さに気付かされたので、愚弟のエピメテウス型なのかもしれません。しかし、今の政治はどうでしょう。国土強靭化を言っている2党を除いて他全ての党は、未だに公共投資すら否定しようとしています。愚弟のエピメテウスよりはるか下の下等な存在と言っても過言ではないでしょう。愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。と言います。経験からの歴史からも学ばない人たちは何なのでしょう?人間は考える葦であると言われますが、全く考えない彼らは人間なのでしょうか。
もう一つ愚かなことが、政治家が自己犠牲の大きさをアピールすることです。このような記述があります。
倫理的に優れたものを量るのに、自己犠牲の大きさ、利己主義の少なさだけを取り上げたのではおかしなことになる。世の中の不正に抗議して焼身自殺した人を、その死という自己犠牲が無限に大きいからといって、ただちに絶賛するわけにはいかない。このような行為は、実際にはプラスの効果をほとんど生まないかもしれない。(p232)
倫理的に優れたものを量るのに、自己犠牲の大きさ、利己主義の少なさだけを取り上げたのではおかしなことになる。世の中の不正に抗議して焼身自殺した人を、その死という自己犠牲が無限に大きいからといって、ただちに絶賛するわけにはいかない。このような行為は、実際にはプラスの効果をほとんど生まないかもしれない。(p232)
自分たちの給料をいくら下げられるかを競っている政党がありますが、全く愚かなことです。政治家は、結果を出せばいいので、結果も出さずに、どれだけ身を切ったかなどをアピールするというのは、政治家として失格だと思います。(実際にはそれすらもやっていませんが)
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